令和7年度地質学講座「富士山の溶岩と湧水」2回目

6月1日(日)に地質学講座の第2回目を開催しました。今回は山梨県都留市で富士山の溶岩や泥流堆積物を観察しました。

富士急行線東桂駅に集合して野外観察に出かけました。

まず、富士山の溶岩流の一つである桂溶岩(約8,800万年前)がつくる溶岩台地末端の崖を観察しました。高速道路の高架橋のあたりが溶岩台地末端の崖です。

次に、桂川の支流である柄杓流川(しゃくながれがわ)へ向かいました。柄杓流川へ流れ落ちる太郎・次郎滝では富士相模川泥流堆積物(約2万2千年前)が見られます。

上の写真では木や草が茂って見にくいですが、緑の少ない時期はこんな感じで泥流堆積物の地層を見ることができます。

溶岩台地上に戻り、桂川の川原に露出している桂溶岩を観察しました。川原に降りることができないので橋の上から観察しました。

溶岩表面の割れ目が竜のウロコのように見えることから、この付近の渓谷は蒼竜峡と呼ばれています。

最後に、桂川の支流、鹿留川(ししどめがわ)のおなん淵の滝で猿橋溶岩と富士相模川泥流堆積物を観察しました。猿橋溶岩には柱状の割れ目である柱状節理が見られます。富士相模川泥流堆積物は滝壺の水際にわずかに見られます。猿橋溶岩の年代ははっきりわかっていませんが、積み重なった順番を見ると、富士相模川泥流堆積物より新しく、桂溶岩より古いことは明らかです。

3日目は6月15日(日)に都留市の東桂駅〜十日市場駅周辺で地層などを観察します。梅雨入りしている可能性が高く、雨が降らないことを願うばかりです。

(地質担当学芸員)

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