間違えやすい植物

博物館のまわりでは今、カラスノゴマという植物が黄色い花をたくさん咲かせています。

カラスノゴマ

いろいろ想像させてくれる素敵なネーミングの植物なのですが、この名前、どうも言い間違えや覚え間違えが多発します。なぜかというと、すぐ隣にはこんな花が咲いているのです。

キツネノマゴ

こちらは、キツネノマゴ。ちょっとした草地の、どこにでもある雑草なのですが、同時に出てくると「キツネノゴマ?」「カラスノマゴ?」となってしまいがちです。
同様に、こちらの植物はよくある外来の雑草で、ヨウシュヤマゴボウと言います。

ヨウシュヤマゴボウ

観察会などで紹介すると、たいてい、「ヨウシュヤマブドウって言うんですか!なるほど、確かにブドウみたいな実がなってますね。」となります。いえいえ、ゴボウです。しかも有毒で・・と説明することに。さらにまぎらわしいのは、この有毒植物に近い仲間のヤマゴボウという薬用植物があるのですが、どちらもヤマゴボウ科で、根がゴボウ状になって似ているからというネーミングです。しかし、山菜などで売られる「山ごぼう」は野菜のゴボウに近縁の、キク科のモリアザミなどの根です。
観察会あるあるの聞き間違えといえば、こちらも。タケニグサです。

タケニグサ

「ああ、猛々(たけだけ)しく育っているからタケリグサ!」とリアクションされてしまいがちです。しかしこちらは、竹に似て茎が中空(ストロー状)だから、という由来のネーミングです。
いずれにしても、言い間違え、聞き間違え、読み間違えしやすいネーミングもまた、観察会の楽しいネタとして使っています。そんなやりとりをすることで、後で印象に残るからです。
(生物担当学芸員)

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渡り鳥の季節

タカの渡りが本格化していることは先日のこのブログでもお伝えしましたが、タカだけではありません。市内の河原などでもちらほら、ノビタキの姿が見られるようになりました。

ノビタキ

中部地方の高標高地や北海道などの草原で繁殖し、冬は東南アジアなどで越冬する鳥です。この季節の数週間、市内の開けた河原や農地で見られます。
また、エゾビタキも同じころに見られます。

エゾビタキ

こちらは樹林地を好み、広い河原の樹木の多い場所や、丘陵地の樹林などに短期間滞在します。枝にとまり、飛んでいる昆虫を見つけるとパッと飛び上がって捕らえる動作を繰り返します。
こんな小さな野鳥たちが、千キロメートルを超えるような旅をするのが驚きです。市内でゆっくり休みつつ、栄養補給をしていってほしいですね。
(生物担当学芸員)

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民俗分野実習6日目(9月21日)

こんにちは!民俗分野実習生です。

今日は私たち実習生が企画した「比べてみよう!旅のかばん」展の設営作業と展示解説を行いました。

設営作業では、解説パネルやキャプションを展示ケースの中に並べていきます。見る人の目線を考えながら配置しました。

斜めにならないように…

パネル同士の間隔を揃え、水平垂直になるようピンで留めていくところが難しかったです。

パネルを展示したあとは、実物資料を置いていきます。旅のかばんとして、トランクとキャリーケースを選びました。

展示完成!

展示解説では、今回の主なターゲットである子どもたちにわかりやすく伝えるように意識しました。

興味を持ってくれたかな?

11月10日まで展示しています。ぜひご覧ください!

今日で最後の博物館実習となりました。学んだことや経験を今後につなげていきたいと思います。

(令和6年度民俗分野実習生)

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タカの渡り 本格化

先日のこのブログでタカの渡りが始まったことをお伝えしました。季節はしっかりと動いているようで、9月24日に渡りの観察ポイントを再訪したところ、見事な渡りの様子を観察できました。

滑るように上空を飛ぶサシバ

サシバの群が北東の風に乗り、頭上をグライディングしながら次々と西へと飛んでいきます。

西へ向かって飛ぶサシバの成鳥

その数、軽く50羽を超えました。同時刻に北側の遠い空にタカ柱ができて、数十羽以上が渡っていったので、かなりの数が同時刻に渡っていったことになります。
頭上でタカ柱を作った群れもありました。これは本当にドラマティックで感動します。

上昇気流に乗って旋回しながら一気に高空へ上がります

若鳥(おそらく今年生まれ)も渡っていきます。生まれて初めての遠距離飛行、無事を願うばかりです。

頭上を飛んで行ったサシバの若鳥

渡りはまだ続くと思われます。全国的な集計サイトを見ても、北から南まで、渡りが本格化している様子がわかります。しばらくはお天気と風向きを気にしながら過ごす日々が続きそうです。
(生物担当学芸員)

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講演会「小笠原のカメムシ」のご案内(9/25)

小笠原世界遺産センター主催の講演会「小笠原のカメムシ」(9月25日開催)にて、当館の動物担当学芸員が講演をします。

今回の講演会では、くさい匂いを出すことで有名(?)な昆虫のカメムシに焦点を当てます。
世界でも小笠原諸島にしかいない「固有種」たちを含む、カメムシの知られざる世界とそこに迫る危機、そして近年の研究で明らかになったことについてお話しします。
なぜカメムシ(が研究対象)なのか?カメムシにはどんな魅力があるのか?
若手研究者らによる熱いカメムシトークをお楽しみください。

小笠原諸島の固有種、ルリカメムシ

会場は東京都小笠原村にある小笠原世界遺産センターですが、オンライン配信も実施します(先着500名)。
詳細は以下のとおりです。
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小笠原世界遺産センター特別展「むし展」連携企画 講演会「小笠原のカメムシ」
日時:2024年9月25日(水曜日)午後7時から8時半
場所:小笠原世界遺産センター(東京都小笠原村父島字西町番地なし)
オンライン:Zoomによる配信(先着500名まで、申込不要)
オンライン視聴URL:こちらからアクセスしてください
お問い合わせ先:小笠原世界遺産センター
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(動物担当学芸員)

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【本日からオープン】令和6年度学習資料展が始まりました!

先日のブログでも告知したとおり、本日9月22日(日)から令和6年度学習資料展「相模原70年と学校給食のあゆみ」が始まりました。

屋外の案内幕も学習資料展仕様に衣替え!

秋季恒例の「学習資料展」は、当館の博物館ボランティア「市民学芸員」との協働により作り上げる企画展です。例年秋に実施される市内小学校の来館学習に合わせ、子どもたちの学習に役立ててもらうことを目的に、これまで様々なテーマで開催してきました。

本年は相模原市が市制施行70周年を迎える特別な1年であることから、メインテーマのひとつを「相模原70年のあゆみ」としました。
さらに、学習資料展の目的には“幅広い世代の語らいの場”となることも含まれるため、皆さまにとって身近な「学校給食」をもう一つのメインテーマに据えました。大人の方には懐かしい気持ちで、お子さまには目新しさを感じながら、展示をご覧いただければと思います。

会期初日である本日は、学習資料展関連イベントの初日でもありました。

ぶんぶんゴマ、上手く回っているね!

思い思いの色や柄で作る恒例の「ぶんぶんゴマ」では、初めは苦戦しながらも、市民学芸員の指導のもと次第にコツをつかんだ様子で、エントランスホールのそこかしこから“ブーン ブーン”という大きな音が聞こえました。

紙芝居クラブによる「食育紙芝居」は、全2回どちらの公演も立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。元気いっぱいな子どもたちとの掛け合いも見られ、紙芝居をとおして食べ物や食事の大切さに興味を持ってもらえたようです。

食育紙芝居、上演中!

相模原市食育推進マスコットキャラクター「サガピー」のフォトスポットは、お子さまのみならず大人の方にも大人気!ぬいぐるみが登場するのは関連イベントの日のみですが、フォトスポットは会期中常設していますので、ぜひサガピーに会いに来てください。

イベント時には、かわいいぬいぐるみの「サガピー」が皆さまをお迎えします。

次回の関連イベントは10月13日(日)に行います。詳しくはこちらをご確認ください。

(歴史担当学芸員)

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ヒガンバナ

9月のお彼岸の頃、暦に合わせたかのように咲き出すのが、ヒガンバナです。博物館お隣の樹林地でも、いつの間にか咲いていました。

お隣の樹林地で咲くヒガンバナ

ヒガンバナは6~8個ほどの花が放射状に集まって咲くため、このような形をしています。一つ一つの花は、6枚の花弁と6本のおしべ、1本のめしべで構成されています。

真上から見たヒガンバナ

ここ何年か、秋の訪れが遅くなっているため、ヒガンバナの開花も遅くなっていると言われています。確かに、以前は9月10日前後から花が目立ってきていたように感じられます。これは、ヒガンバナが温度の低下を感知して開花するためです。冬の低温時から開花の準備は始まり、夏を経て秋になり、気温が20度くらいまで下がると開花するそうです。

つぼみもありました。この株は8つの花で構成されていました。

猛暑日すら連発の今年の秋は、ヒガンバナもちょっと戸惑っているかもしれません。
(生物担当学芸員)

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生きものミニサロン「飛ぶタネのモデルを作ろう!」を実施しました

9月21日は毎月恒例の生きものミニサロンの実施日ですが・・9月というのに外があまりにも暑いので、エントランスで実施することにしました。今回のテーマは「飛ぶタネのモデルを作ろう!」です。タンポポの綿毛に代表される風散布植物は、滞空時間を長くする様々なしくみを持っています。それを簡単な工作で再現するモデルを作ります。参考にする植物のタネはこちら、ニワウルシとモミジ(オオイタヤ)です。

ニワウルシ(左)とオオイタヤ(右)

参加者のみなさんに、実際に落として見本を実感してもらいました。

本物でまずは確認

ニワウルシは、それ自身が回転しつつ、渦を巻くように回りながら落ちる二重の回転をします。それを再現するモデルは、ごく簡単な工作でできます。

ニワウルシのモデル

幅1センチメートル、長さ20センチメートルほどに切った紙を、真ん中付近で合わせてホチキスでとめるだけです。とめる位置を真ん中から若干ずらすのがコツで、これによって二重の回転を再現できます。
続いて、モミジのタネです。ヘリコプターのローターのようにクルクルと回転するには、幅2センチメートル、長さ7センチメートルほどの紙を下の写真のように折って、先をクリップでとめるだけです。

モミジのモデル

そのままストンと落ちてしまうこともありますが、うまく落ちると、本物そっくりの回転をします。
みなさん上手に回すことができました。
続いてははこちら、南半球に分布するつる植物の、アルソミトラのタネです。

アルソミトラのタネ

薄い膜を入れると長さ10センチメートル以上あります。高い位置から静かに手を離すと、空中を滑るようにグライディングします。これを再現するには、薄手の梱包材を使います。

アルソミトラのモデル

型紙に合わせて切り取った後、中央におもりのセロテープを重ねて貼るのですが、この調整がなかなか難しく、みなさん苦労していました。

梱包材を型紙に合わせて切ります

小さなお子さんも挑戦

貼るのが1枚違うだけで飛び方がかわるので、何度も試しながら調整していました。それでもみなさんうまく飛ばすことができていました。最後に、本物のアルソミトラを飛ばすと、すぅっと柔らかく飛び、みなさんから歓声が上がりました。やっぱり自然はすごい!
次回は10月19日(土)12時から実施します。お楽しみに!
(生物担当学芸員)

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民俗分野実習 5日目(9月20日)

こんにちは、民俗分野実習生です。

今日は展示の設営に向けてパネルとキャプションの文章の作成作業、印刷した文章をパネルに貼り付ける作業を行いました。

レイアウトにこだわりが⁉

タイトルや解説文は、子どもたちにも興味を持ってもらえるような華やかで、伝わりやすいデザインを心掛けて3人でアイデアを出し合いながら、一生懸命作成しました!
伝えたい内容を分かりやすく文字に起こすのが難しく、想像以上に時間と忍耐力、集中力が必要で企画を考え実現につなげることの大変さを痛感しました。

 

力が入ってズレちゃう

印刷した後は、適したサイズにカットしてのり付パネルに貼り付ける作業を行いました。
大きな定規でズレないように真っ直ぐ切るのが難しかったので慎重に作業進めました。

今日で私たちの実習も残り1日となりました。
最後まで学芸員のノウハウを余すことなく学んで帰りたいと思います!

私たちが作成した展示「比べて発見!旅のかばん」 は公開間近ですので、皆さん是非観に来てください!!

 

(令和6年民俗分野実習生)

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【地質分野実習生】展示を制作・解説しました

こんにちは。令和6年度地質分野学芸員実習生です。

私たちは2024年8月28日に山梨県都留市での野外調査で観察した湧水についての展示を作成しました。

 

展示をつくるにあたり、まず初めに構成を考えました。

その後、作業を分担し文字数や文字サイズに気を付けながらパネルの説明文をつくり、印刷しました。

印刷した説明文をパネルに貼り、余分な所を切り落として形を整えました。まっすぐ切れず苦戦しました。

展示ケース内にパネルをピンで留めました。

実物資料としては、収蔵庫から2点、私たちが採取したものを2点使用しました。

完成した展示はこちらです。

 

そして9月14日(土)には展示解説を行いました。

それぞれの来館者に合わせた解説をするのは難しかったですが、展示に興味を持っていただけて嬉しかったです。

拙い解説でしたが聞いてくださった方、足を止めてくださった方、ありがとうございました。

(令和6年度地質分野学芸員実習生)

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