春の勢い

博物館周辺の植物を見ていると、春の勢いを象徴しているように、次々と花が咲いたり、新緑が広がっています。
こちらは上向きの葉が日に日に広がるミズキです。

ミズキの若葉

カントウタンポポは、葉が地面に円を描きつつ、すくっと花茎を伸ばして咲いています。

カントウタンポポ

アケビもつるの途中から花を垂らしています。こちらは大きくて色の濃い雌花です。

アケビの雌花

こちらが雄花。少し小さく、色が薄めです。

アケビの雄花

ヌルデはバンザイするように葉を広げつつあります。これからあっという間に大きな葉を展開するはずです。

ヌルデの新芽

地面の緑もどんどん濃くなっています。今年はフデリンドウの花が遅めなので、ほかの植物に埋もれてしまうのではないかとちょっと心配です。
(生物担当学芸員)

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二つのキイチゴ

ラズベリーというとジャムの種類を思い出しますが、原料はキイチゴ(木苺)の一種です。在来種のキイチゴもたくさんの種類があり、身近なところにも生えています。博物館周辺の樹林では今、2種類のキイチゴの花が満開です。
その一つ、ニガイチゴです。

ニガイチゴの花 上向きに咲くのが特徴

梅雨の頃に実る果実は赤く、甘みもあって美味しいのですが、その名のとおり、小核(タネの部分)をかみ砕くと苦みが出ます。

梅雨のころに実るニガイチゴの果実

もう一種は、モミジイチゴです。

モミジイチゴの花 下向きに咲きます

果実の味は酸味と甘みのバランスがとても良く、美味しいです。

春の終わりころに実るモミジイチゴの果実

ただし、キイチゴ全般に言えることですが、野生のキイチゴの果実にはたいてい、アリがついています。見つけていきなり口へ入れないよう、注意が必要ですね。
(生物担当学芸員)

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ギフチョウの春

4月7日、市内緑区でギフチョウを観察しました。この場所は、「ギフチョウとその生息地」として神奈川県の天然記念物に指定されています。発生する山の麓の、ミツバツツジの花で吸蜜する様子を撮影しました。

ミツバツツジで吸蜜するギフチョウ

薄紫色のミツバツツジをバックに飛ぶ姿は、幻想的です。

突然現れては、すっと飛び去っていきました

3月下旬から4月上旬の数週間しかその姿を見ることができず、しかも晴天時でないと極端に目撃のチャンスが減ってしまいます。この日は太陽が傾き始めた午後の遅い時間帯になって盛んに飛び回ってくれました。

ミツバツツジとギフチョウ

県内では唯一の発生地なので、これからも見守っていきたいと思います。
(生物担当学芸員)

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桜満開宣言とともに…令和6年度新採用職員研修の講師を務めました。

4月5日(金)、当館歴史担当学芸員が新採用職員研修の講師を務めました。

この研修の「相模原の歴史」というプログラムでは、例年博物館が講師を担当しています。以前、10月採用の研修の様子をこのブログでも紹介しましたが、今回は1年間で最も採用人数が多い4月期の研修ということで、本年度に入庁した総勢140名以上の新採用職員に向けて相模原市の歴史についてお話をしました。

新採用職員がズラリ!

「相模原の歴史」というと、田名向原遺跡勝坂遺跡といった国指定されている特徴的な遺跡や、戦国時代に小田原北条氏の支城として有力視されていた津久井城、1937(昭和12)年の陸軍士官学校移転を皮切りに続々と市内に軍事施設が建設された「軍都計画」など、なかなか持ち時間の30分間だけでは語り尽くせません。

時間の都合上かなり省略した部分もありましたが、受講生は集中して講義を聴いていたようです。途中に出題したクイズは予習が必要な難易度にも関わらず、10名近くが全問正解しました。

講義に集中しています。

この日は相模原市で桜満開宣言されたこともあり、見頃を迎えた桜の名所「市役所さくら通り」を講義後に訪れると、まるで桜のトンネルのようでした。

市役所さくら通り

新採用職員がこの研修で学んだことをそれぞれの職場で活かし、1日でも早く市民の皆さまのお役に立てるよう、博物館としても引き続きサポートしたいと思います。

(歴史担当学芸員)

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生きものミニサロン「踏まれそうなフデリンドウ保全大作戦!」を実施しました!

4月6日、今年度の第一回目となる、臨時の生きものミニサロンを実施しました。テーマは、「踏まれそうなフデリンドウ保全大作戦!」です。今年はソメイヨシノと同様に、少し開花が遅れていたフデリンドウが、やっと開花しました。

やっと開花したフデリンドウ

しかし、ある程度明るい場所を好むフデリンドウは、樹林地内でも少し開けた遊歩道沿いの、踏まれてしまいそうな場所にも開花してしまいます。そこで、咲き始めのこの時期に、そうしたフデリンドウのまわりに小さな杭を立てて保護します。

杭を立てたところ

臨時で生きものミニサロンを実施したのもこのためで、今回の参加者のみなさんにこの重要なミッションをお願いしました。はじめは小さなフデリンドウがなかなか見つからないのですが、目が慣れてくると次々と見つけられます。

みなさんとフデリンドウ探し

最後に見つけたのは、開花前のつぼみです。

開花前のつぼみ

ここにもしっかりと杭を立ててもらいました。

力をこめて杭をさしています

これから2週間ほどがフデリンドウの見ごろです。

バス停近くには比較的大きな株も見られます

博物館へご来館の際は、バス停近くの植込みの中にも咲いていますので、ぜひご覧ください。
次回の生きものミニサロンは、4月20日(土)12時からです。お気軽にご参加ください!
(生物担当学芸員)

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生きものミニサロン、今年度も毎月実施です!

毎月恒例の生きものミニサロン、今年度も毎月実施します!
そして4月はなんと、明日4月6日に第1回を実施します。博物館周辺を代表する花、フデリンドウの開花が今年は遅めです。そこで、遊歩道などで踏まれそうな場所に生育しているフデリンドウのつぼみを探して、そこに目印を立てます!題して「踏まれそうなフデリンドウ保全大作戦!」

一昨年のミニサロンで実際に作業している様子

この1週間ほど、不安定なお天気が続いていますが、気温は着実に上昇しています。ソメイヨシノも満開が近いので、フデリンドウの開花も一気に進みそうです。

フデリンドウ 昨年の開花の様子

4月の生きものミニサロンは2回、4月6日と4月20日、12時~12時30分です。申込不要、参加無料なので、お気軽にご参加ください。
5月以降の日程もこちらに公開しました。
今年度も楽しく身近な自然観察を楽しめる、生きものミニサロンをよろしくお願いします!
(生物担当学芸員)

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ここにもサクラ咲く

3月29日には相模原市でサクラの開花宣言が出され、4月4日現在、市内の桜並木も日に日に桜色に染まりつつあります。そんな中、博物館お隣の樹林地内で、こんな花を見つけました。

裁断された幹に咲いている花

2月初旬に降った雪によって、樹林地内ではかなりの倒木がありました。そのうちの1本が、ヤマザクラの大木でした。雪の重みによって根もとで割けるように倒れたのです。

ヤマザクラの切り株

それが道路沿いに張られたフェンスへもたれかかってしまい、危険な状態だったため、短く裁断された枝が現場に残されています。その枝から伸びていた花芽が開花したのです。

ヤマザクラの花 通常の花と比べてもなんの遜色もなく咲いています

裁断されてから1か月ほどなので、幹には十分水分が保たれていたのでしょう。ちょっと痛々しくも見えますが、植物の生命力も感じます。
すぐそばのソメイヨシノもあと数日で満開になりそうです。咲き始めからおおよそ1週間で満開、それから見ごろが1週間続きます。春のお天気は変わりやすいので、その間の雨風のたびに「サクラが早く散ってしまう」と心配の声が上がります。しかし、花弁は多少の風や雨、低温などで散ったり、散るのが早まったりはしません。順次咲いていったサクラの花の中で、散るべきタイミングの花弁が風などをきっかけに散っているだけなので、ご安心ください。
(生物担当学芸員)

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わくわくは続くよどこまでも・・・

昨年の夏は「夏休みわくわくミュージアム」と題して、期間中いつ来ても楽しい、何度も来たくなる博物館を目指しました。


改修工事による3か月の休館を経て迎えた今月は「春もわくわくミュージアム」と銘打ち、盛りだくさんのメニューでみなさまをお迎えしました。
3月1日、再開館初日は、3月10日に開催する「春宵 ほしぞらコンサート」の前売り観覧券の発売開始日でもあり、ありがたいことに、開館前から多くの方にお集まりいただきました。

3月3日には5年ぶりの「宇宙フェスタさがみはら」。昨年度の「はやぶさ2寄席」に引き続き登場していただいた落語家の桂福丸さんに、SLIM、XRIXMの両プロマネがそろい踏みという豪華な顔ぶれのスペシャルトークのほか、恒例の「星のストラップ作り」「昼間のプチ観望会」「市民学芸員さんによる宇宙紙芝居」、コロナ収束に伴い再開できた「宇宙飛行士訓練服(レプリカ)記念撮影コーナー」、試行的に実施した「月のレジンチャーム作り」などでまさに宇宙を身近に感じていただける1日となりました。
3月10日の昼間は近代史講演会、夕刻からは地元の女流邦楽ユニット「あさきゆめみし」のみなさまに出演いただき、当館としては初めての「和楽器と星空のコラボ」となるプラネタリウムコンサートを開催。3月12日にはこれも当館初めての試みとなる「プラネタリウムdeベビーヨガ」。

3月16日には相模原市中央区と連携した体験型イベント「宇宙に飛び出せ!中央区こどもカレッジ」。
3月20日には「朗読プラネタリウム Vol.2」。
こうして列記してみると、宇宙をモチーフにした事業が目立ちますが、もちろん別の分野の事業も幅広く開催しました。
ミニ展示もエントランスのそこかしこに。日程の都合でチラシではご案内できませんでしたが、中央区と連携した「花手水」や、「アート」事業もみなさまにお楽しみいただけたようです。


中央区との連携では、3月30日には「おさんぽビンゴ」関連事業として、バックヤードツアーも開催しました。

3月末には企画展も始まり、サプライズで熊の剥製もお目見え。
博物館だけではなく、所管施設でもさまざまな事業を開催し、また、市内施設への出張展示も実施中です。

博物館はみなさまにチラシのタイトルどおりの「わくわく」をお届けできたでしょうか?
さて、春は出会いと別れの季節です。
当博物館でも人事異動により、館長を含めた転出者があり、そして新館長を含む転入者や新採用学芸員を迎えます。
メンバーは替わっても、博物館の目指すポーラスターは同じ。

「わくわく」はこれからも続きます!
令和6年度、そしてそれ以降の博物館にもどうぞご期待ください。

令和5年度、ご来館、ご観覧ありがとうございました。

(館長)

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おさんぽビンゴで‟おさんぽ”

3月30日(土)、中央区役所の事業「おさんぽビンゴで‟おさんぽ”」の一環として、当館のバックヤードツアーを実施しました。

「おさんぽビンゴ」とは、子どもたちに中央区の魅力を知ってもらうために中央区役所が作成したビンゴカードで、区内をお散歩しながらカードに描かれているスポットを見つけて、ビンゴゲームを楽しめるというものです。

このビンゴカードの完成を記念して、小学生以下の子どもとその保護者を対象に、カードに穴を開けながら中央区淵野辺周辺の施設を実際に巡る「おさんぽビンゴで‟おさんぽ”」が開催され、当館も中央区内の魅力スポットとして、‟おさんぽ”の道中でバックヤードを案内しました。

普段は入ることができない博物館のバックヤードにわくわく!

まずはじめに、大型資料収蔵庫を紹介しました。ここは、数ある当館の収蔵資料の中でも、その名前のとおり大型の資料を保管している場所です。
机、オルガン、自転車、冷蔵庫などの大型家電、さらには霊柩車まで(!)、ダイナミックな資料に皆さん興味津々のご様子。

また、大型資料収蔵庫には学校関係の資料も多くあるため、学習資料展でお馴染みの給食サンプルでクイズを出題しました。

このおかずは何のお肉でしょう?

昭和30年代の給食を再現した食品サンプルから、鯨(くじら)肉の竜田揚げと脱脂粉乳を当ててもらうクイズにしましたが、現代の給食では馴染みがない献立に、お子さんはもちろん、お父さんお母さんもシーンと静まり返ります。そんな中、元気に挙手してくださった参加者の方が華麗に大正解!お話を伺うと、小学2年生まで同様の献立を召し上がっていたそうです。

続いて、考古資料収蔵庫へ移動しました。ここでは、おもに市内の遺跡などから発掘された土器や石器など細かなものを含め、箱換算で6,000箱以上の考古資料を収蔵しています。
案内役を考古担当学芸員にバトンタッチし、収蔵庫内や資料の特徴を解説しました。

そして階段を上がると、そこには本物の土器や石器に触れられるコーナーが!この日のために、考古担当学芸員が用意したものです。

本物の土器や石器に触ったよ!

初めて触れる本物の土器や石器に、子どもも大人も大興奮!学芸員から縄文土器などの概要や、最新の研究から分かっていることなどを説明すると、皆さん興味深く聞き入っていました。
最新の研究についてより詳しく知りたい方は、相模原市立総合学習センターで開催中の出張ミニ展示「コクゾウムシが教えてくれた!~縄文土器研究最前線~」をご覧いただけると幸いです。

考古担当学芸員が土器の特徴を解説しています。

名残り惜しくも、まだ‟おさんぽ”の続きがあるということで、最後にバックヤードツアーの参加証をお渡しして終了しました。

おさんぽビンゴ(左)とバックヤードツアー参加証(右)

よく晴れた土曜日、絶好のお散歩日和でした。

(歴史担当学芸員)

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中庭のミミガタテンナンショウ

10日ほど前の博物館中庭で、こんな奇妙なものが地面から突き出ていました。

ミミガタテンナンショウの芽生え(3月18日)

その正体は、ミミガタテンナンショウの芽生えです。3月28日現在、中庭で4株ほどが元気よく開花しました。

同じ株の、10日後の開花の様子(3月28日)

ミミガタテンナンショウはマムシグサ(サトイモ科)の仲間で、神奈川県では西部(相模川より西側)の里地や山地に広く分布する植物です。相模川を隔てて東側では非常に珍しい植物なのですが、相模原市内では相模川東側の中央区や南区の雑木林内などでも見られます。博物館お隣の樹林地でもあちらこちらで咲いています。実は中庭の株も、樹林地から1株移植したところ、勝手に増えたものです。

お隣の樹林地で咲いていた株。仏炎苞が前に垂れていて、その中にこん棒状の花がある)

ミミガタとは、先端が前側に垂れて目立つ仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる苞葉(ほうよう:花を包む葉)の両側が耳のように張り出しているからです。テンナンショウ(天南星)という美しい漢字の名は、球茎(地下茎の肥大した部分)を漢方の生薬(しょうやく)として利用する場合の呼び名です。
このミミガタテンナンショウ、中庭をよく探すと見つかりますが、残念ながら館内側を向いて咲いている株が少ないので、見えるとしたらこんな後ろ姿かもしれません。

ミミガタテンナンショウの後ろ姿

でも、ちょっとこの後ろ姿もなまめかしい雰囲気がありますね。ご来館の際にはぜひ中庭にも注目してみてください。これから順次、いろいろな花が咲きます。
(生物担当学芸員)

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