秋深まる西丹沢

10/24、相模原植物調査会のみなさんと西丹沢、山伏峠へ調査に行きました。
甲相境の稜線は秋風が涼しく、紅葉もちらほら始まっていました。
121024山伏峠041S
地面からイガクリ頭が突き出ていました。これは、ホコリタケの幼菌。今年はキノコが少ないです。
121024山伏峠011S
ちょっと季節を間違えて咲いてしまったエイザンスミレ。
121024山伏峠018S
帰りに三国峠をまわって鉄砲木ノ頭にも足を伸ばしました。雲間から光芒が伸びて、富士山麓に幻想的な空間をつくりあげていました。
121024山伏峠099S
(生物担当学芸員 秋山)

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出前授業「大地のつくり」

今日は小学校へ出前授業に行ってきました。
内容は「大地のつくり」で、博物館にあるボーリングコア、地層の剥ぎ取り標本、化石を持って行きました。
ボーリングコアの観察です。地表から約25mの連続コアを1mずつに切って箱に収めてあります。地下の様子がよくわかるので、子どもたちは熱心に観察していました。このコアは博物館を建設したときのものです。

剥ぎ取り標本の観察です。約6万6千年前に噴火した箱根の火山灰の地層が特に人気がありました。
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でも、やっぱり一番人気は化石。約300万年前の化石に触れることができ、子どもたちは大喜びでした。
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(地質担当学芸員 河尻)

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すっかり成熟したナガコガネグモ

7月7日のブログで紹介したナガコガネグモ。その時点ではまだ成熟していないらしく、ひょろっとした姿でしたが、立派なオトナになった個体を見かけたので、写真を撮りました。
成熟ナガコガネ
ナガコガネグモ(雌)
なんとなく夏のクモのイメージがあるのですが、秋にかけて長い期間見ることができます。
ところで、同じく秋にかけて見られる大型のクモ、ジョロウグモはどんな色をしているか、みなさん思い浮かべる事ができますか?
なんとなく黄色と黒の縞模様だと思っていないでしょうか?
ここで、同じく今日撮ったジョロウグモの写真をご紹介します。
成熟ジョロウ
ジョロウグモ(雌)…よく見ると脚が1本欠けているようです
黄色の縞はありますが、もう一色の縞は灰色のような青っぽいような感じですね。
完全に成熟した雌の色彩はこうなります(成熟前は黄色と黒ですが、縞模様ではなく、斑模様をしています)。こうやって比べてみると全然違うのが一目瞭然です。
もっとも、ナガコガネグモをジョロウグモと呼ぶ地方もあるそうなので、「ジョロウグモは黄色と黒の縞々」といっても「それは間違いだ!」と簡単には決めつけられないのでご注意ください。(学芸班 木村)

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浮き出る秋の色

野外の植物たちの風景が、だんだんと水気を失ってくすんできました。
低地では、紅葉までまだ少し時間があります。落葉樹は今頃、光合成業界シーズン最後の在庫一掃セールの準備に余念がないはずです。
さて、そんな風景の中で、目が覚めるように浮き出た「色」に出くわすことがあります。
まずは、カワラナデシコ。青空を従えて堂々たる咲きっぷり。私たちが最近、日常的に使う「なでしこ」とはこの花が本家本元です。
111028神沢05S
もう花期も終わりましたが、ヒガンバナ。突然のように咲き始めて、あまりの色合いの濃さにびっくりします。
101006三井82S
果実も負けてはいません。ハダカホオズキ。葉の下側に垂れ下がるぶん、強烈な彩度と明度の果実で自己主張します。
101101宮ヶ瀬03S
最後はマルバハギ。それほど明るくない林内で出会うと、灯火のように浮き出て見える花です。
101006三井77S
もうあと1月もしないうちに、低山まで紅葉が下りてきます。そのころには落葉樹に主役の座を譲ります。
ひとときの輝きを今のうちに楽しみたいと思います。
(生物担当学芸員 秋山)

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秋の御嶽山

昨日(10/17)、奥多摩の御嶽山へ調査に行きました。なぜ奥多摩かというと、相模原市北部の小仏山地の植物相は、関東山地(の南部を小仏山地と呼んでいます)から秩父へと連なる山々の影響を受けていて、丹沢や箱根とはまた少し違った特色を示しています。
そこで、奥多摩の植物相を見ておくことが、小仏山地の特色を見いだすためにも必要なのです。
さて、登山者が多い御嶽山山頂付近をスルーして、大楢峠へと向かいます。
121017御岳山32S
まだ紅葉には早く、すれ違う人もない登山道でゆっくりと植物を観察します。セキヤノアキチョウジが花盛り。妖しげな色合いと形の花です。
121017御岳山48S
シロヨメナ。どこにでも普通にある野菊ですが、相模原市内の丹沢山麓や、相模川の段丘崖などにあるものは、著しく葉がざらつくという特徴があります。小仏山地や奥多摩のシロヨメナの葉はざらつきません。同じ種なのになぜ??解明しなければいけないテーマの一つです。
121017御岳山41S
じっくり写真も撮れました。これもどこにでもありますが、イラクサの棘。毒液が入っていて、うっかりさわると激痛が走ります、その「毒液注入針」の拡大写真にチャレンジ、なかなかいいのが撮れました。
121017御岳山56S
帰りに回ったバットレス。この日もクライマーが2人、チャレンジしていました。見上げているだけで、頭がクラクラします。
121017御岳山72S
お隣の地域なのに、市内とはまた違った植物のようす、とても勉強になりました。
(生物担当学芸員 秋山)

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オオヒメグモの受難(続編)

10月11日にブログに書いた、オオヒメグモの網にあった寄生蜂の繭ですが、今日、出勤してみるとハチが
出てきていました。
ヒメバチ
体長6mm程度の小さなハチです。やはりマダラコブクモヒメバチのようですが、断定は避けておきます。
もしクモの網に繭のような物がかかっていたら、こうして採集しておくと寄生蜂が出てくるので、これからも見かけたら集めてみようと思っています。(学芸班 木村)

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ヘビの顔

先日、ちょっとわけあってアオダイショウが博物館に一時滞在しました。
まだ若くて顔もりりしく、なかなかのハンサムです。
121012博物館04S
といっても、ヘビがお嫌いな方にはちょっと耐え難い写真かも(スイマセン)。
どうしてヘビは嫌われるのかな?もう生理的にダメ、という方も多いようです。でも面白いことに、観察会などでヘビがいて、捕まえてみなさんに見せることがあるのですが、その反応にちょっと傾向があります。
いやだ~っ、と言いながら、おそるおそる触りに来るのは大抵女性です。男性でヘビが好きな人は別として、ダメな方は近寄ることもありません。遠巻きに見ています。
それから、初めて触った、という方の感想の多くは、「スベスベしてて意外」です。ヌルヌルしていると思っている人が多いようです。ウナギじゃないんですから…。
さて、こんなアングルはいかがでしょうか。
121012博物館15S
やっぱりダメかな…。ま、ダメなものはダメということでまったくかまわないと思います。でも、昔の人々は自然との接し方がうまいですね。家のネズミを捕ってくれる、ということで神とあがめていました。好きとかキライとかではなく、不可侵、ということです。その距離感が大切ですね。
庭にアオダイショウがお出ましになると、おっきなヘビがいた!と警察に通報が行ってしまう昨今。ヘビもさぞや生きづらいことでしょう。
(生物担当学芸員 秋山)

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オオヒメグモの受難

オオヒメと卵
これは、オオヒメグモ。真ん中にいるのがクモで、右側に卵のうがあります。人家周辺で普通に見られるクモで、写真のとおり不規則網を張ります。
ヒメバチまゆ
では、これは何でしょう。
オオヒメグモの網ですが、真ん中に変なものが鎮座しています。
答えは、蜂の繭。
寄生蜂に卵を産み付けられたオオヒメグモの末路です。この繭の中には、蜂のさなぎが入っています。
ヒメバチというハチの仲間は寄生性で、種ごとに寄生する相手が決まっているのだそうです。というわけで、この繭からはマダラコブクモヒメバチというハチが飛び出してくるはずです。
他の昆虫などを食べて生きているクモですが、こんなふうに食べられてしまう事もあるのですね。(学芸班 木村)

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標本を扱いながら思った事

今日は珍しく(?)学芸員みたいな仕事をしてしまいました。博物館の近くでクモを採集して、顕微鏡で調べたのです。
いつも通勤途中に観察をしているのですが、ある時、沢山のコクサグモが造網していた歩道沿いの植え込みが、きれいに剪定されてしまいました。ところがその後、コクサグモの幼体がまたちらほら現れたのです。時期的には、前回の出現より1~2ヶ月遅い感じです。果たしてこれが本当にコクサグモなのか、それとも別種ではないかと気になっていました。
クモの種類を正確に知るためには、成体を捕まえて、顕微鏡で生殖器の形態を調べる必要があります。毎日様子を見ていて、そろそろ成体になる頃だと思い、採集しました。
結果は果たしてコクサグモでした。驚いたことに、かなり小さくて「幼体では?」と疑っていた個体も全て成体だったことです。
同じ時期の個体のサイズにかなりのバラツキがありそうなこともこれでわかりました。
ところで「顕微鏡で観察」という作業は普通、クモを生かしたまますることができません。
アルコールに浸けた状態で見るのです。久しぶりにやってみると、少し心が痛みました。昆虫などの生き物を対象にしている人は皆、経験がある事と思いますが、こういった作業を繰り返しているうちにどこかで「かわいそうだ」と考える事がなくなります。私は今、博物館で働いているので「記録として標本を残す」という大義名分がありますが、それでもどこかで「かわいそうだ」と思う心のスイッチを切っているのです。その事を久しぶりにに意識しました。そのうち、生き物を殺さなくても完璧な記録が採れるような技術が開発されるかもしれません。そうなればいいな、と思う一方、実物記録としての標本がない世界というものを心の何処かで否定しています。
これは古くからある議論なので、おいそれと結論が出るものではないのですが、ちょっとした作業をする事で思わず初心に帰る事ができました。(学芸班 木村)

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落とし物

英語で鳥のフンのことを、droppingsと言います。
「落とし物」という意味を含むこの言い方、とても好きです。排泄物と言うより、生きもののつながりを感じるからです。
博物館の前庭にも、droppingsから新しい命が芽吹いています。一つは、カクレミノ。
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ムクノキもありました。鳥たちがよくとまる枝の下にはこんな芽生えがちらほらとあります。こうした植物の種子は、鳥たちに果肉を食べられて、フンとして排泄されることで、芽生えのスイッチが入るようになっています。親から離れた場所で芽生えようという植物の知恵です。
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上を見上げると、巻積雲の波状雲(ちょっと不完全ですが…)が見えました。秋の空の色はやっぱりきれいです。
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(生物担当学芸員 秋山)

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