二十四節気の冬至まで、あと1週間を切りました。そして、フィールドは冬芽の季節になりました。
冬芽は葉が落ちると目立ちますが、じつは、落葉の前、すでに冬芽は形成されています。植物学用語としては、休眠芽(きゅうみんが)と言って、一年中ついていて、虫に食べられたり、不慮の落葉などの場合にすぐに次の葉が展葉する仕組みです。晩秋から初冬に落葉すると、休眠したまま越冬するので、そのころの休眠芽を特に冬芽と呼んでいるのです。冬芽は葉が落ちた痕(葉痕:ようこん)とセットで観察すると楽しいので、冬の植物観察の定番となっています。博物館お隣の樹林地には、天使のような冬芽があります。

サンショウの冬芽
これはサンショウの冬芽です。2本、対になっているトゲと冬芽、そして葉痕がセットで、かわいい天使のように見えます。
一方、こちらの枝には悪魔がついています。

ハリエンジュの冬芽(葉痕)
ハリエンジュの冬芽です。正確には、冬芽は葉痕の中に埋没しています。鬼とも、般若(はんにゃ)とも言えそうですね。隣の枝にも・・

こちらもハリエンジュ
頭上では、ヤマガラがミズキの冬芽をつついていました。

ミズキの冬芽をつつくヤマガラ
本格的に何かついばんでいるというより、何かおいしそうなものでも入っているかと探っている様子で、すぐに飛び去ってしまいました。冬本番になると、冬芽を食べる鳥もいます。冬芽は大切な芽を凍らせないために、糖分をまとっているものもありますし、葉を開くエネルギーが凝縮しているので、何かしらの栄養価があるのかもしれません。食べられてしまっては、樹木にとってとんだ災難ですが・・
種類によって冬芽にはいろいろな表情があるので、また写真で紹介したいと思います。
(生物担当学芸員)


