春真っ盛りの植物調査

4月17日、緑区のいろいろな場所へ、相模原植物調査会のみなさんと絶滅危惧植物の生育状況調査に行きました。
県内でもわずかな自生地しか残っていないオキナグサ(県:絶滅危惧1A類)は、あるお宅の裏山でひっそりと残っています。

オキナグサ(左は花、右は実りかけの果実)

こちらも県北地域にごくわずかしかない、ザイフリボク(県:絶滅危惧1A類)です。まだ花はつけていませんでしたが、特徴的な二つ折りの若葉の白銀毛が輝いていました。

ザイフリボク(若葉)

ちなみにザイフリボクは、公園などにもジューンベリーとして植えられていますが、あちらはセイヨウザイフリボクという別の種類です。
そして、こちらは今のところ絶滅危惧種には入っていませんが、減少著しいオカオグルマです。

オカオグルマ

オキナグサやザイフリボク、オカオグルマは比較的良好な生育状況だったのですが、中には生育を確認できなくなってしまったものもありました。人里付近で生育していたものは、ちょっとした水分条件などでも生育環境が失われてしまうことがあり、保全の難しさを痛感しました。
帰りがけ、幹線道路から少し入ったところにある、春植物の楽園を訪ねました。
こちらは、アネモネに近いなかまの在来種、イチリンソウです。

イチリンソウ

イチリンソウの名は、同じキンポウゲ科で二輪ずつ咲くニリンソウと区別して、一輪ずつ咲くという意味です。しかし上の写真の株は一度に二輪咲いていました。
こちらはヤマブキソウです。低木のヤマブキも今、花真っ盛りでよく似ていますが、分類上はまったく異なる仲間の植物です。

ヤマブキソウ

若葉の優しい色あいを楽しみながらの野外調査となりました。

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クマバチの季節

春の日差しが強くなってきて、博物館のまわりでもクマバチが飛び始めました。

クマバチの飛翔

ロシアの作曲家リムスキー・コルサコフの「熊蜂の飛行」という楽曲があります。細かい音符がうねるように続くメロディーは、オスの飛行のようすを表しているのでしょう。ちょっと開けた陽当たりの良い空間でホバリングをして、何かが近づくとそちらへすかさず飛んでいき、縄張りに侵入してきたほかのオスか、交尾相手のメスなのかを見極めます。うしろ姿は、お尻がちょっとかわいらしいですね。

クマバチのうしろ姿

正面から見ると、大きな黒い複眼がサングラスのようで愛嬌があります。

クマバチの正面顔

気温が上がって昆虫の動きも活発になってきましたが、地面付近はまだ少し寒いのでしょうか。ニホンカナヘビが日向ぼっこをしていました。

日向ぼっこをしながら振り向くニホンカナヘビ

暖かい日だまりと、ちょっと冷たい風と、変化の激しい気候です。

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今年はツバメの巣!

4月14日(日)、相模原市立環境情報センターで今年度最初の自然環境観察員制度環境学習セミナーが行われました。

初登録の方も含めてたくさん集まってくださいました

博物館ではこの制度発足当初から調査活動に関わってきましたが、実はその初年度の平成13年に行われたのが、全体調査テーマであるツバメの巣の分布調査でした。その後、18年、26年と行われ、初回から19年目の今年、第4クールとなるツバメの巣の分布調査を行うことになりました。

ツバメの巣

ツバメは春の使者として気象庁の生物暦にも使われていますが、さまざまな要因から、全国的に数が減っているのではないかと言われています。自然環境観察員の調査でも、その傾向が見られています。果たして今年の調査からどのような結果が得られるでしょうか。

巣材の泥と枯れ草をくわえる親鳥

市域にはツバメのほかに、イワツバメが生息しています。

イワツバメ

イワツバメはツバメよりもさらに減少傾向が強く、特に低地ではほとんど巣が見られなくなっています。ほかにコシアカツバメも前回までの調査ではごくわずかの地域で確認できていましたが、今回はどうでしょうか。
さらに、ツバメの仲間ではありませんが、ヒメアマツバメ(アマツバメ科)も限られた地域で繁殖しています。

ヒメアマツバメ

市民科学として市域の自然の基礎情報として欠かすことのできない存在である自然環境観察員制度の全体調査が今年もスタートしました。博物館でも、得意とする緑区の県境付近を担当することにしました。どんな調査結果が得られるのか、今から楽しみです!

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フデリンドウだけではなく・・

このところ、フデリンドウの開花にはしゃいでたくさん写真をアップしてきましたので、ほかにもたくさん咲いている植物の写真もアップしなくては不公平、ということでご紹介します。まずは、フデリンドウよりもずっと低く地面にぺったり張り付いて咲くキランソウです。サクラの花びらと比べても小さな花ですね。

キランソウ

こちらも咲き始めは不自然なほど低く咲いていますが、もう少し季節が進むと立ち上がってくる、ヤブタビラコです。

ヤブタビラコ

年明けの頃から少しずつ咲いていたオオイヌノフグリも元気よく咲いています。

オオイヌノフグリ

そして、花はそっくりだけどずっと小さく、3ミリメートルほどしかない、タチイヌノフグリも隣り合って咲いていました。

タチイヌノフグリ

上を見上げれば、サンショウも花芽を伸ばしていました。葉っぱの方も、いわゆる「木の芽」として料理に使うのにちょうどよいくらいの若葉ですね。

サンショウの若芽

そして、やっぱりフデリンドウについて一つご紹介したい写真があります。博物館お隣の樹林(ミズキ林)には、キアシドクガの食害で立ち枯れたり、大きな枝が折れたりした木が多くあるため、先月末に重機が入り、林内の危険木を除去しました。バックフォーが動いた後は当然、植物は踏みつけられているのですが・・

キャタピラ痕に咲くフデリンドウ

そんな中にもフデリンドウは咲いています。植物は私たちが考えているよりずっとたくましく、そしてしたたかです!

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枝?いえ、針金にも似てました(マネキグモ)

この頃急に暖かくなって、博物館周辺で見られる生き物も急に増えてきました。
写真は、マネキグモ幼体。今シーズンは初めてお目にかかります。

林の縁などで、数本の糸を張った簡単な網を張るクモですが、体の形や模様が木の枝にあまりにも似ているので感心します。
しかし、今回見つけたのはご覧のとおり、鉄条網の棘の先。
まさか自分がどんな風に見えているか知っているわけでもないでしょうに、こんな人工物にまでうまく溶け込んでいるのにびっくりします。
特に斜めにカットされた針金との類似、絶妙だと思いませんか?

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キアシドクガの発生と天敵による捕食(毛虫の拡大写真あり:閲覧注意)

4月9日、春まっさかりの樹林地で、フデリンドウや、訪花昆虫のビロードツリアブの写真を撮っていました。

フデリンドウ

風が少し強めだったものの、たくさんのビロードツリアブが飛んでいて、飛翔中の写真なども撮ることができました。

ホバリングでフデリンドウに近づくビロードツリアブ

そして、まわりのミズキは崩芽が進み、瑞々しい葉を広げつつあります。

ミズキの崩芽

そろそろキアシドクガも出てくるだろうと少し探してみると・・・、いました!

キアシドクガと思われる1齢幼虫

1齢幼虫なので確定はできませんが、この時期ミズキにいて複数見られたことから、間違いないはずです。
しかし幼虫を探していると、アリがたくさん幹を登り下りしていて、これはキアシドクガも相当数捕食されるはずだと感じました。
キアシドクガの食害で枯れて伐採された幹の上に、黒く動くものがいました。ヨコヅナサシガメの亜成虫です。

ヨコヅナサシガメの亜成虫

その口吻(こうふん)の先に何かくっついていたので、写真を拡大してみると・・

ヨコヅナサシガメに捕食されるキアシドクガの幼虫

キアシドクガの幼虫が体液を吸われてしぼんでいました。
ヨコヅナサシガメは外来昆虫なので、在来種のキアシドクガが捕食されているのは好ましくはありません。しかし、この5年大発生を続けてきたキアシドクガも、予測では今年、急激に数が減ると考えています。それを象徴するような光景です。もちろん、この1シーンで確定することはできませんが、さまざまな要因が重なって大発生が終息するのだろうと改めて感じました。

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臨時の生きものミニサロンを実施しました!

4月6日、咲き始めたフデリンドウをご紹介するために、通常は第4土曜日に実施している生きものミニサロンを臨時で実施しました。

咲き始めたフデリンドウ

昨日のブログを見て来て下さった方もいて、小さくて可憐なフデリンドウをたっぷり観察しました。

踏まないように気をつけて・・

とりわけ人気だったのは、やっぱりピンク色の株です。

ピンク色の花弁の株はちょっと珍しい!

フデリンドウは、夜はもちろん、曇って暗くなると花を閉じてしまうことをご紹介しました。らせんに巻いたつぼみが開閉するようすを想像して、精巧な花の造形にみなさん感心されていました。

夕方、花を閉じたフデリンドウ 翌朝晴れていればまた開く

そして、さらにみなさんに「かわいい!」と大人気だったのが、ビロードツリアブです。

フデリンドウの花の蜜を吸うビロードツリアブ

捕虫網で捕まえて、手元でモフモフの体や長い口、サングラスをかけたような眼などをじっくり観察していただきました(観察した後は放しました)。

つかまえられるかな?

うららかな春の日差しが心地よく、楽しい観察会となりました。

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フデリンドウ開花しました!そして、臨時の生きものミニサロンを実施します!

今年はまだつぼみの写真だけしか掲載できていなかったフデリンドウが、今日は春の陽気に誘われて、たくさん開花しました!

フデリンドウ

博物館の駐車場内でも咲いているので、明日4月6日(土)の12時から、臨時の生きものミニサロン「フデリンドウのお花見会」を実施します。
お天気さえ良ければ、こんな色のフデリンドウもご紹介できると思います。

ピンク色のフデリンドウも見られます!

「(臨時)生きものミニサロン フデリンドウのお花見会」
4月6日(土)12時から12時30分頃まで

太陽が出ていないと開花しないため、雨天の場合は中止とさせていただきます。
お申し込み不要ですので、お気軽にご参加ください。

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清明・・だけど眠い

4月5日、二十四節気(にじゅうしせっき)の清明(せいめい)です。「万物がすがすがしく明るく美しいころ」とされ、生命活動がいっそう活発になる季節を表しています。博物館前庭のミズキも、清明にふさわしい芽吹きの姿を見せています。

ミズキの芽吹き

しかし、この5年にわたって続いているキアシドクガの大発生も今年で6年目。予測としては今年で発生量が大幅に減少するものと思われますが、どうなるでしょう。昨年は4月10日過ぎには幼虫がかなり目立ってきていたので、今芽吹いている新芽も戦々恐々としているかもしれません。
博物館の敷地内で系統保存のために栽培しているカザグルマ(市域に自生する絶滅危惧種)のプランターに水やりをしていたら、カサコソと音がします。顔を近づけて見ると・・

プランター内にいたカナヘビ

若いカナヘビが日向ぼっこをしていたようです。しばらくじっと見ていると、なんだか目つきが怪しくなってきました。

まぶたが重そうになり・・(実際は下側のまぶたが持ち上がります)

清明のお日様がさぞ気持ちよかったのでしょう。目を閉じてしまいました。

しっかり目を閉じてしまいました

水やりをやめて、そっとそばを離れることにしました。カナヘビもきっと、「寝る子は育つ」のでしょう。

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フデリンドウの開花まで、あと少し

毎年博物館周辺の樹林でたくさんの花を咲かせてくれるフデリンドウ、今年は花が少し遅めのようですが・・

もう少しで咲きそうなフデリンドウ

この週末か、または明日あたり気温が上がると少し咲き出すか、というところまできました。開花を確認できたらまたお知らせします。
フデリンドウの花を探していたら、近くでこんな虫が飛んでいました。

長い口がとモフモフの体が特徴

ビロードツリアブです。
毛皮のコートにサングラス・・みたいなちょっと悪そうな雰囲気ですが、モフモフのとってもかわいらしい虫です。それにしても、長い口!
なぜこんなに長いのかというと、こちらは数年前の4月下旬の写真です。

ムラサキサギゴケの花で吸蜜するビロードツリアブ(数年前の写真です)

ムラサキサギゴケの筒状の花は、一番深いところに蜜があります。こうした筒状の花の蜜を吸い取るための長い口でした。
そういえばフデリンドウもラッパ型で底が深い花なので、ビロードツリアブが得意な形ですね。枯れ葉の上で日向ぼっこしながら、フデリンドウの開花を待っているのかもしれません。

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