カイコ日記(6/21)クワの葉を採っていると・・

給桑開始から22日目、終齢(5齢)になって4日目となりました。すでに大きさはマックスに近くなっていますが、もう1まわりほど大きくなります。

モリモリ食べる終齢のカイコ

この品種、かい・りょう×あけ・ぼのは、眼状紋がとても明瞭です。とてもかわいらしいですね。

眼状紋(目のような模様)が明瞭な品種です

さて、博物館では現在、250頭ほどのカイコを飼育しています。カイコは5齢の約1週間の間に、一生に食べるクワの葉の8割以上を食べると言われています。食べる勢いもすさまじく、毎日45リットルの袋いっぱいくらいの葉を採る必要があります。クワの葉を取ってくると、飼育展示に出した時に見えやすいよう、葉を1枚ずつ切り離しておきます。

ハサミで葉を一枚ずつ切り離して与えます

そんな作業をしていると、いろいろな虫がついていることがあります。代表的なのはクワコです。カイコと祖先を同じくする野生の蛾です。

クワコの3齢幼虫 鳥のフンに擬態しています

そして今日は、ちょっと嬉しいイモムシを見つけました。クワエダシャクです。室内では感じが出ないので、野外のクワの枝に付けると、見事に擬態してくれました。

擬態してとまったクワエダシャク(枝先の左側)

通りかかった他の職員に見せたところ、指さしているのに「どこ?」と言って見つけられませんでした。
クワコもまた見事な擬態をするのですが、それはまた別の機会に・・
(生物担当学芸員)

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令和7年度地質学講座「富士山の溶岩と湧水」3回目

6月15日(日)に地質学講座の第3回目を、前回(6月1日)に続いて山梨県都留市で実施しました。富士山の溶岩や泥流堆積物、湧水を観察しました。

最初の見学地点は長慶薬師霊命水源です。

ここでは、桂溶岩(約8,800万年前)、富士相模川泥流堆積物(約2万2千年前)と湧水を見ることができます.。富士相模川泥流堆積物の上に桂溶岩が積み重なっており、両者の間から水が湧いています。

きれいな水の中に生えるバイカモも咲いていました。

次の見学地点は「おいしがね」と呼ばれている巨岩です。平坦な地形面の上に数メートルの大きさの巨岩が乗っています。他にこのような巨岩はなく、なぜこのような巨岩がこの場所にあるのか諸説ありますが、よくわかっていません。

永寿院では桂溶岩、富士相模川泥流堆積物と湧水を観察しました。ここの池は湧水を溜めたものです。湧いている場所では湧水を飲むこともでき、小休止することができました。

最後の観察地点は田原の滝です。見応え十分な滝ですが、残念ながら岩のように見える部分はほとんど人工物でできています。写真ではわかりませんが、滝の最上部は天然の溶岩です。

雨が心配されましたが、途中は晴れ間も見えて暑いくらいでした。

無事2回の野外観察を終えることができました。最終回は6月29日に講座のまとめを博物館で行います。

(地質担当学芸員)

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いよいよ1週間前!アステロイドデースペシャルトーク2025

「地球衝突が指摘された小惑星、2024 YR4とアポフィスにフォーカス!」をテーマに開催する今年のアステロイドデースペシャルトークがいよいよ1週間後の6月28日(土)に迫りました!

JAXAプラネタリーディフェンスチームが、円谷プロとコラボして作られたカッコイイ、イメージ画像 ©JAXA ©TSUBURAYA PRODUCTIONS

プラネタリーディフェンスの最前線や、地球衝突の可能性が指摘された小惑星の最新の観測情報、そして、今も宇宙空間を旅している小惑星探査機はやぶさ2のこれからも紹介されるかもしれません。詳しい講演内容はこちらをご覧ください。
定員は200名(当日先着順)、入場無料で、YouTubeによるライブ配信もあります。世界が注目するプラネタリーディフェンスにぜひご注目ください!

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梅雨時の花 その2

タイトルに梅雨時とつけたものの、今週は真夏ようなの猛暑が続いています。そんな中咲いている花について、先日のブログに続いて紹介します。
こちらはアキノタムラソウです。

アキノタムラソウ

梅雨時なのにアキノタムラソウ?と思われるかもしれませんが、早いものは5月中から咲き出します。花期はダラダラと続き、秋まで咲きます。正確には「秋まで咲くタムラソウ」と呼んだ方が良さそうです。シソ科特有の立体的な花です。

アキノタムラソウの花のアップ

こちらはヤブジラミです。花に乗っているアリと比べても、その小ささがわかります。

ヤブジラミの花 アリと比べても花の大きさがわかります

同じような場所で大型連休のころに咲く近縁のオヤブジラミの方は、もう果実になっています。小さなかわいらしい花から、一転してトゲトゲのひっつき虫になっています。ヤブジラミも少し小さめですが、同じような果実をつけます。

オヤブジラミの果実

ちなみに、オヤブジラミの花はこちらです。今年の5月の初めにヤブジラミとほぼ同じ場所で撮影しました。

オヤブジラミの花(5月初旬に撮影)

オヤブジラミと同じころに開花して、すでに果実になっているのが、ナワシロイチゴです。

ナワシロイチゴの果実

野イチゴの一種で、果実は酸味が強いものの、美味しく食べられます。ナワシロイチゴの花はこちらです。

ナワシロイチゴの花(5月初旬に撮影)

次々と咲いては実る野草の勢いが止まりません。
(生物担当学芸員)

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梅雨時の花

6月18日、博物館の前庭ではオカトラノオが咲き出しました。

オカトラノオ

日当たりの良い草地などに生える植物で、博物館ではいつの頃からか、咲くようになりました。そしてこの5年ほど、株数がどんどんと増えて、入口のアプローチの南側(駐車場側)一面に広がりました。在来の野草なので増えるに任せています。これから2週間ほど、見ごろになるでしょう。
そして、駐車場(未舗装側)の一画では、ホタルブクロが咲いています。

ホタルブクロ

おもしろいことに、近縁種のヤマホタルブクロも隣り合って咲いています。

ヤマホタルブクロ

そっくりすぎて見分けがつきにくいのですが、両種の見分け方は過去のブログに書いてあるので、ぜひご確認ください。
アプローチへ戻って、オカトラノオと反対側には、こんな小さな花が咲いています。オランダキジカクシです。

オランダキジカクシ

オランダキジカクシと言われてもぴんとこないかもしれませんが、学名のアスパラガスと言えば馴染のある名です。食用にするのは、この植物の芽生えたばかりの茎です。これも誰が植えたわけでもなく、いつの間にか咲くようになりました。
他にもいろいろ咲いたり実ったりしているので、またお伝えしようと思います。
(生物担当学芸員)

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自然環境観察員 今年の全体テーマ調査は・・

エコパークさがみはら(相模原市立環境情報センター)で毎年実施している自然環境観察員制度の全体テーマ調査は、博物館学芸員がサポートしています。タンポポ調査、ツバメの巣の分布調査など、20年以上にわたって市域の自然を調べています。6月14日、エコパークさがみはらの講義室で環境セミナーが行われ、今年の調査の説明会が開かれました。
今年のテーマは「チュウゴクアミガサハゴロモとアカボシゴマダラ」です。

タラノキの枝に集まるチュウゴクアミガサハゴロモ(幼虫)

どちらもあまりなじみのない昆虫かもしれませんが、近年、急速に分布を広げています。特に、チュウゴクアミガサハゴロモは昨年、爆発的に増加しました。近年の在来種、アミガサハゴロモやアオバハゴロモなどとどのように競合するのか、気になるところです。

チュウゴクアミガサハゴロモとアオバハゴロモの幼虫

そして、アカボシゴマダラは、1990年代に湘南地域の昆虫愛好家が意図的に放蝶してしまったという、外来種問題の中でも最悪のストーリーと言える来歴を持つ外来種です。近縁で食草もエノキで一致する在来種、ゴマダラチョウとの競合が気になります。これらの昆虫の、市域での分布状況を調査するのが今年のテーマです。
動物担当学芸員が、識別方法や探し方などをレクチャーしました。

レクチャーする動物担当学芸員

標本も持ち込みました。

近縁の在来種のゴマダラチョウ(右)と比較できるアカボシゴマダラの標本(左)

こちらもチュウゴクアミガサハゴロモ(左)と近縁のアミガサハゴロモ(右)の成虫標本

終了後も観察員のみなさんが熱心に標本を見ています。

標本に見入る観察員のみなさん

全体テーマ調査は、概ね5年ごとに実施するタンポポ調査など定番のものの合間に、こうした気になる話題の生きものなどを扱います。はたして今年の調査はどのような成果が出るのか、楽しみです。
(生物担当学芸員)

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市役所本館のてっぺんで「相模原ふるさといろはかるた」展

このブログをご覧の皆さまは、相模原市役所展望室を訪れたことはありますでしょうか?
本館6階からさらに階段を上ること76段…、地上34メートルの高さから相模原市街が一望でき、お天気に恵まれれば遠くの山々の中に富士山を見ることもできます。

この日は津久井や丹沢方面の山々がうっすらと見えるのみでした。(令和7年5月21日撮影)

市役所本館の最も高い場所である展望室で、当館のボランティア「市民学芸員」が手がけた「相模原ふるさといろはかるた」を紹介する展示が始まりました。

相模原ふるさといろはかるた

「相模原ふるさといろはかるた」とは、市内47か所の名所・旧跡を楽しく遊びながら学ぶことができる「かるた」です。47のお題選び、読み句・解説文作成や札づくりなど、市民学芸員が7年がかりで完成させました。現在、当館で貸出しも行っています。
出張展示などの様子は度々このブログでも取り上げており、先日まで当館と連携に係る覚書を取り交わしている麻布大学いのちの博物館で展示していました。

かるた札づくりの様子(令和6年10月)

今まで様々な施設で展示を行ってきましたが、市役所本館での展示はこれが初めてです。当面の間、展望室内の壁面に貼り付けて展示することになるため、いつもの展示用セットではなく、今回のための展示レイアウトを市民学芸員有志が作成しました。

展示の様子

展望室からの眺望を楽しみつつ、ぜひ「相模原ふるさといろはかるた」展をご覧いただきたいと思います!市役所展望室の開放時間等はこちらをご確認ください。

(歴史担当学芸員)

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カイコ日記(6/17)いよいよ終齢(5齢)

6月17日、給桑開始から18日目。前日までに4回目の眠(みん)に入っていたカイコでしたが・・

4回目の眠のカイコ 古い小さな頭部が前へずれています

朝には3分の1ほどのカイコが脱皮して5齢になっていました。5齢と4齢の頭部の大きさの違いをご覧ください。

4齢(左)と5齢(右)のカイコ

今はまだ全長4センチメートルほどですが、数日食べると6センチメートルくらいまで一気に大きくなり。6日後には最大の大きさ、全長約7センチメートル強になります。

早速クワを食べだした5齢のカイコ

5齢で1週間食べ続けると、体がやや縮んで黄色っぽく変化し、熟蚕(繭を作り始めるカイコ)と呼ばれる状態になります。つまり、来週の火曜日から水曜日にかけて繭を作り始めるということになります。ここから1週間でどれだけクワを食べさせられるかで、繭の大きさが決まります。せっせとクワ摘みに励みたいと思います。
(生物担当学芸員)

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図書館で山城を知る【津久井城出張ミニ展示~7/9まで】

6月13日から津久井城跡のミニ展示を市立図書館にて開催中です。
これは今年の3月から博物館エントランスで展示していたもので、昨年の11月に行った発掘調査の成果を紹介しています。12日に展示を設営してきました。

出土した土器など展示中です。

展示場所は階段を上がってすぐです。

きれいに並べます。

今回は展示スペースの余白に津久井城跡に関する本を入れています。

また、ラジオ録音もしました。これはFMHOT839の「図書館に行こう!」というコーナーがあり、6月17日午前11時35分ごろ、18日18時05分ごろ、19日16時15分ごろ、
20日9時05分ごろ放映いたします。

録音の様子。

相模原市が誇る貴重な山城ですので、ぜひご覧いただき、当時の雰囲気を感じていただければと思います。(考古担当学芸員)

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ハムシの標本調査

先日、ハムシという昆虫の研究者の方が当館所蔵の標本の調査のために来館されました。
今回は当館の収蔵標本を概観し、現在取り組まれている研究に使える標本があるか検討される、とのことです。

研究中の種(しゅ)の標本があったそうです

当館には、市内で採集されたものを中心に4万点ほどの昆虫標本が所蔵されています。

ハムシとゾウムシの標本箱

それらの標本を、当館の研究・教育活動だけではなく、今回のように全国の研究者の方の調査研究にも活用いただくことで、相模原の昆虫に対する理解がより深まるといいな、と考えています。
(動物担当学芸員)

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