【11月3日まで】立山博物館で当館資料を展示中です!

ブログタイトルのとおり、富山県[立山博物館]で来月3日(月・祝)まで開催中の特別企画展「英国から立山へ―『日本旅行案内』にみる立山―」にて、当館所蔵の「横浜近郊外国人遊歩規定範囲図」を展示しています。

この企画展では、駐日イギリス公使館書記官のアーネスト・サトウらが明治時代に著したガイドブックの『日本旅行案内』を中心に、当時の外国人による旅行事情や、記録に残された立山の様子などが紹介されています。

立山博物館 展示館(外観)

現代とは異なり、幕末~明治時代初めの日本では、外交官など職権で認められている場合を除き、外国人旅行者が自由に国内旅行を楽しむことが難しかったのです。こうした状況下で、一般の外国人による自由な旅行への要求が高まり、制度面の整備が進められるにつれて国内旅行が活発化していきます。外国人向けの日本版ガイドブックの必要性からアーネスト・サトウらが『日本旅行案内』の刊行に取り組み、やがて外国人読者のみならず、日本人にも大きな影響を与える書籍となりました。

当館の「横浜近郊外国人遊歩規定範囲図」(慶応3(1867)年頃)は、サトウとともに『日本旅行案内』を出版したイギリス海軍歩兵大尉のA.G.S.ホースの編集・作成で、当時の訪日外国人や居留民が自由に行くことのできる範囲を示した絵図です。企画展のなかでは、外国人による国内旅行が制限されていた時代から、旅行ブームへ移り変わる過程の導入に位置づけられています。

横浜近郊外国人遊歩規定範囲図(当館所蔵)

このブログでも他館への資料貸出しについて紹介することがありますが、やはり、当館の資料が全国津々浦々、いろいろな機会で活用されることは嬉しく光栄に思います。
さらに、アーネスト・サトウは明治5(1872)年1月23日の「旅行日記」において、甲州からの道中で市域の青根、青野原、鳥屋を経て宮ケ瀬へ至ったと記しており、今回の企画展に浅からぬご縁を感じました。

立山博物館は「立山の人間と自然とのかかわり方」をテーマに、野外展示や地域の景観からなる広域分散型の博物館で、豊かな自然と古来の文化、歴史が織りなすとても魅力的な場所です。
旅行ガイドブックを携えて、ぜひ訪れてはいかがでしょうか!

(歴史担当学芸員)

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