花を落とすのは雨ではなく・・

ソメイヨシノが満開です。お天気は微妙ですが、今日は市役所前のさくら通りで行われている市民桜まつりも大盛況のようです。写真はさくら通りではなく、博物館近くの並木地区の桜並木です。

「春に三日の晴れ無し」と言われるように、この時期は数日おきに天気が崩れます。満開になって雨模様になると「花が散ってしまうのでは・・」と心配される声をよく聞きます。でも、サクラの花は多少の雨や風で散ることはありません。「満開」と宣言される頃、実際に咲いているのは花芽全体の5割いくかどうかというところです。それが順次咲き、数日で入れ替わって満開から1週間ほど、「見かけの満開」が続きます。ひらひらと散る花びらは、時期が来て落ちているだけで、風や雨で物理的に落とされたものではありません。
さて、それよりも物理的に花を落とす者が自然界にはいます。

上の写真は、地面近くにサクラが咲いているわけではありません。このように、花びらではなくて花が丸ごと落ちてる時は、裏側を見て下さい。

萼筒と呼ばれる花の付け根部分がプチッと切られています。こんなことをするのは・・

そう、スズメさんです。30年前くらいから知られるようになった行動で、萼筒を切って中の蜜を吸っています。もともと花の蜜を吸う習性があるヒヨドリやメジロは、花の表側から舌で蜜をなめ取るため、花粉の媒介に寄与します。しかしスズメのこの荒っぽい食べ方は花そのものを損傷するので「盗蜜」と呼ばれます。
しかし、スズメがこうして花をブチブチ切り落としても、満開の様相が寂しく見えるほどにはなりません。それだけたくさんの花を咲かせるソメイヨシノに、今のところ軍配が上がっているということになりますね。
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと パーマリンク