大晦日

今年も大晦日となりました。博物館は28日から年末年始休に入っています。
お正月の食材のタラバガニを見ながら、先日ネット上に出ていた記事を思い出しました。

カニと呼んで食べているけれど、食べている部分の脚がハサミを含めて4本。ということはカニのなかまではなくて、じつはヤドカリのなかまだという記事でした。
生きもの屋の中ではあたりまえの常識が、じつは世間一般ではトリビア的な話題になるのかという生きもの屋の世間ズレを感じさせられました。
ほかにも、宮中晩餐会などでよくメニューに上がる「燕の巣のスープ」。日本でツバメの巣といえばふつうは泥で作られたアレです。泥水のスープ?いやいや、料理に使うツバメはアナツバメの巣で、唾液分泌物のタンパクでゼラチン状に固まったものです。日本の種類ではアマツバメに近いものです。ツバメとついていますが、アマツバメとツバメは系統分類的にはまったく異なる分類群に属します。
ほかにも、ひょろ長く異世界の生きもののようなコウガイビル。数十センチにもなるこんなヤツに血を吸われたら・・と恐怖におののく人もいますが、コウガイビルはプラナリアのなかまで、血は吸いません。
だんだん大晦日にふさわしくない方面に向かってしまうので、このへんでやめておきます。

昨日の朝、高速道路を走っていたらきれいな光芒が出ていました。
年末年始も自然観察のネタを探しながら過ごしたいと思います。
(生物担当学芸員 秋山)

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今年の最終日は、冬芽

今日は相模原市立博物館の今年最後の開館日です。明日は月曜日なので休館、12月29日~1月3日は年末年始休、1月4日も月曜日なので休館となり、次の開館は1月5日(火)となります。本年もご利用ありがとうございました。
午後から冬らしい寒空になってきました。年内開館最終日なので、なんとなく博物館の木々の冬芽をご紹介します。まずはミズキです。

大きくて立派な冬芽らしい冬芽です。次は、コブシ。毛むくじゃらで厚手のコートをまとっているようです。花の冬芽はもっと大きくて見栄えがするのですが、手の届くところにありませんでした。

ついこの間まで紅葉していたイロハモミジ。仲良く二つ並んで、ちょっとオシャレな感じですね。

こちらはコナラ。小さな冬芽がごちゃっと枝先にかたまっています。

ヤマグワは葉痕の上におにぎり形の冬芽。来春、またカイコのエサとして大きな葉っぱをつけていただきます。

中庭のミヤマガマズミ。葉と花と両方詰まった冬芽です。

もうすぐ閉館時間となります。博物館は来年1月4日までお休みとなりますが、このブログはその間も時々更新するかもしれません。自然界には暮れも正月もありませんので!
(生物担当学芸員 秋山)

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生きもの大好きミニサロン 鳥の足下を見る植物!?

今日は今年最後の「生きもの大好きミニサロン」を実施しました。
先日のブログで予告したとおり、クリスマスの翌日ということで、クリスマスカラーで鳥たちを“だます”植物を観察しました。

いかにも熟して美味しそうなアオキの果実(上の写真)、マンリョウやヤブランも・・
実際の果実の中身はどうなんだろう?と、参加者のお子さんたちに採集してもらいました。

指先で果実をつぶして中身を出してみると・・

出てきたのは、果実とほぼ同じ大きさの種子が一つ・・

ヒヨドリなど多くの野鳥が種子は消化できず、フンとしてそのまま出してしまいます。ということは、野鳥にとってほとんど栄養になる部分が無いのが、これらの「派手な」果実だったのです。
それに対して、ヘクソカズラの果実は枯れ草色にまぎれてあまり目立ちませんし、何より強烈なニオイを持っています。

実際にかいでいただきました。

思わず笑ってしまうほど強いニオイです。
でも、栄養価の高い果汁が含まれていて、ヒヨドリなどは夢中になってこの果実を食べます。
短い時間の中でしたが、そんな植物と野鳥のかけひきを見ていただきました。
最後に、下見をしているときに見つけた、樹木プレートの裏で越冬中のヤモリも・・・

さらに調子に乗ってヨコズナサシガメ亜成体の集団越冬も見ていただいたら

「ぎょえぇ~!」
順番を逆にすればよかったと思いつつ、今日も楽しくミニサロンを終了しました!
(生物担当学芸員 秋山)

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締めくくりはやっぱりお片付け

今年の年末年始は曜日のめぐりの関係で、博物館のお休みが長くなります。仕事納めの28日が月曜日、仕事始めの1月4日も月曜日だから休館日に挟まれた年末年始休となるからです。そんなわけで、いつもよりちょっと早めに年末の片付けなどをいろいろと進めています。
今日は動物標本クラブの年内最後の作業日でした。冷凍庫に入っていた標本を整理しながらあれこれ眺めたり、

作成した標本の仮置き場のお掃除をしつつ、来年早々に行うくん蒸のために箱詰めして移動したり。
でもやっぱり、標本作製作業もやりました。この日も標本師のワザにかぶりつきです。

事故死した猛禽類の消化管内容物から、えさ動物の同定をしながら盛り上がり、最後にお茶を飲みながら情報交換をして終了。
来年もまた楽しく活発に活動していきたいと思います!
(生物担当学芸員 秋山)

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国定公園として半世紀

今日は横浜の県民センターで「丹沢大山国定公園50周年記念フォーラム」が行われました。
会場は200名の定員がほぼ満員!

関東大震災で大規模な崩落がたくさん起きて、戦後の拡大造林、並行して昭和30年代の丹沢登山ブーム以降、丹沢の自然環境はそれをとりまく社会情勢と無縁ではいられませんでした。
今、私たちが県民の財産として丹沢の自然にどう向き合うのか、改めて考える機会となりました。ボランティアや大学、NPOなどさまざまな形で丹沢を調べる人たちのポスター発表もあります。

パネルディスカッションでは、研究者、登山関係者、博物館学芸員などさまざまな立場のパネラーがそれぞれに丹沢の諸問題とこれからの課題、未来への展望を語りました。

丹沢の北半分が相模原市域です。博物館は丹沢の問題を市民の問題として受け止める地盤を作っていかなくてはいかなければと改めて思いました。
(生物担当学芸員 秋山)

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クリスマスカラー

今日は12月22日、今年の冬至です。
柚子湯のことは先日のブログで書いてしまったので、今日はこんな植物の色について・・

マンリョウです。博物館の前庭でいま、真っ赤な果実をたわわに実らせています。3日後にせまったクリスマスのイメージカラーですね。
常緑樹であるマンリョウの葉の下にぶら下がるように実るこの果実の色には、意味があります。緑色を背景にして一番目立つ色は、赤です。これは色相環の「補色」の関係になります(正確には、赤と青緑が補色関係にあります)。つまり、種子を遠くへ運んでくれる鳥などの動物に「食べ頃だよ」とお知らせしているわけです。庭木としてよく見かけ、信じがたいほど大量の果実を実らせるトキワサンザシ(ピラカンサス)もそんな果実の一つです。

同じく博物館前庭でたくさん実っているヤブランは、色こそ派手ではありませんが、林床を被う常緑の葉の上にニョッキリとたくさんの果実を突き出しています。

ところが・・一見大盤振る舞いしているように見えるこの果実の主張が、鳥にとっては信じるに足るものでもないことがあります。
そのあたりの動物と植物の興味深い関係について、今週土曜日の「生きもの大好きミニサロン」でご紹介する予定です。12時から30分程度の、お気軽だけどちょっと深い自然観察、いかがでしょうか。どなたでもご参加いただけます。
(生物担当学芸員 秋山)

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シャクチリソバ

今日は午前中、東京大学本郷キャンパスにある東大総合研究博物館で会議があり、出席してきました。
博物館の正面、道路側の植込みに、やたらと大きなタデ科の植物が旺盛に伸びています。シャクチリソバです。

妙な種名です。漢名の赤地利に由来するとか。12月も半ばを過ぎたのに、まだまだ開花しています。インドやヒマラヤ地方の高標高地に自生する外来種なので、寒さには強そうです。明治時代に薬用を目的に持ち込まれ、東京大学大学院理学系研究科附属植物園(小石川植物園)で栽培されたそうです。

残念ながらその後、薬用の目的も忘れ去られたまま野外へ逸出し、今では河川敷や畑などに広がってます。小石川と本郷は離れていますが、いつ頃からここで咲いているのでしょうか。

明治時代に小石川で育てられていた株の直系ではないかと、勝手に想像しながら古めかしい門を出て帰路につきました。
本郷の街路のイチョウの黄葉もそろそろ終わりそうです。
(生物担当学芸員 秋山)

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柚子

今日、相模原植物調査会会員の方から、ご自宅で実ったという柚子をいただきました。
机の上に置いてあるだけで、部屋中に柚子のさわやかな香りが広がります。

柚子といえば、冬至に柚子湯です。今年の冬至は12月22日なので、来週、忘れずに柚子湯に入れそうです。
冬至は、日中時間が短くなる「陰」から長くなる「陽」への転換日。でもじつは、日の入りだけ見れば、12月初旬を境に今すでに日没時間は遅くなりつつあります(そのかわり、日の出時間はこれから年始にかけてまだ遅くなりつつあります)。本格的な寒さもまだこれからですが、それでもなんとなく、気分が上向きますね。
(生物担当学芸員 秋山)

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林道の実り

今日は相模原植物調査会のみなさんと、今年最後の野外調査へ出かけました。場所は緑区のとある林道です。
植物は冬の装いですが、実りのようすもけっこう観察できました。こちらはクサボタンです。

近くに寄ってみると、なんだかアクティブな果実です。

スギの植林地の中にぼうっと光っていたのは、マメガキです。

渋い黒紫色に熟しているのは、スイカズラです。

こちらは実りではありませんが、ヤブデマリの季節外れの開花です。通常の5分の1くらいの大きさでした。

帰りがけ、地面に何か光るものが落ちているなと思ったら、ウラギンシジミでした。

葉裏などにつかまって成虫越冬する昆虫ですが、風かなにかで落ちてしまったのでしょうか。これも自然なので、写真だけ撮ってそのままにしておきました。
(生物担当学芸員 秋山)

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不当命名の植物

地面の上の草の多くがみずみずしさを失って枯れ草色になる中、妙に元気に花を咲かせている植物もあります。

花はかなり小さくて目立たないのですが、よく見ればかわいらしい花です。

この花の名前は・・ちょっとひどい名前なのですが、ハキダメギクと言います。
大正時代に日本に入ってきたとされる外来植物で、「ゴミ捨て場などによく見られるから」とその由来が紹介されています。だからってそれはないだろう・・というネーミングです。
この時期、西日に反射して黄金の輝きを見せるこの果実も、そんな植物の一つです。

ヘクソカズラです。あえて漢字で書くと屁糞葛・・さらにひどいですね。
この植物の強いにおいに由来するのですが、このにおいを悪臭と感じる人もいれば、わりといい匂いと感じる人もいます。良し悪しを一方的に決めつける不当なネーミングですが・・
一方で、この強烈な名前のおかげで記憶にとどまりやすいのも確かです。命名した人は確信犯とも言えるでしょう。ちなみに、別名はヤイトバナ。

上の写真は夏の開花のようすですが、この可憐な花を「灸(やいと)」、つまり、お灸をすえるようすに見立てたものです。
ところが今、生活の中でお灸(しかも「やいと」を使うやり方)を見ることがほとんどないため、「やいと」は死語になりつつあります。そうなると、意味が伝わりにくい名前より、ヘクソカズラはまんざらでもないのかもしれません。
ハキダメギクも、自然観察のネタとして重宝しています。
不当命名なんて、言えた義理ではないですね。
(生物担当学芸員 秋山)

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