玄関から20歩の自然 その19 ヘビイチゴの果実

公園の片隅や垣根の下などで、真っ赤な果実が目立ち始めました。

ヘビイチゴの果実

ヘビイチゴです。名前がちょっと怖い感じですが、毒はありません。かといって美味しくもありません。私たちが普段食べるイチゴは、オランダイチゴという種類で、花は白ですが、ヘビイチゴの花は黄色です。

ヘビイチゴの花

さて、このヘビイチゴ、じつは2種類あります。上の写真はヘビイチゴで、比較的陽当たりの良い場所に自生します。
一方、少し陽当たりの悪い木陰などには、ヤブヘビイチゴという種類が自生します。花はこちらです。

ヤブヘビイチゴの花

ヘビイチゴとそっくりです。花弁の1枚だけ見ると、ヘビイチゴよりもほっそりしていて、これは識別点の一つですが、いろいろなヤブヘビイチゴを見ていると、花弁が幅広でヘビイチゴそっくりなものもかなりあり、花だけ見てもよくわかりません。葉はどちらも3枚の小葉(しょうよう)が1セットになった葉で、ヤブヘビイチゴの方が大きくなる傾向はありますが、これも比べないとわからない程度の差です。
では何が一番確実かというと、果実です。こちらはヤブヘビイチゴです。

ヤブヘビイチゴの果実

外側の赤いツブツブが痩果(そうか)と呼ばれる果実の一つです。その土台となっている部分は果床(かしょう)と言って花の時は花弁や雄しべ、雌しべが付いていた花床(かしょう)です。ヤブヘビイチゴは果床も赤いのですが、ヘビイチゴは白っぽいのです。さらに、痩果がシワシワなのもヘビイチゴの特徴です。ヤブヘビイチゴの痩果はシワが無くツルっとしています。

ヘビイチゴの痩果(シワシワ)果床は白っぽい

遠目に見ても果床が白っぽく見えるのがヘビイチゴ、全体が赤くてツヤがあるのがヤブヘビイチゴです。
ちなみに、この果床と痩果の構造はオランダイチゴも同じで、外側についているごまのようなツブツブが痩果で、食べて甘い部分は果床です。

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