「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No85 正月飾り)

いよいよ年の瀬を迎え、正月の準備に何かと忙しい時期となりました。その中でも、かつては神棚などに供えるお飾りを作ることが盛んに行われていました。このブログでも、No.38やNo.39でしめ縄作りや年神棚(としがみだな)について取り上げていますが、そのほかにも多くの家で撮影させていただいています。

最初の写真は南区新戸で、神棚の飾り物を作っているところです。藁を編み、真ん中にはダイダイやウラジロ・ユズリハを付けます(昭和60年[1985]12月25日撮影)。                 

 

神棚とは別に、臨時に年神の棚を作ることもあり、市内の北側の集落を中心に、年神棚に藁で編んだ叺(かます)を敷くことがあるのはブログNo.39でも紹介しました。写真は緑区相原で、常設の神棚の前側に年神棚を作っているところです(昭和60年[1985]12月26日)。                 

 

正月飾りは、神棚や年神棚以外にもさまざまなところに飾り、これもブログNo.38などで、井戸に細長いしめ縄を飾っている写真を紹介しました。以下の写真は緑区上九沢で順に玄関、神棚、年神棚で、四枚目は屋敷墓にもお供えしています。この家では、他にも屋敷稲荷やエビスなど、多くのところにお飾りをしていました(平成24年[2012]1月6日)。

                 

 

次の写真は珍しいもので、中央区田名には年神とは別に、厄神(やくじん)と疱瘡(ほうそう)神をまつるための臨時の棚を作る家がありました。文化財記録映画「続・相模原の年中行事」を制作した際に撮影されたもので、棚には餅やソバ、酒、灯明(とうみょう)を供え、厄神などを一晩泊める行事とされています。映画撮影時にはすでにやめていたものですが、特にお願いして再現していただきました(平成元年[1989]12月)。                

 

最後は緑区根小屋の神棚のお飾りで、この家では冬至(とうじ)の日に家の周りに水を撒きました。相原地区では、境川から汲んだ水を、屋敷にある建物の屋根にかけると火災除けになると伝えられており、同様の意味を持つ行事と考えられます。正月飾りではありませんが、あまり他では聞かない行事として紹介しました(平成23年[2011]12月)。

 

こうして神様を迎える準備を整えて新たな年に臨むことになります。それでは今年も本ブログのシリーズをご覧いただき、まことにありがとうございました。来年も博物館ともどもよろしくお願い申し上げます。皆様にとって来る年がより良きものとなることをお祈りいたします。

 

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