タカの渡り 2016秋

野鳥は渡りという特異な季節移動をしますが、タカのなかまの中でも、サシバとハチクマは群で大規模な渡りをすることが知られています。
毎年、相模原市内の陣馬山(緑区)の山頂から渡りの観察をしてきましたが、今年はちょっと別の地域の渡りも見てみたいと思い、休館日を利用して南足柄市の矢倉沢に行ってきました。

矢倉岳を正面に見る観察ポイントは、タカの渡り観察のため。眺望を楽しむためにここを訪れる人には信じ難いことだと思いますが、富士山を背中にしてひたすら東側を凝視します。
このところの曇天雨天を経て、昨日から晴れているため、早速サシバが上昇気流に乗って渡りを始めます。旋回から、すっと西へまっすぐグライディングする瞬間は、タカの渡り観察の醍醐味の一つです。

私はこの瞬間、理屈ではなく心が揺さぶられるような感覚にとらわれます。数千キロにおよぶ旅の節目に立ち会った感動、とでも言いましょうか。
こちらは、改めて上昇気流をとらえて高空へ上がろうと頭上で旋回を始めた個体です。

そして、サシバ以外にも渡る猛禽類が見られます。今日はツミのメスも近い空を滑空していきました。

ほかにも遠すぎて写真には撮れなかったけど、クマタカの悠然とした飛翔も堪能しました。
細々した日常のあれこれを忘れさせてくれる一日でした。
(生物担当学芸員 秋山)

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