個性豊かな全6分野の実習生展示が完成しました!

8月5日のブログで令和8年度の博物館実習が始まったことをお知らせしましたが、それから早くも1か月以上が経過……一部の分野を除き、ほとんどの実習生が全ての日程を完走しました。
現在、当館が今年度に受入れた実習生たちの集大成である「実習生展示」を館内各所でご覧いただくことができます。それぞれの分野の実習生が企画・制作した力作揃いの「令和8年度実習生展示」を紹介します。

多目的スペース(旧情報サービスコーナー)とエントランスでは、歴史、民俗、地質の3分野が展示を行っています。

歴史分野実習生展示

歴史分野は「上溝市場の記録から見る相模原と養蚕」と題し、かつて中央区上溝で開かれていた市場と、市域でさかんだった養蚕の関係について取り上げています。明治45・大正元(1912)年に上溝市場で取引された養蚕関連の物品売買の記録が残る貴重な資料や、実習生自身が足を運んで撮影した現在の上溝地区の写真など見どころ満載です!

民俗分野実習生展示

民俗分野は「うちわから見る昭和の人々の暮らし」というタイトルで、淵野辺駅近くの商店街で昭和期に暑中見舞いの贈答品として配布されていた「うちわ」を展示しています。当時の人々の生活や、地域の商店の様子を知ることができる涼やかな展示です。

地質分野実習生展示

地質分野の実習生展示は「岩石に残る火山の記録—猿橋と象の鼻で見つかった噴出物—」です。山梨県大月市の猿橋と象の鼻の地形や、岩石から分かる火山活動について解説しています。ケース内の岩石は、なんと実習生たちが実際に現場で採集したもの!必見のポイントです。

自然・歴史展示室内では、考古、生物の2分野の展示をご覧いただけます。

考古分野実習生展示

「郷土の歴史」コーナーの一角では、考古分野「相模原の土偶 縄文時代の祈り」を展示中です。実習生がひとつひとつ選んだ土偶が勢揃いしています。ぜひ展示をご覧いただきながら、お気に入りの1点を見つけてみてください。

生物分野実習生展示

生物分野の実習生展示は、「戦う!化ける!生き延びる!—チョウの生存戦略」です。魅力のアピールや擬態など、様々な意味をもつチョウの色や柄。厳しい自然界を生き抜くチョウの“戦略”を個性的な解説パネルで紹介しています。展示場所は、「人と自然のかかわり」コーナー内です。

天文分野実習生展示

天文分野「プラネタリウム番組企画と投影」は、天文研究室前で展示しています。実習生3名が「夜空に輝く夏の星座と赤い星」というプラネタリウム番組の企画・解説に挑戦しました。実際の投影映像(約35分)とあわせてご覧ください!

各分野の実習生展示の終期と展示場所をまとめると次のとおりです。本日から9月25日までは、全分野の展示をご覧いただけます。この期間にぜひご来館ください!

分野 終期 展示場所
考古 ~10/17(土) 自然・歴史展示室 「郷土の歴史」内
民俗 ~9/27(日) エントランス 自然・歴史展示室出口付近
歴史 ~9/25(金) 多目的スペース(旧情報サービスコーナー)内
生物 ~9/27(日) 自然・歴史展示室 「人と自然のかかわり」内
地質 ~10/8(木) エントランス 休憩コーナー付近
天文 ~10/17(土) 天文研究室前

※展示会期は変更となる場合があります。

(歴史担当学芸員)

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博物館実習民俗分野最終日

こんにちは!民俗分野の実習生です。
博物館実習最終日は、午前中に展示解説の準備を行い、午後は展示解説を行いました。

展示設営の様子

パネルの配置決めや、虫ピンの打ち込みなどが特に難しく、3人で意見を出し合いながらどんな配置が美しく見えるのか試行錯誤しながら設営しました。

展示解説の様子

展示解説は、通りすがりの来館者の方に向けて行いました。来てくださる方の年齢層によって解説を臨機応変に変えるのが難しかったです。自分たちの言葉で資料について伝えられるよう頑張りました!
今回の実習で得た経験を、今後の学びに活かしていきたいです。

展示は9月27日まで行っています。ぜひお越しください!
(令和8年度 民俗分野実習生)

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オトコエシ

博物館お隣の樹林地で、オトコエシが花盛りを迎えています。

オトコエシ

小さな白い花がびっしりと集合しています。一つ一つの花は拡大するとかわいらしい咲き姿です。

オトコエシの花

ところで、オトコエシ(男郎花)とはちょっと不思議な種名です。由来は諸説ありますが、秋の七草の一つであるオミナエシ(女郎花)によく似ているものの、茎ががっちりした様子を対比してこの名がついたと言われています。

オミナエシ(陣場山)

しかし・・オミナエシも結構大柄な植物ですし、それほど違いがあるとは思えません。
植物の名には、このように近縁の種どうしを「オ(男)」と「メ(女)」で呼び分けるものも多く、さらには小さな方を「ヒメ・・」や「オトメ・・」などと呼ぶ例も多くあります。いずれも現代の感覚からするとちょっと不適切なように思います。
ちなみに、春の七草が新年に健康や繁栄を願って食べる風習にならって選ばれているのに対して、秋の七草は万葉集にちなみ、秋の風情を楽しむための“草原の花”です。

キキョウ(栽培品)

秋の七草のハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウのうち、後半の4種はいずれも農地や草原の減少から、絶滅危惧種となっています。
(博物館長・学芸員)

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令和8年度 地質分野実習 ~展示作成編~

こんにちは!令和8年度の地質分野実習生です。

野外調査では、猿橋と象の鼻を訪れ、岩石の観察や採集を行いました。今回は、その成果ふまえて展示作成に取り組みました。

展示では、猿橋と象の鼻で見られる、約1,200万年前の火山活動によってできた岩石を紹介することにしました。

現地では崖や岩石と向き合っていましたが、博物館に戻ってからは文章と写真の配置と向き合っていました。

岩石より動かせるはずなのに、なかなか言うことを聞いてくれません。

迷ったときには館内の常設展示を見て回り、文字の大きさや写真の置き方などを参考にしました。

普段は何気なく見ていた展示も、作る側になると「こんなところまで考えられていたのか」と気付くことばかりです。

内容が決まったら、印刷した紙をパネルに貼り、カッターで形を整えていきます。

気泡やしわが入らないよう慎重に貼り、端をまっすぐ切ります。
とても簡単そうです。実際にやると、まったく簡単ではありません。

最後は、完成したパネルを展示ボードに取り付けます。

こうして、展示が完成しました。

今回の実習を通して、展示は資料を置くだけではなく、「どうすれば分かりやすく伝わるか」を考え、工夫を重ねて作られていることを学びました。

約1,200万年前の岩石を紹介するために、文字を数ミリ動かして悩む私たち。
時間のスケールはかなり違いますが、どちらも展示には欠かせません。

完成した展示は、ぜひ博物館でご覧ください。

また、9月19日には実習生による展示解説も行います。

岩石は自分では話してくれないので、その日は私たちが代わりにお話しします。

ぜひ、展示とあわせて見に来てください!

 

(地質分野 実習生)

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白露

9月7日は二十四節気の白露でした。気温が下がり、露ができはじめるころとなります。
翌日の9月8日に博物館お隣の樹林地に咲くセンニンソウの写真を撮影しようとシャッターを押したところ、ぼやけた写真が撮れてしまいました。

センニンソウ

おや?と思いレンズを確認すると、レンズフィルターが曇っていました。白露というより、秋の長雨の影響で湿度が高く、気温も高かったためフィルターが曇ってしまったようです。フィルターを拭いてから改めて撮影しました。

撮り直したセンニンソウ

この日は薄曇りで、気温は猛暑というほど高くはありませんが、晴れればまだまだ真夏並みの高温になりそうです。
近くのアケビのつるには、外来種のチュウゴクアミガサハゴロモの幼虫がびっしりとついていました。この3年くらいで急激に分布を広げて増加中の昆虫です。

チュウゴクアミガサハゴロモ(幼虫)

在来種のアオバハゴロモの成虫も向かい合ってとまっていました。

チュウゴクアミガサハゴロモと向かい合ってとまるアオバハゴロモ(成虫:右側)

急激に増えた新顔の外来種に何を思ってとまっているのか、ちょっと聞いてみたくなりました。
(博物館長・学芸員)

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【9月5日から】市史ミニ展示「『こども急増びんぼうはくしょ』人口急増期の相模原」

9月5日(土)から、市史ミニ展示「『こども急増びんぼうはくしょ』人口急増期の相模原」が始まりました。

市史・町史編さん事業はすでに完了していますが、編さん過程で収集した膨大な資料の整理作業や、次の市史等の編さんを見据えた資料収集は現在も当館で継続しています。その成果を公開し、郷土史への関心をもっていただくための場が「市史ミニ展示」です。

今回のテーマは、『相模原市財政白書〔こども急増びんぼうはくしょ〕』です。爆発的な人口急増を迎えたさなか、昭和50(1975)年に市が発行したこの財政白書は、“こども急増びんぼうはくしょ”というショッキングな副題と内容で当時注目を浴びました。

『相模原市財政白書〔こども急増びんぼうはくしょ〕』(当館所蔵)

このミニ展示では、人口急増に伴って喫緊の課題となった市内小中学校新設の対応状況や、『こども急増びんぼうはくしょ』の発行後、同様に人口急増による諸問題を抱えた他の自治体の首長らが相模原市へ視察に訪れた様子を取り上げた広報紙などを紹介しています。

学校要覧や広報紙など1970年代の実物資料を展示しています!

ひっ迫した財政状況下で学校建設に追われる様子を、財政白書のなかで「『子供部屋づくりに追われている貧乏人の子だくさん』の姿そのもの」と例えた当時を思うと、少子化の影響により、市域でも学校の再編・閉校が進められている近年とは隔世の感があります。

ミニ展示全体の様子

展示は11月1日(日)まで、当館自然・歴史展示室内の「郷土の歴史」コーナーで開催しています。ぜひご観覧ください!

(歴史担当学芸員)

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博物館実習民俗分野5日目

こんにちは!民俗分野の実習生です!
分野別実習5日目は引き続き展示発表に向けた準備を行いました。
展示パネルの作り方を学んだほか、実際に展示ケースにパネルを設置して試行錯誤しながら展示の導線を決めました。

キャプション作成をしている様子

実際に展示ケースに入れて見ると、思っていたよりもパネルが小さく見えてしまうため、サイズの調整が難しかったです。全体のレイアウトを見ながら、どうしたら来館者の方にとって見やすい展示になるのかを3人でたくさん考えました!

展示のレイアウトを考えている様子

明日はいよいよ展示発表当日です。今までに私たちが学んできた集大成をみなさんにお披露目できるよう、精一杯頑張ります!また、明日は午後から展示解説を行う予定なので、ぜひ足を運んでいただけたら嬉しいです!

(令和8年度 民俗分野実習生)

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“荒地”と名につく植物

博物館の前庭には、数年前からアレチヌスビトハギが目立つようになってきました。

アレチヌスビトハギの花

花はかわいらしいのですが“ひっつき虫”なので、結実すると衣類にびっちりとくっついてやっかいな存在です。

アレチヌスビトハギの果実

ところで、博物館前庭や周辺の樹林内にはもともと在来種のヌスビトハギが自生しています。こちらも代表的なひっつき虫なので、秋に調査で入るとズボンなどがヌスビトハギだらけになってかなりの困りものです。

ヌスビトハギの果実

ヌスビトハギの花はこちらです。

ヌスビトハギの花

アレチヌスビトハギとヌスビトハギはマメ科に属する近縁種ですが、見分けるのは簡単です。花はアレチの方が大きく全体がピンク色、果実はヌスビトハギが2つずつつながるのに対して、アレチは4~5つずつつながります。
葉も形が違い、ヌスビトハギは小葉(3枚一組になった葉の、1枚ずつの葉)が幅広です。

ヌスビトハギの葉

アレチは細長いのが特徴です。

アレチヌスビトハギの葉

ところで、外来種の中でも近縁の在来種がすでに分布している場合、その和名の頭に「アレチ(荒地)」とつけられることがよくあります。『神奈川県植物誌2018』のさくいんをめくると、アレチウリ、アレチノギクなどたくさん並んでいます。
こうした植物の多くは大陸の乾燥地などが原産であることが多く、日本では初期の造成地など荒涼とした場所で見いだされるためそんな名が付けられたのでしょう。外来種の名には他にもニセアカシア、ワルナスビなどあって、名付けた際の悪意というか、警戒心のようなものを感じます。
(博物館長・学芸員)

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秋花粉

花粉症と言えば春のスギ花粉が社会問題化していますが、花粉はその後も初夏、盛夏、秋までずっと何かしら飛んでいます。花粉の飛散量がスギはけた違いに多いので一斉に多くの人が花粉症を発症しますが、その後の季節では、人それぞれの反応の違いや生活している場所の環境などにより、発症のタイミングは様々です。
そんな中で、秋は再び多くの人が花粉症になってしまう季節です。その大きな原因のひとつはこちら、オオブタクサです。

オオブタクサの花

北米原産の外来植物で、日当たりのよい造成地や河原など、身近な場所に巨大な姿でそびえ立っています。花を拡大すると・・

オオブタクサの花穂 小さな花がびっしりとついています。

花粉症の原因植物の特徴は、目立つ花を咲かせないことです。風で花粉を運ばせるため、虫を呼ぶ必要が無いからです。そのぶん、小さくて目立たない花をたくさん付けます。花粉を顕微鏡で観察すると、こんな形をしています。大きさは20マイクロメートルくらいです。

オオブタクサの花粉

そしてもう一つの原因植物、カナムグラです。

カナムグラ

こちらは在来のつる植物で、フェンスなどによく絡みついていますが、他のつる植物にまぎれしまい、とにかく目立ちません。こちらの花(雄花)も、花弁は無くて雄しべだけが目立ちます。

カナムグラの花(雄花)

カナムグラの花粉は、オオブタクサと比べて表面が滑らかに見えます。大きさはだいぶ大きめで、30~40マイクロメートルくらいです。

カナムグラの花粉

どちらも私たちの生活空間で普通に見られる植物です。通勤、通学路などにこんな植物があったら、しっかりマスクをして対策をしましょう。
(博物館長・学芸員)

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令和8年度 地質分野実習 ~野外調査編~

こんにちは!令和8年度の地質分野の実習生です。

9月1日に、山梨県大月市の猿橋と象の鼻周辺で、地形・地質の観察と岩石の採集を行いました。

「猿」橋に「象」の鼻。名前だけ聞くと動物がイメージされますが、今回探したのは動物ではなく岩石です。

最初に訪れたのは、日本三奇橋の一つとして知られる猿橋です。

有名な橋ですが、今回注目したのは、橋そのものではなくその下に広がる地層です。

猿橋では、富士山から流れてきた溶岩や、火山の噴出物が堆積してできた軽石質凝灰岩を観察しました。実際に近くで観察すると、岩石の割れ目や軽石、地層の重なり方などが分かりました。

 

その後は、象の鼻へ移動しました。

象の鼻では、まず露頭のスケッチを行いました。

写真ならシャッターを押せば一瞬ですが、スケッチはそうはいきません。地層の境目はどこなのか、岩石の形をどこまで描くのか細かく観察していきます。

実際に描くのは難しかったものの、じっくり観察することで、岩石の割れ目や地層の傾きなど、写真だけでは見落としてしまう細かな特徴にも気付くことができました。

 

スケッチを終えた後は、岩石を採集しました。

岩石は、収集して終了ではありません。採集した岩石には必ず番号を付け、採集場所などの記録と対応させます。

石は自分から名前や出身地を教えてくれません。番号を付け忘れると、どこから来たのか分からない「迷子の石」になってしまいます。採集物を博物館資料として残すためには、記録がとても重要です。

 

今回の実習では、残念ながら猿にも象にも会えませんでしたが、溶岩や軽石質凝灰岩など、さまざまな岩石をじっくり観察することができました。

今回の実習を通して、普段なら何気なく通り過ぎてしまう崖や岩石にも、長い地球の歴史が残されていることを学びました。たくさん歩いて足は重くなりましたが、地層の見方が少し変わった一日でした!

(地質分野 実習生)

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