エコパークさがみはら(相模原市立環境情報センター)が主催する自然環境観察員制度には、博物館として25年前の発足当時から深く関わっています。その活動の中心とも言える市民による自然調査、全体テーマ調査の今年のテーマはタンポポです。タンポポの在来種、外来種、それらの雑種の分布を調べるこの調査は今回で6回目となります。4月11日に説明会を実施し、すでに調査期間が始まっています。私も、4月18日と19日に、調査を担当する人が少ない津久井地域をまわってきました。
自然豊かな津久井地域には在来種のカントウタンポポが多いかと思いきや・・

路傍のタンポポ 緑区鳥屋
よく見るタンポポの生育環境ですが、津久井地域でも、こうした路傍に生えるのは、ほぼすべてが在来種と外来種のセイヨウタンポポの雑種タイプです。

総苞のまとまりが悪い雑種タイプのタンポポ 緑区鳥屋
上の写真の株はカントウタンポポとよく似ていますが、花を支える総苞(そうほう)のまとまりが悪く、外見から雑種とわかります。カントウタンポポは、次のような総苞で、しっかりとまとまっています。

カントウタンポポの花 緑区青山
カントウタンポポの生育環境は、下の写真のような農耕地の脇など、他の草も多いものの、草刈りなどの管理も適度にされている場所です。

典型的なカントウタンポポの生育環境(市内南区)
ただ、津久井地域のこのような畑の脇や果樹園などを回ってみても、カントウタンポポはなかなか見つかりません。興味深いのは、そうした場所に時々、典型的なセイヨウタンポポが見られることです。総苞の外側が下へはっきり反り返るのが特徴です。

典型的なセイヨウタンポポ(外来種) 緑区青根
じつは、中央区や南区などの市街地では今、こうした典型的なセイヨウタンポポはまず見られません。ほぼ、雑種タイプに置き換わっています。推測にすぎませんが、津久井地域はもともと山あいの里が多いため、カントウタンポポは畑や果樹園など農地に局地的に分布する以外、あまり生育していなかったのではないかと思います。そこへ古くは物流に伴ってセイヨウタンポポが、そして近年、雑種が分布を広げてきたのではないかと思われます。
また、今日の調査ではこんなタンポポを見つけました。雑種タイプでしたが、花茎がやたらと幅広く、その上に大きすぎる綿帽子が乗っています。

帯化したタンポポ
これは、帯化(たいか)と呼ばれる現象で“きしめん”のような扁平な花茎の上に、たくさんの花が咲きます。タンポポは一つの花茎に一つの花が咲くのが決まりですが、帯化タンポポではたくさんの花がつきます。この扁平な茎は1本ではなく、たくさんの茎が合着したと考えると納得です。タンポポ以外にもこうした現象は起きますが、踏み付けなどのストレスの多い場所に多く見られるように思います。
あちこちでたくさんのタンポポを探し回りながら、タンポポの奥深さを改めて感じています。
(博物館長・学芸員)