秋の河原と湿地を歩く

今日は久しぶりに、相模原植物調査会の野外調査会を実施しました。夏の間は博物館の事業が詰まっていたり、酷暑による体調管理が難しいわりに、植物的にはそれほど成果があがらないため、まとまって出かける調査会はお休みしているのです。さて、秋の第1弾は、注目のこの植物を探しに行きました。

数年前にハチオウジアザミとして発表された、新種のアザミです。相模原市内にも生育が確認されていて、これから花期を迎えます。市内某所の湿地を探したところ、これまで両性花をつける株はまとまった数が見つかっていたのですが、今回初めて雌株を確認できました。上の写真がその花です。これはハッキリ言って珍しい!
上場の滑り出しに気をよくして、この時期に咲くもう一つの珍種を求めて場所を移動。緑区の相模川の河原です。

どこにでもある、メドハギに見えます。メドハギなら、ほんとうになんでもない雑草なのですが、上の花はちょっと違います。何が違うかというと・・下の葉は、ふつうのメドハギです。

そして次の葉は、シベリアメドハギと言います。何が違うのでしょうか。

葉脈に注目します。側脈がすなおに葉縁に流れるメドハギに対して、下のシベリアメドハギは、あみだくじのように複雑に枝分かれしています。ほかにも、茎の色合いなどいくつかの違いがありますが、花に関してはほとんど違いがありません。しかし私たち植物マニアは、こんなところの違いを見つけて喜んでいるわけです。我ながら・・ヘンですね。ちなみにシベリアメドハギは、県内ではこの河原以外でほとんど見ることがありません。隠れた珍種です。
さて、河原にはこれも玄人好みのイネ科の植物、ナルコビエが咲いていました。どこがいいのかというと上手く説明できないのですが、なんだかかわいい植物です。

まだ若いスズメウリの果実がぶらさがっていました。これもかわいい!

今日は市内近傍での調査ということもあり、いつもより多くのメンバーが調査に参加しました。

秋とはいえ蒸し暑い一日だったので、早めに切り上げて帰途につきました。
(生物担当学芸員 秋山)

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