数日おきに降る雨と、初夏を目前にした蒸し暑さのおかげで、道端の植物も元気いっぱいです。この季節に咲きそろう、名前も姿もまぎらわしい近縁の植物を紹介します。
まずは、ハハコグサ(母子草)です。

ハハコグサ
花が黄色く目立つので、こちらは迷うことなく見分けられます。問題は、父の方・・こちらはチチコグサ(父子草)です。

チチコグサ
そして下の写真、並んで生えているのに、この二つは別種です。左がチチコグサモドキ、右がタチチチコグサです。「チ」が多くて呼びにくいですね。どちらも花が穂状につき、花の近くの葉の形が幅広いのがチチコグサモドキ、細いのがタチチチコグサの特徴です。

並んで生えていたチチコグサモドキ(左)とタチチチコグサ(右)
さらにこちらは、ウラジロチチコグサです。

ウラジロチチコグサ
どの種も路傍でごく普通に見られますが、現在、最も頻繁に見るのがウラジロチチコグサです。他のチチコグサの仲間と比べて全体的に緑色が濃いのですが、その名のとおり、葉の下面が白く見えます。

ウラジロチチコグサの葉裏 白毛が密生していて白く見える。茎も白い
このように、ハハコグサとチチコグサの仲間は姿も名前もほんのちょっとした違いで紛らわしいのですが、それもまた植物観察の楽しみと言えます。ちなみに、母子草という字は当て字とされていて、あまり意味は無いようです。
(生物担当学芸員)