ムシャクロツバメシジミ

近年、外来種が急激なスピードで分布を広げる例がいくつか見られます。代表的なものはチュウゴクアミガサハゴロモです。この3年ほどであっという間に広がりました。今、注目されているのは中国や台湾原産のムシャクロツバメシジミです。大きさや色合いが在来種のヤマトシジミによく似ています。翅(はね)の下面が比較できる写真で見ても、そっくりです。

ヤマトシジミ

ムシャクロツバメシジミ 赤丸部分の突起と小さなオレンジ色の斑点が識別点

識別のポイントは後翅の下の方にある突起(1枚目の写真の赤丸部分)と、その近くにある小さなオレンジ色の斑点です。ムシャクロツバメシジミは、「ツバメシジミ」という名の由来となるこの突起が目印です。
翅の上面はヤマトシジミのオスは瑠璃色ですぐに見分けられますが・・

ヤマトシジミ(オス)

メスはこの瑠璃色が無く黒っぽいので、下の写真のムシャクロツバメシジミとよく似ているので注意が必要です。

ムシャクロツバメシジミ

博物館周辺では、ヤマトシジミが多いものの、よく観察しているとムシャクロツバメシジミも混じっています。市内の住宅地で両種が同じくらいの比率で見られることもあります。ヤマトシジミはシロツメクサなどを幼虫の食草としていますが、ムシャクロツバメシジミは住宅地では園芸種のセダム類(マンネングサの仲間)を食草としています。この仲間はコンクリートの隙間などにも意外と普通に生えているので、ムシャクロツバメシジミの分布拡大の土台となっているのでしょう。
ところで、相模原市緑区には在来のセダム類であるツメレンゲが自生し、やはり在来種のクロツバメシジミが生息しており、どちらも希少種です。クロツバメシジミは近縁種であるムシャクロツバメシジミと交雑することがわかっています。なんとも心配な状況です。
(博物館長・学芸員)

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秋晴れの河原

10月8日は二十四節気の寒露でしたが、そのちょっと前くらいからやっと秋晴れと言えるような天候が続くようになりました。市内緑区の相模川の河原へ、絶滅危惧植物の開花状況などを確認に行きました。
カワラノギクはまだ開花しておらず、つぼみが膨らんできていましたが、秋の長雨の影響か今年は開花が遅れそうです。カワラハハコは開花していました。

カワラハハコ

株数が少なく、ごく限られたエリアにしか残っていないので、株を増やす手立てを早急に打ちたいと考えています。
他の植物も元気です。アケビの果実が熟してきれいに裂けていました。

アケビ

スズメウリ、カラスウリも実っています。写真はスズメウリの果実です。

スズメウリ

コセンダングサの花に吸蜜に来ていたキタテハです。

キタテハ

頭上ではモズが元気に高鳴きをしていました。高鳴きとは、秋から冬にかけて単独でなわばりを持つモズによる「なわばり宣言」のさえずりです。

モズ

エナガも20羽以上の大きな群で動き回っていました。

エナガ

二十四節気の寒露は、秋が深まり、草花におりる露に冷たさを感じるころという意味です。明け方はだいぶ涼しくなり、それも実感できるようになりました。もう少しすると冬鳥もやってくるはずです。河原が賑やかになる季節が間近です。
(博物館長・学芸員)

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『縄文集落と勝坂式土器』開催中です <12月13日まで>

本日、10月10日から大山 柏 勝坂遺跡発掘100周年記念企画展『縄文集落と勝坂式土器』が始まりました。
詳細はこちら 当館HP

本市南区磯部に位置する勝坂遺跡は、ちょうど100年前の1926(大正15)年の10月に、
大山柏先生により発掘調査されました。これを記念し、この展示を企画・開催しました。

本企画展は勝坂遺跡の調査の歴史、市内の勝坂式土器とその集落、この2点を紹介することを目的としました。

特別展示室の入口

特別展示室に展示されている縄文土器・石器などは285点を数え、おおよその形がわかる土器は105点です。

博物館正面の表示も企画展に合わせて変更しています。

さらに展示解説書も用意しました。こちらは総合受付横のミュージアムショップにて160円(税込)で販売しています。

今回は市内遺跡のほかに、長野県富士見町の井戸尻考古館や、東京都教育委員会から縄文土器をお借りして展示しています。井戸尻考古館HPはこちら

また、関連事業として歴史シンポジウム、講演会3本、展示解説(すべて同内容)、勝坂遺跡の現地探訪を行います。詳細はこちら(当館HP)

ぜひご来館ください!
(考古担当学芸員)

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わぉ!わぉ!観察会「生きものフォト講座」の講師を務めました

10月3日、八王子市の長池公園で、わぉ!わぉ!観察会「生きものフォト講座」が行われました。わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクトの一環であるこの講座は、当館館長が「わぉ!な生きものフォトコンテスト」の特別審査員を担っているご縁で講師を務めています。
はじめに、同公園の小林園長から園内の紹介があり、続いて博物館長から自然観察の中で写真を撮影することの意義と「まず撮る」のではなくて「まず観察する」ことの大切さをレクチャーしました。

館長によるレクチャー

そのあとは、いよいよ野外へ出ます。博物館長の班と小林園長の班の二手に分かれて観察しました。
身近な生きものの撮影では難易度の高い、クモの巣にいるクモの撮影に挑戦してもらいます。

ジョロウグモ 左がメスで、右がオス

スマホやコンパクトカメラではなかなかピントが合わない中、マニュアル撮影が得意な一眼カメラを持っている方がばっちり撮影していました。
大人も子どもも、いろいろなものを見つけては撮影しています。

ちょっと気になる生きものを観察してから、撮影に挑みます

子どもの参加者も見事な写真を撮ってくれました

そんな中、ヒメコウゾの葉に、見慣れないものがたくさんついていました。

クルっと巻かれたヒメコウゾの葉

これは、中に虫が隠れている証拠です。「中を覗いてみようか!」と提案すると「そんなことしていいの?」という小学生の参加者からの声。うーん、確かにそれもそうだと逡巡する中、やっぱり好奇心が勝って開いてみることに。一つ目はすでに空になっていて肩透かしをくらいましたが、二つ目を開けると・・

中にいたのはタイワンモンキノメイガの幼虫でした

イモムシがいました!調べてみると、タイワンモンキノメイガという外来種の巣でした。ごく最近公園内でもよく見られるようになったそうで、どうりで見た記憶が無かったわけです。ただし、博物館へ戻ってからお隣の樹林地を見ると、ちゃんとこちらにも巣がありました。
ちょっと楽しみにしていたのが、この季節のニシキギの葉によくいるキバラヘリカメムシです。観察の最後にみなさんと探しましたが、見つかったのは亜成虫だけでした。

キバラヘリカメムシの亜成虫

じつはこのカメムシ、みなさんの予想に反して青りんごのようなにおいを出すのです。それを確かめてもらおうとしていたのですが、残念ながら亜成虫はにおいを出してくれませんでした。ちなみに、小林園長班は別の場所のニシキギでこのにおいを堪能したそうです。
観察会を終了し、室内へ戻って参加者のみなさんからそれぞれ「この1枚!」という写真を出していただき、全員で鑑賞しました。事前に「タイトルをつけるつもりで撮影して」とリクエストしてあったので、タイトルも発表してもらいましたが、これがみなさん素晴らしいセンスで驚きました。
終了後、先ほど体験できなかったキバラヘリカメムシを探す参加者もいました。

キバラヘリカメムシの成虫

写真は、その生きものと一緒に出会いの思い出も残してくれます。キバラヘリカメムシの写真を撮影した方は、きっと後から写真を見ながらにおいも思い出すことでしょう。
(博物館長・学芸員)

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吉野宿ふじや「藤野の養蚕展」開催中

10月3日(土)から緑区にある吉野宿ふじやにて「藤野の養蚕展」が始まりました。

この展示は「NPO法人ふじの里山くらぶ」と「藤野古文書を読む会」の二つの団体と協力して開催しています。

期間は令和8年10月3日から25日までの開催です。
(休館日:10月5日(月)、13日(火)、19日(月))

関連イベントとして、講話会が毎週末に開かれています。講師の多くは、地元の養蚕農家で生まれ育った方々です。相模原の生業としての養蚕は、平成22年に終了しているため、今回の講話会は当時の話を聞ける貴重な機会となります。

先日、第1回の講話会に参加し、また、展示の様子を拝見しました。

充実した内容の展示です。

充実した内容の展示です。

ボードに掲示されている以外にも、机には関連資料が自由に読めるようになっています。

金色姫などの掛軸が並んでいます

展示されているものは基本的に地元の方が所有されているものなので、普段は目にすることができません。

講話会は展示スペースの半分を使って行われました。
第1回の講師は、守屋博文氏です。守屋氏は平成22年の津久井地域で行われた最後の養蚕の記録映像を撮られました。今回はその当時の映像を元にお話ししていただきました。

大盛況だった講話会

質疑応答も盛況で、会場は大いに盛り上がりました。

この後、あと3回の講話会が控えています。
会期は短いですが、充実した内容になっています。
関心のある方はぜひご来館ください。

 

(吉野宿ふじや担当学芸員)

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博物館で大学の実習を行いました

10月4日、麻布大学の野生動物学実習を博物館で実施しました。
まず、博物館長から標本を収集して扱う意義や、神奈川県内の生物相目録の充実ぶりなどについてレクチャーを行いました。

まずはレクチャーからは始まりました

その後、野外へ出て昆虫採集をします。動物担当の学芸員から、捕虫網の扱い方などを学びます。

適当に網を振っているようにも見えますが、スィーピングというれっきとした採集方法です

駐車場に生えている草をめがけて実際に網を振ってみると、小さなものからバッタなどそれなりに大きなものまで、意外とたくさん入ります。

採集した昆虫は薬品の入ったビンへ入れていきます

続いて、お隣の樹林地にも入りました。さすがにこの場所は昆虫も多く(蚊もたくさんでしたが・・)、いつのまにか服にもついています。

服についた昆虫もゲット!

昆虫ではありませんが、ニホンカナヘビをつかまえた学生もいました。

ニホンカナヘビ

室内へ戻り、お昼休みを挟んで室内実習を再開します。ここからが実習の要、スケッチとサイエンスコミュニケーションを行いました。まずは、採集した昆虫のスケッチ。

しっかり観察して描いています

全体を描くのではなく、あえてパーツを拡大して描いてもらいます。そうすることで、より詳細な観察と描画が求められます。途中で他の人とスケッチを見せ合って、スケッチから客観的に推定した昆虫の運動機能や生態についてディスカッションしてもらいました。それをグループごとに発表してもらいます。

グループごとに観察結果を発表

ここで重要なのは、対象の昆虫についての知識から導くのではなく、あくまでもスケッチの中で気づいたことから推定することです。これは、科学に不可欠な要素である客観的視点を持つトレーニングになります。みなさんそれぞれ、その意図をくみとって発表してくれました。
最後に、標本を収めてある収蔵庫の見学をして実習を終了しました。

動植物資料収蔵庫の見学

学生のみなさんは、とても前向きに、しっかりと課題に向き合ってくれました。
地域の生物相を記録して残す地域博物館の役割とともに、自然科学の基礎を学んでいただけたことと思います。
(博物館長・学芸員)

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タカの渡り観察体験会

10月2日、自然環境観察員制度野鳥部会(エコパークさがみはら主催)のみなさんと、タカの渡りポイントで「タカの渡り観察体験会」を実施しました。前々日にたくさんの渡りが見られていたため、この日も飛ぶかもという期待と、もう残っているタカが少ないのではないかという不安が入り混じる中、観察を始めました。

野鳥部会のみなさん

お昼近くまで、時々サシバやノスリ、ミサゴなどが飛ぶものの、「渡り」と言えるような飛び方のタカがなかなか現れません。

上空を羽ばたきながら飛ぶサシバ

カケス

その後も、双眼鏡でも見るのが厳しい距離で少し渡っていったほか、お昼までにタカはほとんど飛んでくれませんでした。半分くらいの方が午前中だけで帰りましたが、14時まで残ろうとねばる人も・・。
その願いは、終了間際に成就しました。東から西へと飛ぶサシバが次々と現れて、その数は28羽!西の空で再び上昇気流に乗って旋回するサシバのタカ柱も観察できました。

遠くの空でしたが、タカ柱もしっかり見ることができました

ほかにもノスリが渡っていったり、ヒヨドリの10羽以上の群が何度もわたっていったり、エゾビタキをじっくり観察したりと、思い返せばいろいろ見ることのできた観察会でした。
(博物館長・学芸員)

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2026年大月巡検

9月26日に日本地質学会関東支部主催の「2026年大月巡検~南部フォッサマグナの付加衝突帯の地質と甲州街道の酒蔵~」の講師を務めました。大月市の桂川(相模川の上流)で地層や岩石を観察しました。丹沢山地をつくる岩石や富士山の溶岩(ようがん)、昔の桂川の川原に堆積した砂礫層(されきそう)など、いずれも相模原と関係が深いものです。

まずは猿橋を訪れました。猿橋は日本三代奇橋の一つで、甲州道中(甲州街道)が桂川を渡るところに架けられています。珍しい構造をしており、はね木を両岸から張り出すように重ねて橋を支えています。猿橋が架かる渓谷の両岸には丹沢山地をつくる凝灰岩(ぎょうかいがん)が露出しています。

桂川にかかる猿橋。桂川は深い渓谷となっています。

桂川の岸壁をつくる凝灰岩は、1,200万年前の海底火山噴火によってつくられた岩石です。この岩壁から猿橋渓谷の成り立ちがわかります。

猿橋では、他にも約2万年〜約8千7百年前の間に噴出した猿橋溶岩と約2万の桂川の砂礫層も観察しました。

次に訪れたのは、大月駅の北方にある“象の鼻”です。猿橋で見られたのと同様の凝灰岩と猿橋溶岩を観察しました。ここでは、凝灰岩のすぐ上に猿橋溶岩が直接積み重なっているのがよくわかります。猿橋溶岩と凝灰岩の年代差は1千万年以上!地球のダイナミックな営みを感じることができます。このように異なる年代の岩石が直接、接しているところが見られる場所は意外と少なく、地質学的に重要です。

桂川に張り出した岩が象の鼻に見えることから、いつしか“象の鼻”と呼ばれるようになりました。

“象の鼻”から北側を見上げると、山腹に岩盤が露出している岩殿山(いわどのさん)が見られます。この岩盤は数百万年前にプレート境界で堆積した礫岩(れきがん)からできています。山頂には戦国時代の城跡があります。

“象の鼻”から見た岩殿山。中央高速道路やJR中央線の車窓からも見ることができます。

最後に大月市内にある酒蔵を見学しました。大月市の歴史や富士山信仰との関わり、仕込み水の水質と地形・地質の関係についてお話を伺いました。酒造りはその地域の歴史や文化と深く結びついており、日本酒の味を左右する仕込み水は地形や地質に大きく影響を受けています。

古くからの酒蔵は、その地域の歴史・文化・自然、すべてと関わっています。

一日中、雨が降り続ける中での観察会でしたが、参加された皆さんは熱心に観察していました。また、地形・地質はその地域の歴史・文化と深く関わっていることを感じていただけたようです。

(地質担当学芸員)

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小山公民館 地域を知る講座

9月20日に小山公民館 地域を知る講座「火山がつくった相模野台地」の講師を務めました。相模野台地の地形や地質の特徴と成り立ちについてお話ししました。

相模野台地をつくる地層は、相模川が上流から運んできた砂礫(されき)と富士山や箱根山から噴出された火山灰が降り積もってできたものです。また、遠く九州の火山から噴出された火山灰も降り積もっています。火山がなければ相模野台地の地形は全く違うものとなっていたでしょう。

相模野台地と火山は深く関わっていることをご理解していただけたようです。

(地質担当学芸員)

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雨の中渡るタカ

9月30日、記録的な秋の長雨が続く中、この季節の風物詩であるタカの渡りの観測に市内緑区の観測ポイントへ行きました。せめて曇り空なら飛ぶかなと思いつつ、しかし霧雨が降り続く空をうらめしく眺めていました。多いときは20人を超える観察者がいる観測ポイントですが、この日は渡らないだろうと諦める人が多く、お昼ごろには10人以下になっていました。それでも前日までの荒天から、渡らずにはいられないタカがいるかもしれないと空を眺めていると・・

雨雲の下を渡るサシバ

渡るタカの代表格であるサシバが頭上を飛びました。
後方を見れば雨雲を破るように飛び出す個体が次々と現れます。

次々と西へ渡るサシバ

来た来た!あっちもいる、こっちからも来た!!と残っていた人たちから歓声が上がります。

雨ニモ負ケズ、観測中

こんなコンディションに渡らなくても・・と思うような天候の中、この群は149羽が西へと渡り、さらにこの後も断続的に群が通過しました。結果としてこの日は400羽を超えるサシバが渡っていきました。
この観測ポイントで一日にこれだけの数が渡るのを初めて見ました。秋晴れの空を渡るイメージに反して、こんな日に記録的な観測数になるとは、改めてタカの渡り観測の奥深さを感じました。サシバだけではなく、少数ですがノスリも渡っていきました。

ノスリも渡りました!

タカの渡りの観測は10月前半まで続きます。秋雨に翻弄された9月から、10月はどんなドラマが待っているのか、今からドキドキしてしまいます。
(博物館長・学芸員)

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