4年越しの足環

毎年秋の終わりころ、博物館お隣の樹林地で鳥類の標識調査を実施しています。これは、標識調査の資格を持った人(バンダー)がカスミ網で野鳥を捕獲し、足環(あしわ)を付けて放鳥するものです。その足環が今後、どこかで回収されると、その野鳥の移動や生きた年月が明らかになるもので、環境省が山階鳥類研究所に委託して行っている専門的な調査です。今年も10月末から11月3日にかけて実施しました。

捕獲のためのかすみ網を設置

その中で、4年前の2017年に同地で捕獲、足環を付けて放鳥したガビチョウが、再び捕獲されました。

4年前に付けられた足環

ガビチョウは特定外来生物に指定されていますが、この調査では外来種か在来種かということは区別せず、捕獲されたすべての野鳥に足環を付けます。それにしても、この場所で4年前に足環を付けた鳥に再会するというのは感慨深いものがあります。
他にも、普段双眼鏡越しに見ている野鳥を間近に見られる機会なので、短時間ですがじっくりと観察します。こちらは、クロジです。

クロジ(オス)

冬は暗い林内に潜伏する鳥なので、なかなか明るい場所で見ることがありません。まだ若いオスですが、独特のグレーの色合いがとても美しい鳥です。
こちらはコゲラです。この林内ではごく普通に見られますが、オスが頭の後ろ側の側面に持つ真っ赤な羽は、ふだんは他の羽に隠れてなかなか見ることができません。

コゲラの頭部(後ろの方に赤い羽がわずかに見えます)

また、捕獲した野鳥の各部位の計測をしていると、頭の羽から小さな虫が飛び出しました。捕まえてみると・・

シラミバエの仲間

シラミバエの仲間のようです。この昆虫は、野鳥にとりついて吸血するため、常に鳥の羽の内側に潜んでいます。これも、こうした捕獲調査でなければなかなか見ることができません。
身近な生きものの中にも、知らない世界がまだまだたくさんあることに気づかせてくれる貴重な機会となりました。

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