ちょっとホラーだった中学校の体験学習

今日は博物館のすぐ近く、由野台中学校の生徒たちが、先生の引率で博物館にやって来ました。1~3年生入り混じって、単なる講義ではなく、体験的な学習を、というリクエストでしたので、これに応じてカリキュラムを組みました。
前半は天体観測室とバックヤード見学、後半は、なんと「クモの観察」です。
たまたま天文以外の担当者で、その日対応できるのが、私(一応、動物担当。実態はクモ担当)だったので、こんなカリキュラムになったのですが「クモなんて聞いたら、たぶん希望者は多くあるまい。きっちりやろう。採集して、アルコールに漬けて、標本ラベルを書くところまでやろう。」なんて思っていたのとはうらはらに、26人が参加する事になりました。
という訳で、観察会すら難しい(小さなクモをみんなで囲んで見るのは至難のわざ)、急きょ「クモの網をさがそう!」というテーマに変更しました。だいたい見渡したところ「円網」「シート網」「不規則網」の3種類くらいは見つけられるだろうと思っていましたが、その点は狙い達成。
そして次なるハードル。「少しでもクモに興味を持ってもらう」事。
最後に「興味を持った人いますか?」と聞いたら…なんと、皆無でした。
念のため「そもそも虫嫌いな人?」と聞いたら半数を優に超えていたので、どうやら無謀な戦いだったようです。

 「いやだなー、みたくないー」といいつつも熱心にスケッチ

確かに多くの子が「虫きらいー」「気持ち悪~」とかいいながら歩いていました。
中には毛虫をみるたびに「ぎゃー」と声を上げている方も1名いて、ちょっとアトラクションめいた雰囲気の観察でした。
いきなりクモなんて、刺激が強すぎたかもしれません。
でもその一方、ゴミグモの捕食シーンに釘づけになった子たちもいましたし、アリグモの入った容器を渡したらみんな集まってきたので、私の心の中では大いに甘く見て、「引き分け」ぐらいかな、と思っています。

 ゴミグモの捕食シーンをじっと見つめる生徒と先生


 オオヒメグモの卵のうから大量の子グモが出のうしているのを見て「ぎょえー」となっているところ

それはそれとして、こういう実践を一度やると、実施する側としてもいろいろ勉強になるものです。反省点も多々ありますので、今回の経験は、次の機会に大いに生かしたいと思います。そして、口には出さないけれど、ちょっとだけ興味を持ってくれた子が、1人くらいはいるに違いないと信じています。(学芸班 木村)

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