ススキとオギ

博物館のエントランス、総合案内の横にはいま、9月24日の中秋の名月に向けてお月見のようすが再現されたミニ展示が設置されています。

お月見のようすを紹介しています

お月見の植物と言えば、ススキです。展示されているススキは博物館の近くで採集してきたものですが、じつは、一般的にススキと呼ばれている植物の中には2つの種類が混じっていることが多いのです!(博物館で展示しているものはススキを選んで採っています)

いわゆる“ススキ”

遠目にはほとんど区別がつかないのですがススキととてもよく似た、オギという植物があるのです。
ススキはこちら。

ススキの穂

オギはこちらです。

オギの穂

ほぼ、同じに見えますね。一般的にこの2種の植物は区別されていません。おそらく、かつてカヤ材として屋根葺きに使われていたころは、屋根職人さんなどは区別していたはずです。乾いた草原を好むススキに対して、オギは河原などやや湿った場所を好みます。ただ、両種が混在することも多く、博物館のまわりでも隣り合って生育しています。
どこで見分けているのかというと、穂を作る小穂(しょうすい)という構造の一つを拡大してみます。こちらはススキです。

ススキの穂の一本を折り曲げています

1つの粒から1本の針のようなものが出ています。これを芒(のぎ)と言います。芒がはっきりしていて、ススキの象徴であるふわふわの毛はやや短めです。
対してオギはというと・・

こちらはオギ 芒がありません

芒がありません。ふわふわの毛は長く、小穂の粒よりかなり長く見えます。
このように、芒があるか、無いかで見分けますが、毛なのか芒なのか、慣れないとわかりにくいですね。ほかにも、束になって生育するススキに対して、オギは一本ずつ生育するとか、葉の幅が狭いススキに対して広めのオギといった識別点があります。
いずれにしても、大切なのはこの形です。中秋の頃はまだ実っていない稲穂に見立てた、あるいは神様が宿るものという意味合いがあるので、お月見にオギを飾ってしまったからと言って間違いではありません。

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