ヌルデの花と、葉にくっついた??なモノ

博物館お隣の樹林地にはヌルデの木がぽつりぽつりとあります。ヌルデはウルシの仲間なので、晩秋に見事な紅葉を見せてくれます。初秋のこの時期は、花の季節。小さいな花が房状にたくさん咲きます。

ヌルデの花

拡大すると、白い花がしっかりと咲いているのがわかります。

ヌルデの花の拡大

ところで、葉のところどころに、不思議なものがついていました。色といい、質感といい、かなり違和感があります。

ヌルデミミフシ(ピンク色の部分)

これは、いわゆる「虫こぶ(虫えい、またはゴールGallとも呼びます」の一種です。虫こぶはいろいろな植物に見られ、主にハエやアブラムシの仲間の幼虫が中で成長します。虫たちがどのようにこうしたこぶ状のもの(多くは異常増殖した植物細胞)を作るのか、じつはよくわかっていないことも多いのですが、ヌルデの葉にできたこの虫こぶは、ヌルデミミフシと名付けられ、中にいる虫はヌルデシロアブラムシとされています。それにしても、なぜこんな目立つ色と形をしているのか、謎ですね。
(生物担当学芸員)

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2025年度 歴史分野 博物館実習~展示設営と解説を行いました~

こんにちは!歴史分野の実習生です。
9月10日の分野別実習6日目(最終日)では、展示の設営と解説を行いました。

午前中は、今までに作ったパネルや年表を展示スペースに設営しました。
パネルは、虫ピンという小さな釘のようなもので留める作業を行いました。
展示ケースには、解説パネルとそれに関する写真と資料を設置しました。
資料に関しては、自然・歴史展示室から運び込みました。
解説のシナリオを考えて、担当学芸員やほかの職員にも聞いてもらい、アドバイスをいただきました。

解説シナリオを考えている様子

午後は、いただいたアドバイスをもとに改善をしていき、来館者の前で複数回解説しました。

解説している様子

最終日は、今までに学んだことを意識して解説に臨むことが出来ました。
9日間の実習を経て、学芸員の様々な仕事内容を学ぶことが出来ました。資料の調査・管理や展示解説だけではなく、市民の方との関わりも学芸員の重要な役割であると実感しました。博物館実習で学んだことを学習や社会生活に生かしていきたいと思います。

展示の完成を記念して

(2025年度 歴史分野実習生)

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【企画展イチ押し資料】神輿

現在開催中の企画展「相模原市立博物館 30年の歩みを未来へ」の展示物から、民俗分野はイチ押し資料として神輿を紹介します。

この神輿を展示したのは、開館30周年のお祝いの意味もありますが、それだけではありません。

この神輿は明治9年(1876)に「半原宮大工」によって手掛けられました。
愛川町の「半原宮大工」は江戸時代以降、県内の寺社仏閣の建築などを手掛けてきた大工集団です。
実は神輿の裏側には、このような墨書きがあります。

当初は総白木で作られ、何度か修復されてはいますが、胴から屋根にかけては白木のままで、当時の面影が残されています。
戸脇に彫られた鯉の滝登りに登降龍など、彫刻も見ごたえがあります。

このように神輿自体も素晴らしいのですが、「民俗」として注目してもらいたいのは、その来歴です。「民俗」では、いつどこで誰が使ったか、どこで作られたかといった、資料の来歴を大切にします。

この神輿は、中央区上溝の丸崎地区と星が丘地区で担がれていました。
明治9年の墨書きがあるので、その頃から昭和21年(1946)まで70年ほど、丸崎地区で担がれていましたが、新しい神輿を購入することとなり、昭和22年(1947)に隣接の星が丘地区に譲られました。

星が丘地区は、戦時中に陸軍造兵廠従業員用の県営住宅の建設をきっかけに人が住み始めた新しい地域です(星が丘の「星」は陸軍の星のマークが由来ともいわれています)。神社はありませんが、神輿を譲られた年から、「上溝のお天王様」に参加するようになりました。
(現在、星が丘地区は、小学校の校庭を使い、単独で祭りを行っています。)
「上溝のお天王様」は、現在では「上溝の夏祭り」と呼ばれている祭りなので、ご存じの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
その後、老朽化を機に星が丘でも神輿を新調することになり、この神輿は平成2年(1990)に建設準備中の博物館へ寄贈されました。

調査風景(平成2年3月撮影)『50年の歩み』(平成18年(2006) 星が丘三丁目自治会結成50周年記念実行委員会)より転載

この神輿は、100年以上、地域の象徴として祭りの際に人々に担がれ、親しまれていただけでなく、半原とのつながり、軍都計画、古い地域(丸崎)と新しい地域(星が丘)との関係性など、多くのことを語ってくれます。
こうしたことは見た目だけでは分かりません。
一見同じように見える資料でも、背景にはそれぞれ異なる歴史や人々の思いが積み重なっています。それを明らかにし、記録して、資料として保存するのが、民俗学の役割ということを知っていただければ幸いです。

(民俗担当学芸員)

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植物の実からアンモナイト!?

博物館お隣の樹林地で、アオツヅラフジの果実が実っていました。

アオツヅラフジの果実

この果実、自然観察会では定番の、あるネタが仕込まれています。それは、果実をつぶしてみると・・

果実は有毒ですが、つぶすくらいなら大丈夫・・

ゼリーに包まれているのは・・

ゼリーに包まれた“なにか”が出てきました

アンモナイトでした!!

アンモナイト!?

というオチになります。もちろん、アンモナイトのはずはなく、これはれっきとした種子です。わかりきってはいますが、結構ウケるネタです。
こんな遊びが秋の植物にはいろいろとあります。ここであまり紹介するとネタバレになってしまうので、あとは観察会のお楽しみということで・・。
(生物担当学芸員)

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日本昆虫学会公開シンポジウムのお知らせ(9/13)

9月13日、相模原市のお隣の厚木市にある東京農業大学にて、日本昆虫学会第85回大会の公開シンポジウムが開催されます。
当館からも、動物担当学芸員がオーガナイザーの1名として参加します。
シンポジウムのテーマは「小笠原昆虫研究への招待—自然史研究と保全のフロンティア」です。
世界自然遺産、小笠原諸島における昆虫の研究と保全の現在地について、5名の演者による講演ののち、総合討論を行います。

<シンポジウム概要>
日 時:2025年9月13日(土) 9:30~12:00
場 所:東京農業大学厚木キャンパス トリニティホール(100名程度、要予約)
参加費:シンポジウムのみの参加は無料
主 催:日本昆虫学会自然保護委員会
詳細は大会Webサイトまで。ご参加をお待ちしております!

父島の風景

(動物担当学芸員)

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民俗分野実習最終日~展示設営と解説『柳田国男と相模原』

こんにちは!民俗分野の実習生です!
今日は、実習の最終日。展示設営と解説を行いました。
展示の場づくりや解説パネルの貼り付けを行い、来館者にはどう見えるのか、などを話し合いながら作り上げました。

 

展示の基礎設営

パネルづくりの様子

展示づくりの様子

私たちにとって初めての設営は難しく、時間がかかってしまいましたが何とか終わり、来館者の方々に展示の解説を行うことができました。

完成した展示

展示の解説を行っている様子

 

事前に調べた、来館者に知ってほしい内容や、展示した資料の説明の中で、ちょっとした雑談などを挟むなど、これまでの実習を通して学んだ学芸員のテクニックを駆使して、コミュニケーションが取れるように、展示の解説を行うことができたと思います。

9日間の実習は、学芸員としての実務的な技術や運営のための知識を身に付けることができ、また、来館者との交流など、幅広い経験をつむことができました。
この相模原市立博物館での貴重な経験を大切にしていきたいです。

私たちの展示は9月28日まで行っています。ぜひお越しください

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ヒメアカタテハとキツネノマゴ

博物館のまわりでたくさん咲き出したキツネノマゴの花を撮影しました。

キツネノマゴの花

とても小さな花ですが、かわいらしくて、つい写真を撮りたくなります。すると、いきなりチョウが視界に飛び込んできました。

目の前にとまり、バッと翅(はね)を広げました

ヒメアカタテハです。ちょこまか飛び回るチョウですが、こちらがじっとしているとすぐそばで吸蜜します。

キツネノマゴの花から吸蜜するヒメアカタテハ

キツネノマゴの小さな花にもしっかりと蜜があるのでしょう。花から花へと飛び移り、口吻(こうふん)を射し込んでいました。

蜜のありかを示す花の模様は蜜標(みつひょう)と呼ばれます

炎天下で夢中で撮影していたら、自分の汗が落ちて地面へ吸い込まれていくのに気づき、脱水症状にならないうちに撤収しました。
(生物担当学芸員)

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地質分野実習 ~展示作成・解説編~

こんにちは!令和7年度の地質分野の実習生です。

私たちは、境川と鶴見川の河床の高さの違いに関する展示を作成しました。

まず、2025年8月27日の野外調査で収集した資料を展示するために、洗浄などを行いました。

古淵駅周辺で採集した、関東ローム層と箱根東京軽石の資料です。

 

続いて、説明文や図などを作成し、パネルに貼り付けました。

 

作成したパネルを実際に展示スペースに打ち付けました。

バランス感をとるのが難しかったです。

 

完成した展示はこちらです。

実物資料として、収蔵庫から4点、私たちが採集したものを6点使用しました。

 

9月7日には実際に来館者の方々に向けて展示解説も行いました。

実習生の展示は9月28日まで特別展示室にてご覧いただけます。ぜひお越しください!

(地質分野 実習生)

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2025年度 歴史分野 博物館実習~パネル作成を行いました~

こんにちは!歴史分野の実習生です。
9月9日の分野別実習5日目は、展示に向けてパネル作成を行いました。

午前はパソコンを用いて作成したパネルの文章の添削やフォントの確認を行い、印刷できる形にしました。

作業に取り組んでいる様子

午後は作ったパネルの内容を印刷して、スチレンボードに貼り付け切っていく作業を行いました。
少しの力加減で出来具合に大きく影響するので、集中する必要があると実感しました。

パネル作成している様子

制作したパネル

パネル作成後は、展示ケース内のレイアウトを考えて使用する展示台を選びました。限られたスペースの中でどのように最大限に空間を利用するか、考えるのがとても難しかったです。

実習最終日に展示が完成するので、皆様に楽しんでもらえると同時に、学びのある展示を制作していきたいと思います。
最終日の9月10日は、私たち実習生が展示解説を行うので楽しみにしていてください!

(2025年度 歴史分野実習生)

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2025年度 歴史分野 博物館実習~展示に向けた作業を行いました~

こんにちは!歴史分野の実習生です。
9月7日の分野別実習4日目は、展示制作に向けた準備を行いました。
午前は展示全体のレイアウトや、使用する写真などを相談しました。

展示スペースの大きさを測っている様子

地質分野の展示解説を聞いている様子

午後は作業を分担し、「橋本駅と横浜線の歴史」をテーマとして、展示のレイアウトや展示のテーマに沿った写真を決定し、解説パネルの文章を作成をしました。

展示を作るうえで、見てくださる方にどんな情報を展示すればよいか、どのように伝えるか、想像よりもレイアウトを考えることが難しかったです。
最後に良い展示ができるよう常設展示や他分野の実習生展示などから勉強してがんばります!

(2025年 歴史分野実習生)

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