カベアナタカラダニ

5月の日差しが暖かい日。コンクリートの上をふと見ると、体長1mmにも満たないような赤い点が多数うごめいているのを見かけることがあります。
拡大するとこんな姿をしています。

カベアナタカラダニ

どう見てもダニです。
その名も「カベアナタカラダニ」。
ただし、毒々しい色彩とは裏腹に、花粉を食べて生きている平和な生き物。決して人の血を吸ったりしません。
変わった名前は「タカラダニ」というグループに属する事、体の形状から「アナダニ」というグループである事と関係しています。「カベ」はもちろんコンクリート壁などでよく見られるからです。
くわしい生態は分かっていないようです。もし気になるようでしたら日向ぼっこをしながらじっくり眺めるのも良いと思います。ちょこちょこと動き回って、飽きません。
ただ、誤って潰してしまうと、服に赤い色がついたり皮膚が汁に反応してしまう人もいるようですので、それだけは気をつけてください。

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希少植物の、珍しいタイプの花

大型連休が終わった5月7日、市内緑区の保全緑地へ希少植物の調査に出かけました。目的はこちらです。

元気に開花しているキンラン

キンラン(ラン科)です。よく管理された雑木林に咲く野生ランの一種ですが、近年は生育環境の激減に加えて園芸目的の盗掘が重なり、市内の樹林でもごく限られた場所に少数が生育するに過ぎない希少種です。
ただし、上の写真の株は、ただのキンランではありません。下の写真は、普通のキンランです。

キンラン

ランの特徴として、花弁のうち一枚は下に反り返っています。この花弁(かべん)を唇弁(しんべん)と呼びます。しかし、下の写真のキンランは、このようにどの花弁も唇弁と言えるほど反り返りません。こうした花の形態をペロリアと呼びます。

ペロリア現象の花

このペロリア現象のキンランには、唇弁にふつう見られる赤い筋(蜜標=みつひょう 訪花昆虫に蜜の場所を知らせるしるし)もありません。しかも、この型のキンランは花があまり開かないことからも、自家受粉によって結実しているものと思われます。
このキンランについては、ツクバキンランと品種名が付けられていて、まだ図鑑にも掲載されていませんし、分布はこの生育地の他には茨城県などごく一部の地域でしか知られていません。なぜツクバキンランが相模原市内の緑地にあるのか、理由はわかりません。でも、この緑地を管理されている市民の方が10年ほど前から「不思議な形のキンランがある」と気付かれていました。観察眼の鋭さに脱帽ですね。
この日は、ツクバキンランを調査研究されている他館の学芸員さんと一緒に、現地を訪れました。相模原市内のこの緑地では、最初に確認された茨城県内の自生地よりも、密度が高く生育しているようだとのコメントをいただきました。
この緑地には、ギンランもたくさん咲いています。

ギンラン

地元の方の地道な管理作業のおかげで、こうして多くの希少な植物が生育する場所となっています。キンランも1株ずつタグが付けられて、毎年の生育状況が記録されています。希少な植物の、さらに珍しい形態の品種が、どうしてこの地にあるのか、そして近隣の他の場所には無いのか、興味は尽きません。さらに広域的に視野を広げて、この品種の謎に注目していきたいと思います。

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オナガグモに擬態?

「面白い形のクモ」の代表格とも言えるオナガグモ 。
普段は体を細長く伸ばしていて、松葉のようにしか見えませんが、動き始めるとこんな形をしています。

オナガグモ (写真は以前に撮ったものです)。


そして今朝「オナガグモだ、ぜひブログで紹介を」と思って撮った写真がこちら。

オナガグモ だと思って撮った写真


カメラの小さな画面では気づかなかったのですが、拡大してみて「あらら」となりました。
これはナナフシ(ナナフシモドキ)の幼虫です。
以前から似ていると思っていましたが、騙されたのは初めてです。
それにしても何故、こんなに似ているのでしょうね?

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5年続いたキアシドクガの大発生、終息しました

今日は5月5日、こどもの日です。博物館のまわりの樹林地では、新緑の光の中でキビタキが美しく囀っています。

キビタキ

思えば昨年のゴールデンウイークの博物館周辺は、こんなに爽やかな雰囲気ではありませんでした。キアシドクガの大発生が5年続いていて、駐車場のフェンスやミズキの木の下にはたくさんの毛虫(幼虫)がうごめいていたからです。

枝からぶらさがるキアシドクガの幼虫(昨年)

しかし今年、4月からお伝えしてきましたキアシドクガの発生状況ですが、いよいよ幼虫の終齢期に近づいたものの、ほとんど姿を見ません。これまで最大の発生量だった一昨年(2017年)と写真を比較してみましょう。上が2017年5月7日、下が今日、2019年5月5日です。
まずは、博物館の壁面です。蛹になる場所を求めて、無数の幼虫が壁面を登っています。

博物館の壁面を登る無数のキアシドクガの幼虫(2017年5月7日)


同じ場所の今年(5月5日)のようす

続いて、お隣の樹林地のミズキのようすです。2017年は葉が食べ尽くされて丸坊主になっていますが、今年は青々と繁っています。

キアシドクガに葉を食べ尽くされたミズキ(2017年5月7日)


上の写真と同じ場所、同じ角度の今年のようす(5月5日)

昨年と一昨年は発生時期が前倒し傾向にあり、花芽ごと食べられて開花すらしませんでした。でも今年はしっかり花を咲かせています。

ミズキの花(2019年5月4日)

過去5年間の傾向から見ても大発生が終息したことを4月中旬には確信していましたが、若齢幼虫の段階ではまだ判断するのは早いと考えていました。でも、もう間違いないですね。キアシドクガの大発生は終息しました。
もちろん、市内の他の地域では、博物館周辺よりややタイミングが遅く大発生が始まった場所もあります。そうしたところではまだ発生は続くものと思われますが、タイムラグは1年程度と考えられます。

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ミニ展示「相模原に来た皇族」の展示解説

5/4は新天皇陛下の即位を祝う一般参賀が行われ、大変多くの方が皇居に足をはこばれていました。

同じ5/4に、当館で現在開催中のミニ展示「相模原に来た皇族」の展示解説を行いました。

このミニ展示は、令和改元記念として5/1から開催している展示で、昭和天皇、上皇陛下、新天皇陛下、秋篠宮皇嗣殿下らが相模原市域に来られた事例を、写真パネルや関係資料で紹介しています。

相模原に来た皇族ポスター・チラシ改元以降

展示解説では、展示した写真や資料の説明はもちろん、その他に皇族方の来訪時のエピソードや裏話(どこで昼食をとられたか等々)なども交えながら楽しく!?お話ししました。

 

特に、新天皇陛下が平成27年に緑区の石老山に登山された際には当館の学芸員も随行しており、その時の様子などを紹介しました。(新天皇陛下は登山を趣味とされてるだけあって、ものすごい健脚とのこと・・・)

今日は、一般参賀があったため?か、あるいは天気が良くて他にお出かけされたためか、この連休の中では来館者が少ない日でした。そのため、展示解説のPR、アナウンスもしたものの、集まっていただいた参加者は10名ほどでした。

しかしながら、人数が少ない分お客様と近い距離感でお話しすることができ、用意していた展示物と同じ資料を実際に手にとって見てもらうことなどもできました。資料は昭和40年の城山ダムなどに皇太子時代の上皇陛下が来訪された時の対応資料で、1分単位のスケジュールや細かな席順などが記載されていることに、皆さん関心をもたれていました。

 

このミニ展示は、6/2(日)まで開催しています。6/1(土)にもう1回展示解説を行いますので、ぜひご参加いただければ幸いです。

 

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ありふれた種(ギンメッキゴミグモ)

ギンメッキゴミグモ

クモというと茶色や黒のイメージが強いかも知れませんが、この種は腹部が銀色に輝いています。
林の周辺や公園、庭先などで見かけるありふれた種ですが、体長5mm程度と小さいのであまり目立ちません。
このクモの最大の特徴は「上を向いてとまる」事です。円網を張るクモは、通常下を向いていますが、このギンメッキゴミグモは上を向いています。
また、円網が上下非対称で、上半分の方が大きくなっているのも特徴です。これは、頭が向いている上側の方がすばやく獲物に到達できるからだと言われています。
ありふれた種なので、こういった事を自分の目で確かめることも手軽にできます。機会があったらぜひじっくり眺めてみてください。ひょっとしたら「新発見?」という観察ができるかもしれません。

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【予告】いよいよ今月下旬から!生物企画展

気持ちの良い晴天となった連休後半の5月4日、博物館は今日もたくさんのみなさまにご来館いただいています。
開催中の考古企画展「相模原市の遺跡2019 博物館 de トレジャーハンター ~お宝なぞ解き考古展~vol.3」も残すところ会期は5月6日までの3日となり、ラストスパートです。
ということは、次の企画展が間近に迫っています。5月25日(土)からは、生物企画展「闇に生きる 相模原にすむ夜行性の生きもの」が始まります。
このブログでも、この企画展の情報を随時お知らせしていきます。まずは、どんな展示なのか?ということなのですが・・

タヌキ

白黒のタヌキの写真です。この写真は、博物館のまわりの樹林地に仕掛けたセンサーカメラ(自動撮影装置)の画像です。
こんなふうに、夜間活動することが多い生きものの姿を、実際に撮影された写真や映像、そして標本(はく製など)などでご紹介する予定です。
人間が直接撮影するのと違って、カメラの存在をさほど気にしていない動物たちの表情は自然で、普段の生活の様子を垣間見ることができます。

夜行性の野鳥 ヤマシギ

展示室内は、大型映像なども使って臨場感のある展示空間にしたいと考えています。
次回からは、実際にご紹介する生きものについて取り上げていきたいと思います。

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メジロのイナバウアー

5月1日、中央区の横山丘陵緑地を歩いていると、メジロが木の幹に不自然な姿勢で止まっていました。何だろうと見ていると、幹についている白いものを引っ張っています。

メジロがなにかを引っ張っています

写真を撮ってみたら、クモの卵嚢(らんのう)を引きはがしているところでした。巣材にするのでしょう。
よほど良質な巣材なのか、ずいぶんがんばって引っ張っているなと見ていると・・

体重をかけて引っ張っています

どんどん反り返って、ここまでいくと・・

そこまで引っ張るか!

お見事!メジロのイナバウアーでした!
しかし、イナバウアーって今のお子さんたちに通じるのかな?

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令和改元記念 ミニ展示「相模原に来た皇族」を開催中

本日、元号が「令和」になり、新天皇が即位されました。
実は、新天皇は4年ほど前に本市緑区の石老山に登頂されています。
そのように皇族の方々が相模原市域に来訪された事例を紹介するミニ展示「相模原に来た皇族」を本日より博物館にて開催しています。

相模原に来た皇族ポスター・チラシ改元以降

主な事例としては、戦前の昭和天皇の陸軍士官学校への行幸、昭和20年代から40年代の上皇陛下の皇太子時代におけるダムや企業への来訪、そして平成になってからの国民体育大会への来訪などを関係資料や写真パネルにて紹介しています。

今回の展示をご覧になると、相模原にも意外に多く皇族の方々が来られていると感じてもらえると思います。

また、今日展示を見てくださった親子連れのお客様からは、「親子でこのような展示を見られるのも今しかないですね」と、うれしい感想をいただきました。

令和という時代になったこの時に今回の展示をご覧いただくと、あらためて昭和から平成の時代に思いを馳せる機会になるのではと考えています。

このミニ展示は6/2(日)まで開催しています。そして、5/4(土)、6/1(土)の午後1時からは、担当学芸員による展示解説も行いますので、ぜひご来館いただけると幸いです。

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雨の相模湖

4月30日、天気予報どおり朝からバッチリ雨の中、相模原市立環境情報センターのスタッフと野鳥調査の下見に相模湖へ行きました。
途中、ずいぶんたくさんのエナガに出会いました。

エナガの巣立ちビナ

巣立ちビナが群で行動しているためですが、エナガは群内のコミュニケーションが活発なので、雨の日は雨音にかき消されないよう、晴れている日よりも大きな声で鳴き交わします。
途中、相模湖下流の弁天橋を上から眺めたところです。新緑が雨に濡れていっそう瑞々しい色合いに見えました。

弁天橋を見下ろしたところ

春なので、こんな風景も。スズメの交尾です。

交尾するスズメ

JR相模湖駅は、ツバメと仲良しの駅です。バス乗り場の屋根裏にはたくさんの巣があり、その下にはすべてフン避けのネットが張られています。

電線で鳴くツバメ

ツバメが止まりやすいように、巣のある場所の近くに横棒が渡されていたりもします。ツバメの子育てを見守る地元のみなさんや、JRの駅員さんのまなざしの優しさが感じられました。

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