大雨のあとの河原

今週降り続いた雨の影響、特にカワラノギクの保全圃場のようすを見に、相模川の河原へ行ってきました。
河原へ下りる道にはヒガンバナが咲き始めていました。

河原が一面冠水したものと思って行ったのですが、あまり増水しなかったようです。上流のダムの放水量がそれほど多くなかったということでしょう。

水際の一部がまだ水に浸かっていたものの、高水敷は流れの痕もなく先週までとほとんど変化がありませんでした。

カワラノギク群落のような河原特有の植生の場合、数年に一度程度は水をかぶって砂礫もろとも流されることが必要です。そうして植生遷移が振り出しに戻り、肥沃な土壌が堆積したところに群落が再生します。人間にとっては脅威となる大雨による河川の増水ですが、自然界ではそれも生態系の中に組み込まれている事象なのです。
帰りに、カイコのためのクワを採って帰ろうと枝に手をかけると、ヤブツルアズキのつるに花が咲いていました。

栽培のアズキにもっとも近い野生種と言われています。
気温はともかく、いつの間にか秋になりました。
(生物担当学芸員 秋山)

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マルバルコウ

なかなか降り止まない雨が午後、ちょっとだけやみました。すかさず自転車を走らせて、博物館の近くの道端で写真を撮りました。

ヒルガオ科のご紹介シリーズ、今回はこのおばけのように看板を覆った植物です。マルバルコウと言います。このようすが撮りたくて、雨雲レーダーを時折チラチラ眺めて雨の切れ目を狙っていました。
花を拡大すると、さすがはヒルガオ科です。漏斗状の五角形の花弁に、このなかまには珍しい朱色が鮮やかなかわいらしい花です。

雨にも映えて、しかもこのお天気なのにしっかり花が開いています。

すぐ横に、次にご紹介しようとしているマルバアサガオもありましたが、午後ということもありますがそちらはすべてしわくちゃにしぼんでいました。
それにしても、旺盛な繁殖力です。

じつはこのマルバルコウ、畑に入るととんでもなく猛威をふるい、農家の方々を困らせます。先日ご紹介したマメアサガオコヒルガオもそうですが、ヒルガオ科の雑草はほぼすべて、畑の強勢雑草です。
じつはこのマルバルコウ、近縁のルコウソウは朝顔市などでも売られることがある可憐な園芸植物です。花はそっくりですが、朱色ではなく強烈な緋色で、葉が糸のように細く切れ込みます。
ルコウソウはあまり野外にはびこらないのですが、なぜかこのマルバルコウは秋の代表的な雑草となっています。
(生物担当学芸員 秋山)

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ow bts

何かの暗号のようなタイトルですが、これは、カイコの変異型遺伝子の名称です。その変異型遺伝子を持つカイコがこれです。

おそらく、何も言われずに見れば普通のカイコとなんら変わりなく見えると思います。違うのは、うしろの方です。

じつは私も今回の日本在来原種を育てる中で初めて見たのですが、幼虫最尾部に茶色の皮膚硬化が見られるタイプの変異なのです。なんだかエビのしっぽみたいですね。さらにもう一つの特徴は、体が半透明だということです。言われてみれば、通常のカイコの強い白と比べると、ちょっと下が透けて見えているような色です。

タイトルのow btsとは、「waxy oily(ow ろうのように透けて見える)」と「brown tail spot(bts 茶色の尾斑)」というそれぞれの形質を表す略号なのです。
こうした変異形質は、遺伝子の変異が目に見える形として出ることから、遺伝学の材料としてとても重要です。蚕遺伝学の世界ではこれに「日本錦」という名前も付けられているそうです。
今回このような日本在来原種を育ててみて、改めてこうした優良教材を使った遺伝学の実験や実習ができるのではないかと考えています。カイコの世界、奥深いです。
(生物担当学芸員 秋山)

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ガスくん蒸

先日は館内の有害生物調査についてブログで紹介されていました。
これはIPM(Integrated Pest Management=総合的有害生物管理)の一環として行われているもので、点検、調査、清掃、防除等を総合的に組み合わせた管理方法です。今、さらに対処・防除方法の一つである収蔵庫のガスくん蒸を実施しています。

なにやら収蔵庫前に大がかりな配管やチューブが設置されています。毎年実施している定期くん蒸は資料をビニールで被覆してガスを入れる簡易なものですが、今回は大規模です。一部の収蔵庫においては文化財害虫の完全な防除が必要です。10数年ぶりに、こんな大規模なくん蒸を実施中です(写真はガス投入前のものです)。

一昔前までは、博物館資料の脅威となる文化財害虫に対して薬剤によるガスくん蒸一辺倒と言ってよい害虫防除をしてきました。しかし、人体や地球環境への影響などから、薬剤による防除の比率をできる限り下げることが現在の博物館においても趨勢となり、当館でもIPMを取り入れています。
しかし・・当館のような総合博物館ではさまざまな来歴の新規収蔵資料を受け入れているため、薬剤による防除を完全にゼロとすることができません。毎年定期的に、必要最小限の薬剤量となるようにガスくん蒸を行っています。また、空調設備も老朽化し、収蔵庫の室内環境の安定化も難しいことから、このように収蔵庫ごとくん蒸する必要も生じます。
資料を永久に保存・管理するための措置ですが、今後も点検清掃をこまめに実施して、できるだけ薬剤の使用を抑えたIPMを目指していきたいと思います。
(生物担当学芸員 秋山)

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実り

ダブル台風が近づいていて、活発な秋雨前線の影響もあってしばらくまたぐずついたお天気が続きそうです。
そこで、先週土曜日の晴れ間にちょっと訪ねた里山で見つけた、実りの写真をいくつかアップします。
こうべを垂れる稲穂の季節です。これから田んぼはさらに黄金色を強めていきます。

ナスは花が咲きながらしっかり実っています。

水路をのぞくと、アメリカザリガニが水の中からファイティングポーズ!

次の晴れ間はいつになることやら・・。でも、低い空のダイナミックな雲がいろいろと見られそうで、それはそれで楽しみです。
(生物担当学芸員 秋山)

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プラネタリウム宇宙ライブショー

今日は、プラネタリウム宇宙ライブショー「太陽系の秘境を訪ねる」を開催しました。

講師はJAXA宇宙科学研究所の大川拓也さん。
平たく言えば、プラネタリウムでの講演会なのですが、スペースシミュレータを使って、宇宙の「秘境」を訪ねて歩いているかのような演出を施しています。

登場したのは、小惑星イトカワ、冥王星、土星の衛星エンケラドス、小惑星ケレス、火星の衛星フォボスなど。
いずれも最近、探査機によってクローズアップ画像が得られたものばかりで、最新の映像を元に、まさに「ライブ感たっぷり」にお話ししていただきました。

実は大川さんには9月12日(土)にも、地下の大会議室で講演をしていただく予定があります。
題して 「宇宙ってすごい! 宇宙の“なぞ”と“ふしぎ”のおはなし」
相模原市中央地区 宇宙教室実行委員会が開催する「子どもと大人共に学ぶ宇宙教室」の1コマを公開講座とするものです。
これも面白そうです。
事前申し込み制ですが、ぜひご参加ください!(学芸班 木村)

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昼間の水星、見えませんでした…

今日は「昼間の水星を見よう」という観望会を開催しました。
水星が見やすい位置にあるのと、 企画展の関連事業、2017年1月に打ち上げが予定されている、水星探査機MMO(ベピ・コロンボ計画)応援という企画でもあります。

しかし、あいにくの曇天〜雨模様。
いかに口径40cmの望遠鏡でも星は見えません。

そこで定番の天体観測室見学を開催。望遠鏡の中を覗いてもらいました。

こんな天気にもかかわらず、たくさんの方に参加していただけました。
ありがとうございました。

明日は プラネタリウム宇宙ライブショー「太陽系の秘境を訪ねる」を開催します。17:00-18:00(15:30から整理券配布)講師はJAXA宇宙科学研究所の大川拓也さん。お時間がある方はぜひどうぞ!(学芸班 木村)

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地質分野実習最終日

本日は9日間に渡る地質分野の実習の最終日でした。

今日の最後は、昨日までに実習生4人で製作した展示についてお客様を相手に展示解説を行いました。

見てくださる方の年齢層も異なるため其々にどのように話しかけたら良いのか、という点やお客様を相手にした時の間合いの取り方などがとても難しく感じました。

ちなみに、午前中には神奈川県立相模原青陵高校の地球惑星科学部の自作プラネタリウム(下の写真が収容人数20人のSORAちゃんドーム)を見学させて頂きました。

きらめく星々と飛び出す影は圧巻でした!!

最後に、実習期間中は色々なことを教えて頂くことができ、とても充実した9日間だったと思います。

ありがとうございました。

 

地質分野実習生

首都大学東京 武原

東京都市大学 野中

日本大学 小沢

日本女子大学 加瀬

 

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ビジョオニグモ

駅前の植え込みで見つけたクモ。
2014年6月のブログでも紹介した、ビジョオニグモ。今回もメスの幼体です。

葉上にテント状に糸を張った隠れ場所に潜んでいる様子。

「キレ網」と呼ばれる円網を一部欠いたような形の網。

ちょっと博物館に来てもらい、モデル撮影。
生態、形態とも、春から初夏に出現するアオオニグモに似ていますが、出現時期がこちらは夏から秋。腹部の斑紋も異なります。
それにしてもな青鬼と美女。ずいぶんイメージが違う和名だな、といつも思います。(学芸班 木村)

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地質分野博物館実習 展示完成!

地質分野の博物館実習生の展示が完成しました!

共通実習で習ったことを活かしてキャプション作り。

自然歴史展示室の出口に、移動式のボードを設置し、剥ぎ取り標本と解説パネルを貼って展示を完成させました。

まずは剥ぎ取り標本を画鋲で止めていきます。

次に解説パネルを貼り、

その上に、タイトルを付けました。

最後にキャプションを付けて完成です。ボードの場所によってはキョプションを止めるピンがうまく打ち付けられないので悪戦苦闘。最初の位置からずらして打ち付け、なんとかキャプションを付けることができました。

無事、展示完成!4人の実習生が協力して短期間で作り上げました。

10月下旬ぐらいまでは展示する予定なので、博物館にお立ち寄りの際は、ぜひご覧ください。

(地質担当学芸員 河尻)

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