9月8日は、桑の日 その1 ヤマグワとマグワ

今日、9月8日は「桑の日」だそうです。9(く)と8(わ)のごろ合わせから、桑の葉茶などを販売する会社が制定したものです。
桑と言えばカイコということで、相模原の歴史と密接に関わることから、当館でもカイコの飼育展示や餌となる桑の木の育成を行っています。
そこで、今回は樹木としてのクワについて少し紹介します。まず、一般にクワと呼ばれている木には2種類あるということをご存じでしょうか。もともと日本に自生していたとされるのが、ヤマグワです。一方、中国大陸原産で、養蚕に用いる飼料としての品種改良を進めるために持ち込まれたのが、マグワです。この両種は、果実の形が異なります。

ヤマグワの果実

マグワの果実

上の2枚の写真で違いがわかるでしょうか。果実に柱頭(めしべ)が残り、果実の長さが短めなのがヤマグワです。一方、柱頭があまり残らず、果実が細長いのがマグワです。マグワの方がいかにも美味しそうに見えますが、一般的に糖分はヤマグワの方が多く、食べると甘く感じます。
葉も違いがあり、切れ込みが深く、葉先が細長く尖るのがヤマグワで、切れ込みがほとんど無く、葉先があまり尖らないのがマグワです。

ヤマグワの葉

マグワの葉

ただし、この違いは決定的な識別点にはなりません。どちらも切れ込みの深さは同じ木でもいろいろあり、葉の形は様々です。さらに、カイコの飼料として効率よく育つよう、クワも両種の交配が重ねられたり、倍数体(4倍体など)が選抜されたりといった品種改良が進められました。そのため現在、野外で見られるクワの多くがこうした改良品種の子孫で、実際にはヤマグワとマグワといった区別ができないものがほとんどです。
クワの果実は初夏に実り、ムクドリやスズメ、カラスなどが好んで食べます。種子はフンに混じって排泄されるため、電線やフェンス沿いなど、鳥がとまりやすい場所に沿ってクワの幼木がよく見られるのはそのためです。

カテゴリー: オカイコサマ, 生きもの・地形・地質 タグ: , , パーマリンク