座間高校でクラウドサイエンスの授業

1月20日、県立座間高等学校で、生物多様性情報を蓄積するクラウドサイエンスに関する授業を実施しました。クラウドサイエンスというのは、インターネット上で生物などの情報を地図へ落とし、その情報をデータベース化していく、近年発展著しい市民科学の一分野です。今回は、その実践研究をされている麻布大学生命・環境科学部の村山史世教授と学生さんに技術的な面などサポートしていただきました。まず、室内でこうした生物多様性の基礎データについて少しお話した後、すぐに野外へ出ます。

室内で簡単なレクチャーの後、野外へ

今回、iNaturalistというプラットフォームを使いました。これは世界的なクラウドで、膨大な数の生物情報がすでに蓄積されています。iNaturalistは、スマホで生物の写真を撮影すると、AIがその種名を提案してくるので、それを登録すると、第三者がさらに種名を提案したり、同意したりして、データの確実性を高めていきます。また、位置情報はスマホから取得するので、マップに落としたり、緯度経度を入力する必要もありません。

データとして有効な写真と撮影のしかたについても少しアドバイス

座間高校のまわりは良好な水田環境が広がっていて、真冬に入ったとはいえ、歩けば何かしらが見つかります。撮影のポイントを少し説明してから、個々に撮影してもらいます。

真冬でも、生物の写真は撮れます

さすがに花はわずかしか見つかりませんでしたが、種子や果実は結構見つかって、生徒さんたちはたくさん写真を撮影していました。こんな植物の果実も・・

ワルナスビの果実

その後教室へ戻り、改めて登録作業を行います。すると、登録されたデータがリアルタイムで次々とマップ上に表示されていきます。

村山教授と学生さんが、次々とデータ表示の拡張的な展開を紹介

こうした即時性がクラウドサイエンスの醍醐味です。生物多様性の基礎情報の蓄積という科学的なテーマとは別に、身近な地域の生物情報を増やす楽しみを味わっていただきました。こうした取り組みを学年から学年へとつなげていくと、何年か経って貴重な情報資産が蓄積されるはずです。ぜひ、これからも楽しみながら取り組んでいただきたいと思います。
(生物担当学芸員)

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陽光台公民館で出張観望会☆

1月16日、市内中央区の陽光台公民館で実施された青少年部事業「天体望遠鏡で真冬の星空ウォッチング~冬の大三角をさがせ!~」において、当館の天文担当学芸員と天文クラブ会員が講師を務め、出張観望会を行いました。

陽光台公民館2階テラスにて天体望遠鏡を設置

講座ではまず、座学にて、この時期に夜空で見える天体や冬の星座について、お話ししました。また、明るい屋内で小型の天体望遠鏡を使い、接眼レンズを覗く練習も行いました。

座学の様子

座学の後は屋外テラスへ移動し、星空観望会です。この日は雲一つない晴れの中、気温もそこまで下がらなかったため、観察しやすい天候に恵まれました。

屋外テラスで観望する様子

屋外では初めに、座学でもご紹介した「冬の大三角」を皆さんと一緒に肉眼で探してみました。その後、当館から持ち込んだ天体望遠鏡などを使い、いま見頃の惑星や、見つけやすい天体を次々と観望していきます。

天体望遠鏡を使って観望する様子1

天体望遠鏡を使って観望する様子2

天体望遠鏡を使って観望する様子3

この日に観望した惑星たちは、「木星」や「土星」です。美しい木星表面の縞模様や土星の環を見ることができました。

木星の縞模様 (撮影:相模原市立博物館天文クラブ)

土星の環(撮影:相模原市立博物館天文クラブ)

ほかにも、ふたご座の「カストル(連星)」やオリオン座の「オリオン大星雲」、おうし座の「プレアデス星団」、おおいぬ座の「M41(散開星団)」など、様々な天体をご紹介。

参加者は、小学1年生から6年生とその保護者の方たちでしたが、皆さん興味深く冬の星空を観察してくれました。

(天文担当学芸員)

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勝坂遺跡でバードウォッチング

1月18日、市内南区磯部の国指定史跡、勝坂遺跡で野鳥観察会(相模原市文化財課主催)が行われ、学芸員がご案内してきました。

熱心に双眼鏡で観察

穏やかな快晴に恵まれ、絶好の野外観察日和ですが、まずは管理棟の中で野鳥観察の基本について少し説明した後、野外で双眼鏡の正しい使い方を確認しました。準備万端で出発しようとしたら、目の前にキツツキの仲間のアオゲラが!

アオゲラ(別の日に撮影したもの)

頭全体が赤いのはオスの特徴です。そんなところもしっかり確認できる幸先の良いスタートとなりました。
段丘崖(だんきゅうがい)を下りて谷戸へ入ると、シジュウカラが長い時間、姿を見せてくれていました。特に、背中の緑色がきれい!と盛り上がりました。

シジュウカラ 背中の緑色がとてもきれいです

今年はツグミの数が多いと、野鳥関係の人たちの間で話題になっています。勝坂でも、10羽以上の群れが飛び交っていて、その迫力にみなさんから歓声が上がりました。

群れで飛び交っていたツグミ

カラスザンショウの果実を食べるメジロもじっくり観察できました。

カラスザンショウの果実を食べるメジロ

上記3種をはじめ、全員でじっくり観察できた種類が多く、参加者同士で語り合いながらバードウォッチングを楽しんでいました。
終了後、ご自宅のまわりの観察ポイントを質問される方も多く、観察の楽しみを共有できたのではないかと思います。
(生物担当学芸員)

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生きものミニサロン「冬越し中の植物たちの姿を観察しよう!」を実施しました

1月17日、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。今回のテーマは「冬越し中の植物たちの姿を観察しよう!」です。春の芽吹きに向けた準備をしつつ冬を過ごしている植物の観察です。まずは、博物館前の歩道の地面をじっくりと見ます。

博物館前の歩道で観察

何を見ているのかというと、こちら、フデリンドウです。

フデリンドウ

4月の初めころに咲くフデリンドウは、博物館周辺の緑地を代表する花です。じつは、前年の秋に芽生えて冬を乗り越え、ほかの植物や木々が茂る前に花を咲かせるのです。
小さなお子さんたちが次々とフデリンドウを見つけてくれて、大人の参加者のみなさんはただただ驚くばかりでした。他にもカントウタンポポのロゼット葉(地面に、放射状に張り付くように生える根生葉)を観察しました。
続いて、お隣の樹林地へ移動して、冬芽の観察です。

ルーペを使ってじっくり観察

ルーペをみなさんへ配り、スマホなどで写真を撮ってもらいます。特に人気だったのが、ハリエンジュです。まるで、鬼の面のようです。

ハリエンジュの冬芽

クワの冬芽も、ゴールドに輝いていてカッコイイ!

金属的な輝きを放つクワの冬芽

サンショウのかわいらしい冬芽も大人気でした。

サンショウの冬芽

最後に、ハリギリの強そうな冬芽を観察して終了しました。

ハリギリの冬芽を観察

小さなお子さんから大人まで、冬芽の楽しさを味わっていただけました。
次回は2月21日(土)12時からです。なお、3月のミニサロンの予定を当初、3月21日(土)としていましたが、都合により3月14日(土)へ変更いたしますのでご注意ください。
(生物担当学芸員)

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陽光台公民館で野鳥の講座と観察会を実施

1月10日、市内中央区の陽光台公民館で実施された環境講座「スズメって減ってるの!?&野鳥観察in道保川公園」において当館生物担当学芸員が講師を務めました。

最近目にすることが少なくなった、スズメが大群で飛ぶ様子(2018年10月緑区葉山島)

一昨年、スズメが減っているというセンセーショナルの話題が報道され話題になりました。これは、環境省が進めている全国の里山市民調査「重要生態系監視地域モニタリング推進事業(里地調査)」の調査報告書がまとまり、その報道発表を受けたものでした。実際にスズメが減っていることは事実ですが、この報告書を少し詳しく見ると、スズメだけでなく、草原性の野鳥や昆虫、哺乳類などの多くが減少傾向であることが科学的に報告されている点が重要です。講座ではまず、こうした内容について座学でお話ししました。

スズメだけではない、身近な生き物の減少について話しました

この日は朝から見事なまでの快晴でした。室内にいてはもったいないので、後半は公民館から歩いて数分の道保川公園へ向かいます。双眼鏡の使い方をじっくり解説した後、住宅地を抜けて公園へ入りました。早速、メジロがお出迎えしてくれて、みなさんと観察できました。

メジロ(別の日に博物館周辺で撮影したもの)

段丘崖を降りて水路のある場所へ行き、カモ類やダイサギを観察。ちょっと風が強めで鳥の鳴き声が聞きづらいのが難点でしたが、10種類以上の野鳥を観察できました。中でも、座学の中でスズメと同様に減少傾向にある鳥として紹介したセグロセキレイを全員で観察できたのが印象的でした。

セグロセキレイ(別の日に相模川で撮影したもの)

公園の出入口へ戻り、まとめをして公民館へ戻ろうとすると、ヤマガラがみなさんの目の前に現れました。近距離で、そのかわいらしい動作を堪能できました。

ヤマガラ(別の日に博物館周辺で撮影したもの)

参加者からは、道保川公園はふだんから散歩でよく歩くけど、野鳥を気に留めたことがなかったので新鮮だった、といった感想をいただきました。身近な自然環境への関心を高めるきっかけになったようです。
(生物担当学芸員)

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ポケモン天文台、閉幕!

1月12日午後5時、2か月以上にわたって大変多くのご来場者をお迎えしてきた特別企画展「ポケモン天文台」が閉幕しました。

この日は開館前から入場待ちのお客様が長蛇の列を作りました。

展示室内も一日中、熱気であふれていました。

運営スタッフのみなさんや特設ショップのスタッフのみなさんなど、ほんとうにたくさんの方々によって無事に会期を終えることができました。ありがとうございました。

そして、17時の閉室とともに入場された方も・・

この展示の製作や監修にあたった方々です。会期を終えた展示物の状態などをチェックしています。
「ポケモン天文台」はこの後、福島、秋田、長崎など全国を巡回します。各地でまたポケモンたちがみなさまをお迎えするその日まで、しばしのお別れとなります。
ご来場いただいたみなさま、そしてポケモンたち、ありがとうございました!

©Pokémon.
©Nintendo / Creatures Inc. / GAME FREAK inc.
ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。
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野鳥のお食事姿

先日のブログで、シジュウカラのお食事の様子について紹介しました。
今回は、その他の野鳥のお食事風景です。冬は木々や草の葉の量が少なくなるため姿を見やすくなりますし、何より厳しい食料事情の中で食べることに夢中な野鳥の姿を観察できます。どんなものを食べているのか詳しく知るチャンスです。
こちらの写真は、1月9日に横浜市保土ヶ谷区の横浜国立大学常盤台キャンパスで、学生さんたちの野鳥調査のお手伝いをいた際に撮影したものです。

イイギリの果実を食べるヒヨドリ

構内のイイギリの真っ赤な果実をヒヨドリが群れで食べていました。真っ赤に熟した果実はいかにも美味しそうに見えるのですが、真っ先に食べられるという感じではないため意外と栄養分が少ないのかもしれません。

ヒヨドリ

それでもこの季節の重要な食料なのでしょう。入れ代わり立ち代わり、ヒヨドリが食べていました。
茂みの中を静かに歩いて食事していたのは、キジバトです。

ドングリをくわえるキジバト

写真を拡大してみると、ドングリを食べていました。この場所はスダジイが植栽されているので、スダジイのドングリなのでしょう。次々とつまみ上げては食べていました。こちらは殻は固いものの、人間が食べても美味しいドングリです。栄養価も高いのでしょう。
同じ場所でスズメも食べていましたが・・

白いものを食べるスズメ

こちらは何を食べていたのか、わかりませんでした。嘴(くちばし)にくわえているのは、白っぽくてドングリの中身のようにも見えるのですが、さすがにスズメの嘴ではスダジイの殻は割れません。ただ、冬になると殻が割けてくるドングリもあるため、そうしたものからうまく中身を取り出していた可能性もあります。もう少し時間をかけて調べてみればよかったと、写真を確かめながら後悔しました。
まだまだ厳しい冬が続きます。1月下旬からはいよいよ天気予報の季節区分で言えば真冬、二十四節気でも大寒(1月20日~)となります。懸命に生きる冬の野鳥たちの姿を引き続き観察しようと思います。
(生物担当学芸員)

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相模経済新聞で新連載

相模原市域を中心に発行する相模経済新聞(月3回、1日、10日、20日発行)に、当館学芸員がリレー式で連載を始めました。その第1回が、令和8年1月1日号に掲載されました。

1月1日号の連載記事

メインタイトルは、「30年の歩みとこれから」です。初回は、開館30周年という大きな節目を迎えた昨年から、今年、新たな一歩を踏み出すにあたり当館が意識している博物館の使命について紹介しています。

連載は毎月1日号に掲載されます。このブログでも紹介していきますのでお楽しみに!
(生物担当学芸員)

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シジュウカラのお食事

先月のこのブログで、シジュウカラの水浴びの様子をお伝えしました。今回はお食事の様子です。
1月6日、博物館お隣の樹林地を歩いていると、シジュウカラの声がしました。ヤブの奥の方へ目を凝らすと、枯れた木の葉がまとまった場所がゆらゆらと揺れています。そこにシジュウカラがとまっていました。

枯葉の塊をつつくシジュウカラ

この塊の中へ顔を突っ込むことを繰り返し、数分は同じ動作を続けていました。そして、また少し離れた場所へ行くと、少し見通しの良い場所でまたしてもシジュウカラがケヤキの枯葉をつついています。

顔を突っ込んでいます

しばらく見ていると、ぶら下がっていろいろな方向から顔を突っ込んでいました。拡大すると、繊維のようなものが見えます。

繊維で葉をつなぎ合わせているようです

どうやらこれは、蛾などの昆虫の繭か、クモの卵嚢のようです。詳しいことはわかりませんが、蛹(さなぎ)か卵をつつき出して食べていたと思われます。繭とは本来、外敵から守るために作るものですが、シジュウカラには通用しないということですね。ひとしきりつついてから嘴(くちばし)を枝で拭いて手入れした後、飛び去って行きました。
(生物担当学芸員)

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文化財調査・普及員考古班研修会

相模原市文化財調査・普及員考古班の研修会が12月25日(木)に開催され、相模原市立博物館の地質担当学芸員が講師を務めました。

当初の予定ではJR相模線原当麻駅付近の地形・地質の野外観察を行う予定だったのですが、天気予報では雨が予想されたため、事前に相模原市立博物館での実施に変更となりました。

まず、自然・歴史展示室の「台地の生いたち」コーナーで相模野台地の地形と地質について解説しました。

「台地の生いたち」コーナー入り口での解説

地層の剥ぎ取り標本の解説

相模原市立博物館に展示してある剥ぎ取り標本は、実際に崖などに露出している地層に強力な接着剤のようなものを塗り、固まった部分だけ薄く剥ぐように地層を採集したものです。石ころでできた層は剥ぎ取れないので、川原の石ころを使って作った模型です。剥ぎ取り標本は大型なので、実際に野外で地層を見るのと同じ様な感覚で観察することができます。

展示解説の後、実習実験室で見学予定地点などの解説を行いました。

実習実験室での講義

剥ぎ取り標本は野外と同じ様な感覚で観察できるといっても、地層の一部を切り取ったものなので、本来の地層の広がりがわかりません。また、地層を触った時の感触も伝わりません。やはり野外でしか伝わらないことが多いので,野外観察はまた日を改めて実施できればと思います。

(地質担当学芸員)

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