木の実、草の実で占う今年の冬鳥

博物館前庭には、真冬に熟す果実がいくつかあります。秋からたわわに実り続けるヤブラン。

そして、お正月を過ぎても真っ赤な果実を重たそうにぶら下げるマンリョウ。

あまり目立たないけど、ヒサカキもたくさんの果実を付けます。

これらの果実は、野鳥たちにとって真冬の貴重な食料に・・、と思いたくなりますが、それならばなぜ今頃こんなたわわに残っているのでしょうか?これらの果実をめぐってとっくに激しい争奪戦が繰り広げられていてもよさそうなのに。

じつは、冬に実る果実の多くは、糖分や脂肪分などを多く含まず、鳥たちにあまり好まれないものがほとんどです。だから真冬の今も、こんなふうに私たちの目を楽しませてくれます。(ただし、ヒサカキは食べてみると結構甘くて、なぜ鳥があまり食べないのかよくわかりません)

ところが、年によってはこうした果実も鳥たちに食べ尽くされることがあります。ほかの果実の実りが悪かったのか、北方の食糧事情が悪く、たくさんの冬鳥が南下してきていたのか。いずれにしても、何年かに一度、博物館でもマンリョウやヤブランをヒヨドリが我を忘れたかのように食べることがあります。

先日登った城山でも、イイギリの果実がどっさりと枝に残っていました。

この冬は、あちこちのバードウォッチャーから「冬鳥が少ない」という話をききます。冬鳥が少ないということは、北方の鳥たちがまだ南下してくる必要がないくらい、あちらの食料事情(果実や種子の実り)がよいということなのでしょう。従って、こちらの食料も逼迫せず、野鳥たちも比較的平穏な冬を過ごしているのかもしれません。おっと、まだ1月なので判断するのは早いですね。年によっては食料事情が良かったために、群の個体数を維持したまま2月から3月に大挙して冬鳥が押し寄せることもあります。そうなると、冬鳥を追いかけるバードウォッチャーも鳥の群に負けず劣らず右往左往することになります。

今年の冬鳥の渡来状況がどんなふうに変化していくのか、まだまだ楽しみです。

(生物担当学芸員 秋山)

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