生きものミニサロン タンポポ博士になろう!を実施しました

4月25日、今年度最初の生きものミニサロンを実施しました。テーマは「タンポポ博士になろう!」です。今、花まっさかりのタンポポですが、じつはいろいろと奥深い植物です。

博物館前庭のカントウタンポポ群落

まずは、館内でタンポポの特徴を確認します。花の茎が枝分かれせず(1本の茎に1つの花)、茎の途中から葉が出ない(すべての葉は地面から生える)のがタンポポの特徴です。

写真でタンポポの特徴を確認 よく似たオオジシバリがタンポポではないことをしっかり見つけてくれました

しっかり特徴を確認してくれたので、外へ出て、もともと日本に分布していた在来種(カントウタンポポ)を探します。

カントウタンポポの特徴を確認

花を支える部分(総苞:そうほう)がしっかりまとまっているのがカントウタンポポです。じつは、一番最初の写真もカントウタンポポで、博物館の前庭の様子です。ここ2、3年でカントウタンポポが分布を広げてきたことは、先日このブログにも書きました。

カントウタンポポの花

続いて駐車場へ移動して、雑種のタンポポを探します。雑種の見た目はカントウタンポポに似ていますが、総苞をよく見ると、まとまりが悪いのがわかります。

総苞のまとまりが悪い雑種のタンポポ

それを確認しながら、花粉を採取します。

花粉をセロハンテープにくっつけます

駐車場の奥に用意した顕微鏡で観察。

顕微鏡で花粉を観察

まず雑種の花粉を見て、大きさが揃っていないことを確認してから、カントウタンポポの花粉を観察すると、つぶのそろい方に「わぁ!」と声をあげて驚いてくれたお子さんも。

たくさんの花粉のつぶの大きさが揃っていて感激!

こちらは、スマートフォンに着けて撮影できる顕微鏡レンズで撮影したものです。

カントウタンポポの花粉 つぶの大きさがそろっている

雑種の花粉はよく見ると、小さいものや大きなものが混じっている

参加者のみなさんにも実際に撮影してもらいました。
同じような見た目なのに、顕微鏡で見るとはっきり違いをわかることが新鮮だったようです。最後に「こんな観察したね」カードを配布して終了しました。
野外で快適に過ごせる季節になり、今年度最初のミニサロンを楽しく実施できました。
次回は5月16日(土)12時からです。
(博物館長・学芸員)

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『相模原市立博物館研究報告 第34集』を刊行しました。

『相模原市立博物館研究報告 第34集』表紙

『相模原市立博物館研究報告』は当館の定期刊行物で、各分野による調査・研究の成果などを掲載しているものです。『研究報告』というタイトルではありますが、収集資料紹介や、展示の開催結果、ボランティアの活動内容など、前述の調査・研究のみにとらわれず様々な博物館活動について報告しています。
第34集は11のタイトルが寄せられ、充実した内容となりました。

今回刊行した第34集はもちろん、2010年以降に刊行したバックナンバーは、すべてホームページで公開していますので、ぜひご覧ください!

(研究報告第34集刊行担当学芸員)

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本日からスタート!シティネイチャーチャレンジ

本日4月24日~27日まで、世界中の地域で行われるシティネイチャーチャレンジ(CNC)、相模原市域も県央地域として生物記録の登録がスタートしました。詳しくは市のホームページをご覧ください。
今朝、早速通勤しながら植物の写真を20種ほど撮影しました。

コバンソウ 生きものの名前がわからなくても、登録する際にAIが候補名を挙げてくれます

夜までには登録しようと思います。
登録数で競うこのイベントはどなたでも参加できます。ぜひ、ホームページをご覧いただき、登録のためのアプリであるiNaturalistのインストールやCNCの登録にチャレンジしてみてください。
またこの期間に登録された生物の記録をみんなで同定する「生きもの同定会」を、5月9日に当館と麻布大学で実施します。そちらもどなたでも参加できますので、ぜひご来場ください。なお、オンラインでのご参加も可能です。
(博物館長・学芸員)

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今年度も実施します!生きものミニサロン

今年度も、毎月恒例の生きものミニサロンを実施します。
4月は第四土曜日の25日(土)に実施しますが、基本的に第3土曜日に実施します。年間の日程については当館のホームページをご覧ください。
今年度1回目のテーマは「タンポポ博士になろう!」です。

カントウタンポポの花

博物館前庭に咲いているタンポポについて、じっくり観察したり、花粉を採集してみたり・・30分間で必ず“タンポポ博士”になれるはず!

スマホに取り付けた顕微鏡で花粉を撮影したもの それぞれの粒の大きさが揃っています

身近だけど、とっても奥深いタンポポの世界をお楽しみいただけます。事前申し込み不要、参加費無料で12時から実施します。ぜひご参加ください!
(博物館長・学芸員)

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カザグルマが開花しました

市内に分布する絶滅危惧植物のカザグルマを、博物館の敷地内で系統保存のために栽培しています。その株が4月24日、開花しました。

開花したカザグルマ

園芸植物クレマチスの原種の一つであるカザグルマは、キンポウゲ科のつる性樹木です。この株のもとになった自生地の株は近年確認できなくなってしまい、消滅した可能性があります。栽培下ではこうして力強く大きな花を咲かせてくれますが、野生下では人と環境の関わりが変化してきたこともあり、やぶに埋もれて消えてしまった場所が多いようです。
上の写真の株は、博物館駐車場の奥のフェンス沿いに咲いています。

これから大型連休にかけて花を楽しめそうです

ご来館の際は他の自動車に注意しつつ、ぜひご覧ください。
(博物館長・学芸員)

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タンポポ調査2026

エコパークさがみはら(相模原市立環境情報センター)が主催する自然環境観察員制度には、博物館として25年前の発足当時から深く関わっています。その活動の中心とも言える市民による自然調査、全体テーマ調査の今年のテーマはタンポポです。タンポポの在来種、外来種、それらの雑種の分布を調べるこの調査は今回で6回目となります。4月11日に説明会を実施し、すでに調査期間が始まっています。私も、4月18日と19日に、調査を担当する人が少ない津久井地域をまわってきました。
自然豊かな津久井地域には在来種のカントウタンポポが多いかと思いきや・・

路傍のタンポポ 緑区鳥屋

よく見るタンポポの生育環境ですが、津久井地域でも、こうした路傍に生えるのは、ほぼすべてが在来種と外来種のセイヨウタンポポの雑種タイプです。

総苞のまとまりが悪い雑種タイプのタンポポ 緑区鳥屋

上の写真の株はカントウタンポポとよく似ていますが、花を支える総苞(そうほう)のまとまりが悪く、外見から雑種とわかります。カントウタンポポは、次のような総苞で、しっかりとまとまっています。

カントウタンポポの花 緑区青山

カントウタンポポの生育環境は、下の写真のような農耕地の脇など、他の草も多いものの、草刈りなどの管理も適度にされている場所です。

典型的なカントウタンポポの生育環境(市内南区)

ただ、津久井地域のこのような畑の脇や果樹園などを回ってみても、カントウタンポポはなかなか見つかりません。興味深いのは、そうした場所に時々、典型的なセイヨウタンポポが見られることです。総苞の外側が下へはっきり反り返るのが特徴です。

典型的なセイヨウタンポポ(外来種) 緑区青根

じつは、中央区や南区などの市街地では今、こうした典型的なセイヨウタンポポはまず見られません。ほぼ、雑種タイプに置き換わっています。推測にすぎませんが、津久井地域はもともと山あいの里が多いため、カントウタンポポは畑や果樹園など農地に局地的に分布する以外、あまり生育していなかったのではないかと思います。そこへ古くは物流に伴ってセイヨウタンポポが、そして近年、雑種が分布を広げてきたのではないかと思われます。
また、今日の調査ではこんなタンポポを見つけました。雑種タイプでしたが、花茎がやたらと幅広く、その上に大きすぎる綿帽子が乗っています。

帯化したタンポポ

これは、帯化(たいか)と呼ばれる現象で“きしめん”のような扁平な花茎の上に、たくさんの花が咲きます。タンポポは一つの花茎に一つの花が咲くのが決まりですが、帯化タンポポではたくさんの花がつきます。この扁平な茎は1本ではなく、たくさんの茎が合着したと考えると納得です。タンポポ以外にもこうした現象は起きますが、踏み付けなどのストレスの多い場所に多く見られるように思います。
あちこちでたくさんのタンポポを探し回りながら、タンポポの奥深さを改めて感じています。
(博物館長・学芸員)

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生きものの記録、世界へ発信! シティ・ネイチャー・チャレンジ(CNC)に参加しませんか

「シティ・ネイチャー・チャレンジ(CNC)」とは、世界中の都市が同じ期間に生き物を観察・記録し、その種類や数を競い合う国際的な取組です。今回、相模原市域もこれに参加することになりました!相模原市内に生息する生きもの(植物・昆虫・鳥・魚など)を観察し、撮影した写真をスマートフォンアプリ「iNaturalist」(無料)に記録します。また、生きものの種類や名前はAIが自動で提案してくれます。

キビタキ

対象となるのは、4月24日~27日に、相模原市内で観察した生きものの写真とデータです。詳しくは、相模原市のホームページをご覧ください。

クマバチ

集まれ!生きもの同定会

現在開催中の企画展「わぉ!な生きものフォトコンテスト写真展」の記念イベントとして、CNC期間中に記録された生きものの種類や名前を、専門家と参加者で一緒に確認する同定会を開催します。生きものに関する知識がなくても、興味がある人であれば、どなたでも参加できます。記録された生きものを複数のユーザーが同定することで、研究に活用できるオープンデータとして、地球規模生物多様性情報機構(GBIF)に提供されます。

日時    令和8年5月9日(土曜日)  午前10時から午後3時【出入自由】
場所    相模原市立博物館地階大会議室、麻布大学 大教室、またはオンライン
申込方法   こちらのフォームからお申込みください。

カナヘビ

集まった観察記録は、相模原市にどのような生きものが暮らしているかを知るための資料として、地球規模のデータベースに登録され、自然環境を理解し、守っていくために役立てられます。多くの方のご参加をお待ちしております!
(博物館長・学芸員)

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キンラン開花

4月16日、博物館お隣の樹林地でキンランの開花を確認しました。

キンラン

残念ながらこの場所は一般の方が入れない場所ですが、博物館では大学などと協働で調査を行っていて、毎年開花状況を確認・記録しています。

上から見たキンラン

さらに、こちらも一般の方が入れない場所に咲いたギンランです。

ギンラン

ギンランは昨年まで前庭でも咲いていたのですが、今年は見つけられていません。これから落ち葉の下から立ち上がってくるのか、もう少し様子を見守ろうと思います。
そして、雑木林の貴婦人、エビネが咲き出しました。

エビネ

こちらは前庭の一角で咲いているので、どなたでもご覧いただけます。

エビネ 花のアップ

まもなく中庭でも咲くので、その時には案内表示を出そうと思います。
(博物館館長・学芸員)

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シロバナハンショウヅルが見ごろです!

博物館お隣の樹林地で、シロバナハンショウヅルが見ごろです。

シロバナハンショウヅル

ただ、株数がとても少なく見つけるのはちょっと難しいので・・博物館駐車場の奥、プレハブの建物のそばのフェンス沿いに、挿し穂で増やした株が開花しています。

フェンスで咲いているシロバナハンショウヅル

日当たりが良いので、たくさん咲いています!
そして同じ場所に、絶滅危惧種のカザグルマも挿し穂で植栽しています。こちらは来週あたりに咲きそうです。

カザグルマのつぼみ

今年は春の花が少し早めに咲いています。見逃さないように気を付けなくてはいけませんね!
(博物館長・学芸員)

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カントウタンポポの園

博物館の前庭にここ数年、在来種のカントウタンポポが増えていることは以前にもブログでお伝えしました。今年はさらにその株数が増えて、それまで多かった外来種との雑種のタンポポを席捲する勢いです。

前庭に現れたカントウタンポポの園(その)

草刈りなどで適度に管理された土地が年数を経て安定し、さらに近くにカントウタンポポの自生地があると、そうした土地へ徐々に分布を広げてくることは以前から知られていました。しかし、その勢いをこうして実際に見ていると、土地に根付いた在来種の底力を感じます。
中には色が少し薄めの花もあります。

白花品と言ってもよいくらいの色の花

こちらはレモンイエローの花です。

レモンイエローの花

じつはこうした薄めの色が出やすいのも、カントウタンポポの特徴です。時には白花品もありますが、踏み付けや除草剤によるストレスがかかるところによく見られます。この場所は除草剤はまいていませんが、時々管理のために足を踏み入れることがあるので、こうした色変わりが出てくるようです。
ちなみに、これらの株からいくつか花粉をとって調べたところ、下の写真のようにしっかり花粉の粒がそろっていたので、カントウタンポポであると判断できます。

スマホに取り付けた顕微鏡で花粉を撮影したもの それぞれの粒の大きさが揃っています

なぜ花粉が揃っているとカントウタンポポなのか、ということについてはちょっと長い説明が必要になってしまうため、別の機会に解説したいと思います。
前のブログでフデリンドウが盗掘されたことを書きましたが、カントウタンポポの増加はかなり嬉しい出来事でした。
(博物館長・学芸員)

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