オス?メス?

先日、カイコの授業に行った田名北小の生徒さんから質問が来ました。
「ボクが育てているカイコはオスですか?メスですか?」
恐れていた質問です。じつは、カイコの幼虫期の雌雄の見分け方はとても難しい。終齢になるとだいぶ見やすくなりますが、はっきりしない個体も多くてとてわかりにくいのです。
いちおう、見分け方は最尾部の腹側を見ることになっています。下の写真はオスです。

こちらがメス。尾脚の形は閉じているか開いているかの違いで雌雄とは関係ありません。

さっぱりわかりませんね。識別点に矢印を入れてみました。こちらがオスです。真ん中のくぼみの奥に腺が見えます。

こちらがメスです。くぼみには腺がなくて、そのまわりに4つの腺があります。

どちらの腺もはっきり見えない個体がいて、迷います。蛹になると同じ部分の模様で比較的わかりやすいのですが、蛹は繭の中です。羽化させて採卵する場合は繭を開いて確かめておきますが・・。
さらに言うと、カイコに尾部の腹側を見せてもらうのも至難の業です。そもそもこういう姿勢をとてもいやがるので、じっくり観察できません。接写機能の優れたデジタルカメラが出てきて、だいぶわかりやすくなりました。
(生物担当学芸員 秋山)

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頭も赤い!

先日ご紹介したカイコ在来品種の変異系遺伝子を持つow btsも、ほかの品種や交雑品種と比べるとちょっと成長が遅めですが、立派に終齢(5齢)を迎えました。
おもしろいのが、脱皮するたびに眼状紋や三日月紋が薄くなり、とうとう終齢ではほとんど見えなくなってしまいました。

そして今更気付いたのですが、頭が硬化した最尾部と同じような赤茶色であることです。通常はベージュなので、両端が赤っぽいなんとも不思議な姿です。さらに体は蝋質の半透明。つくづく、おもしろい姿です。

こちらは交雑品種の熟蚕(繭を作り始める状態のカイコ)です。owの蝋質の半透明とは違って、飴色の半透明です。

次々と繭を作り始めています。春蚕のf1とは大きさでは比べようもありませんが、かわいらしいくびれ繭がたくさんできそうです。
(生物担当学芸員 秋山)

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多摩川の河原を歩く

今日は相模原植物調査会の野外調査会でしたが、いつもとちょっと趣向を変えて、多摩川の河原の植物と植生を観察しに行きました。

私たちの主要なフィールである相模川中上流に一番近い地域を流れる大河川なので、相違点などを知ることは大切です。時折こうして他地域へ行ってみるようにしています。
小田急線和泉多摩川駅から歩いてすぐの左岸(狛江市)は、昭和49年の大水害の現場です。

名作テレビドラマ「岸辺のアルバム」(山田太一脚本)のモデルとなり、社会に大きな衝撃を与えた水害でしたが、今は「多摩川決壊の碑」が静かに事件の記憶をとどめています。
さて、やはり大都市に隣接した河川です。数多くの外来植物を観察しました。でも、相模川ではまだ見られていないもの、数がとても少ないものがあり、みなさんとても興味深そうに歩き回りました。写真はヒメクマツヅラです。県内ではまだ多摩川以外の河原で見つかっておらず、相模川では見られない外来植物です。

こちらは時折市内の相模川でも見られる外来植物ヤノネボンテンカです。

外来種ではありませんが、左のカヤツリグサのなかまはカンエンガヤツリです。相模川にはなぜか分布していない植物です。右は外来種のメリケンガヤツリで、ご丁寧に並んで咲いていました。

晴天であればバテてしまったのではないかと思いますが、幸いにも雨にはならない程度の曇り空、たくさん歩いて帰途につきました。そして、相模川とは微妙に異なる植物のようす、とても参考になりました。
(生物担当学芸員 秋山)

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博物館実習、終了

昨日、歴史分野と民俗分野の博物館実習生も展示を完成させました。

パソコンで原稿を作成し、プリントアウトしたものを糊付きスチレンボードに貼って、解説パネルを作りました。

解説パネルを移動式展示ボードに虫ピンで打ち付けて完成です。展示ボードの場所によっては全くピンを打ち込むことができず、悪戦苦闘しながら展示を完成させました。

博物館実習生の展示は自然歴史展示室の出口の前にあります。博物館にお立ち寄りの際は、ぜひ、ご覧ください。

これで今年度の博物館実習は全て終了しました。

実習自体は終わりましたが、これから、実習生の所属する大学へ書類を発送する業務が残っています。

(地質担当学芸員 河尻)

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ゴマダラチョウ


今朝見かけた蝶。ゴマダラチョウです。
幼虫はエノキを食べるので、先日紹介した外来種、アカボシゴマダラの影響が懸念されている種ですが、博物館周辺では時々見かけます。

全身白黒で地味なのかと思いきや、複眼と口吻が黄色くて、なかなかカッコイイです。
蝶って意外にメカっぽいな、と時々思います。(学芸班 木村)

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カイコの授業 1年生

今日は市内の田名北小学校へカイコの授業に行ってきました。今回はなんと1年生の授業です。
博物館で在来品種を育てていることを人づてできいたカイコ好きの先生から熱望され、一方で博物館ではちょっと手に余る数を育てていたのでこれ幸いとご提供し、授業も、ということになりました。

1年生なので、カイコという生きものに興味を持ってもらうようカイコのかわいらしさや、ふしぎな性質などを中心にお話ししました。また、食べるクワの葉の形のおもしろさなど取り入れたのですが、ちょっと難しいかなと思いきや、そんな心配は無用でした。1本の木から採集したさまざまな形の葉っぱをラミネート加工したものを見せると、「えーーっ!」「うっそーーっ!」とすばらしいリアクション。

それから、上の学年になるにつれて増える「虫は絶対ニガテ」という自我がまだあまりないせいか、成虫の写真のかわいらしさに目がハートマークになっている子がたくさんいたのが印象的でした。
授業終了後に、自分が担当しているカイコのことが心配で質問に来てくれた生徒さんもいました。

こちらが想像していたよりもはるかによく内容を吸収してくれたようで、楽しく充実した授業になりました。
ところで、博物館の小石丸、ぞくぞくと繭をつくりはじめています。これぞ、真正の「くびれ繭」です!

まだまだモリモリ食べている交雑品種もいて、クワの葉の調達とまぶしの用意などで大忙しです。
(生物担当学芸員 秋山)

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もうすぐ繭

今日は休館日ですが、カイコに休みはありません。8月下旬から育ててきた小石丸やそのほかの在来原種のカイコも5齢になり、まもなく熟蚕になりそうです。
からだがなんとなく透き通りはじめてきました。

ところで、ちょっと遅れて育て始めた品種に乞食というのがいます。なんとも書くのが憚られるような名前ですが、品種名なのでしかたがありません。
この品種は黄色いくびれ繭をつくるそうです。中国原産品種には黄色い繭が多いのですが、在来品種では珍しいですね。その色を「金色(こんじき)」としたところから転訛したそうですが、なにもそんな名前に転訛しなくても・・と思います。そして、中国原産品種には眼状紋のない、いわゆる「姫蚕(ひめこ)」が多いのですが、この乞食も姫蚕です。

全体的に色も少し黄色っぽい感じがします。
一方で、小石丸×青熟という交雑品種も育てていますが、こちらは眼状紋も三日月紋(背中に出る三日月形の紋)もとてもはっきりしています。眼状紋は原種のクワコそっくりです。

カイコを育てていると、いろいろと小さな発見の連続です。
(生物担当学芸員 秋山)

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葉っぱかと思ったら…

博物館の前で「なんか良い被写体(この場合、ほぼクモを意味します)はいないかなあ、と木の枝を眺めていた時、ちょっと変な感じの葉がありました。
ちょっとじゃまだったので、つまもうとしたとたん…飛びました。
正体はこれ。

クツワムシです。体が大きいので、目の前で飛んだ瞬間はかなりびっくりしました。
絶妙な擬態なので、どうせなら隠れている姿を写真に撮りたいものですが、次に出会っても多分、気づかないだろうなあ、と思います。

こちらはワカバグモの幼体。うん、これならすぐわかります。探す時の目の使い方も違うのかも知れませんね。(学芸班 木村)

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宇宙のワクワクを思い出しました

今日は「宇宙ってすごい! 宇宙の“なぞ”と“ふしぎ”のおはなし」(中央地区 宇宙教室実行委員会「子どもと大人共に学ぶ宇宙教室」公開講座)を開催しました。

講師はJAXA宇宙科学研究所の大川拓也さん。

子どもたちに積極的に参加してもらうため、お題を予め用意して、その中からいくつか選んでもらいました。

参加者と対話しながらの進行です。

有名な「ドレイクの方程式」を使って、宇宙人と交信できる可能性の説明。

子どもたちにブラックホールの絵を描いてもらっているところ。

様々な話題を色々な方法で説明してくださるので、あっという間に、講演時間の1時間30分が経過してしまいました。
こんなふうに「基礎的だけれどどこにもまとめて書いてない話」をわかりやすく説明してもらう機会はとても貴重だと思います。私も久しぶりに宇宙にワクワクした子どもの頃を思い出しました。

大川さんのお話は、来月も聞く機会があります。今度はプラネタリウムで見る宇宙の姿&天体望遠鏡で星空観察。次回も中央地区 宇宙教室実行委員会「子どもと大人共に学ぶ宇宙教室」の公開講座という形で開催します。事前申し込み制ですが、ぜひご参加ください。(学芸班 木村)

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マルバアサガオ

ヒルガオ科のご紹介もクライマックスに近づいてきました!(勝手に盛り上がっていますが・・)
今回はマルバアサガオです。

あれ?これアサガオ!?
そうなんです。本種に限らずアサガオのなかまで時折見られる「切れ咲き」という変化咲きの一種で、栽培下でもよく見られます。たいてい、付近の花がまとまってこんなふうに変化しています。

アサガオは江戸時代から断続的に大ブームが巻き起こっている園芸植物です。今、入谷の朝顔まつり(朝顔市)は比較的オーソドックスな鉢植えの販売が中心ですが、かつて、地元の栽培業者が競ってこうした変化朝顔を高値で取引していたそうです。
ちなみに、上の写真のような切れ咲きなどは変化朝顔の初歩の初歩で、珍しくもなんともありません。本格的なものになると幾重にも変化が重なり、ほとんどアサガオの原型をとどめていないようなものもあります。
さて、横道にそれましたが、オーソドックスなマルバアサガオはこちらです。

西洋系のアサガオとして園芸用に持ち込まれたものと考えられていますが、野外で雑草化しているのもよく見られます。名前がマルバアメリカアサガオと紛らわしいのですが、やっぱりここは萼片の形を見てみると・・

短く切れた萼片と、何よりこの独特の色合いが特徴です。

紅色から濃い青、紫までバリエーションがありますが、いずれも濃厚な色合いに曜(花弁に放射状に入る5本の筋)が同系色で妖しい雰囲気を醸し出しています。秋咲きで、10月下旬まで花を楽しめます。
(生物担当学芸員 秋山)

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