木もれびの森のキツネについて

市内中央区から南区にかけて広がる約73ヘクタールの緑地、木もれびの森は、市内の平地に残された貴重な樹林です。その樹林付近で、昨年末くらいから「キツネを見た」という情報が相次ぎました。スマホで撮影された映像を当館の学芸員も確認し、確かにキツネであることを確認しました。一時的な滞在の可能性もありましたが、その後も散発的に情報が入り、また、地元のみなさんの間でも噂になっているようなので、改めて確認してきました。
日の入後、あたりがだいぶ薄暗くなってきたころ、忽然(こつぜん)と姿を現しました。

ホンドギツネ(相模原市中央区 2026年5月3日)

確かに、本州に生息する亜種のホンドギツネのようです。相模川沿いの段丘崖(だんきゅうがい)ではこれまでも生息が知られていましたが、木もれびの森のような平地の樹林地では近年の記録はありません。
緑道を走る小学生たちの自転車の脇を悠然と歩いていました。またその前に、イヌの散歩中の方に伺った話では、よく出会うが、あまり人を警戒しないとのことでした。

人が横を通り過ぎても平然としていた

そんな様子から、人慣れしているのか、さらには野生個体ではないのか、という疑念もありました。ところが、近くで確認しようとホンドギツネの後をしばらく追っていると、おもむろにこちらを振り向きました。すると、通りすがりの人間ではなく、明らかに自分を追跡していると気づいたのでしょう、ジャンプして反対方向へ向くと、すばらしいスピードと跳躍で森の中へと消えていきました。
さらに別の情報では、複数個体がいたとの目撃記録もあります。こうしたことから、このホンドギツネたちは、段丘崖や津久井地域などに生息する野生の個体群から分散移動してきた可能性が高いと判断しました。また、先の小学生たちが「今の、オオカミじゃね?」などと言いながら走り去っていったことなどからも、正しい情報をこのブログに掲載することにしました。

野性味のあるフォルムで、後ろ姿からもイヌやタヌキとは異なる雰囲気を出しています

野生動物と人間は適度な距離感を持つことが重要です。もし緑地でこうしたキツネなどの野生動物を見かけても、決してこちらからは近づかず、さらに餌を与えるようなことは絶対にしないでください。
(博物館長・学芸員)

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