「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No44・山の神)

 職員ブログで紹介している写真は博物館建設準備の開始後の撮影で、当然のことながら相模原地域が中心です。そのため合併以前の津久井地域の写真はほとんどありませんが、今回取り上げるのは、津久井地域の山の神の日に関わるものです。当時、周辺地域の正月行事を調べる中で撮影されました。

 津久井地域の神社や祠には、弓矢が供えられているのを見かけることがあります(平成22年[2010]1月9日・緑区千木良)。これは山の神に供えられたものです。

                          

 津久井地域では1月17日が山の神の日で、この日は山に入って仕事をしてはいけないとされるほか、山の神に関わる行事も行われました。また、21日は「山の神の冠(かんむり)落とし」と言われ、弓矢を射ることもありました。

 次の写真は緑区佐野川で、当日の朝に当番の者が山の神の祠に供物を供え、参拝しているところです(平成元年[1989]1月17日)。

                          

                          
 

 その後、地区の集会所で日待講(ひまちこう)と呼ばれる集まりがあり、集落の人が集まって山の神の掛け軸を拝み、飲食して山での安全を願います(同日)。

                          

 次の写真は緑区沢井の個人宅の年中行事で、当家では1月17日に弓矢を作り、庭の木に掛けました(平成2年[1990]1月17日)。

                          

                          

 
 山の神に関して、相模原地区では1月17日に山で仕事をするとケガをするといった話はされるものの、行事などはほとんど行われません。そして、津久井地域では、17日の山の神の日待講(山の神講・山の講)は日程を休日に変えつつも、新年会などとして今も行われている地区もあるようです。

 木の伐採や炭焼きなど、山での仕事がより重要であった津久井地域にとって、山の神をあがめ、祀るのは大切なことだったのです。

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