自然環境観察員 今年の全体テーマ調査は・・

エコパークさがみはら(相模原市立環境情報センター)で毎年実施している自然環境観察員制度の全体テーマ調査は、博物館学芸員がサポートしています。タンポポ調査、ツバメの巣の分布調査など、20年以上にわたって市域の自然を調べています。6月14日、エコパークさがみはらの講義室で環境セミナーが行われ、今年の調査の説明会が開かれました。
今年のテーマは「チュウゴクアミガサハゴロモとアカボシゴマダラ」です。

タラノキの枝に集まるチュウゴクアミガサハゴロモ(幼虫)

どちらもあまりなじみのない昆虫かもしれませんが、近年、急速に分布を広げています。特に、チュウゴクアミガサハゴロモは昨年、爆発的に増加しました。近年の在来種、アミガサハゴロモやアオバハゴロモなどとどのように競合するのか、気になるところです。

チュウゴクアミガサハゴロモとアオバハゴロモの幼虫

そして、アカボシゴマダラは、1990年代に湘南地域の昆虫愛好家が意図的に放蝶してしまったという、外来種問題の中でも最悪のストーリーと言える来歴を持つ外来種です。近縁で食草もエノキで一致する在来種、ゴマダラチョウとの競合が気になります。これらの昆虫の、市域での分布状況を調査するのが今年のテーマです。
動物担当学芸員が、識別方法や探し方などをレクチャーしました。

レクチャーする動物担当学芸員

標本も持ち込みました。

近縁の在来種のゴマダラチョウ(右)と比較できるアカボシゴマダラの標本(左)

こちらもチュウゴクアミガサハゴロモ(左)と近縁のアミガサハゴロモ(右)の成虫標本

終了後も観察員のみなさんが熱心に標本を見ています。

標本に見入る観察員のみなさん

全体テーマ調査は、概ね5年ごとに実施するタンポポ調査など定番のものの合間に、こうした気になる話題の生きものなどを扱います。はたして今年の調査はどのような成果が出るのか、楽しみです。
(生物担当学芸員)

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