7月12日(土)から、当館特別展示室にて市立博物館開館30周年記念企画展「相模原市立博物館 30年の歩みを未来へ」を開催しています。
会期初日と今月21日(月・祝)には、本企画展の担当者でもある動物担当学芸員による展示解説会を実施しました。大変好評いただきましたが、限られた回数・時間内での解説となったため、このブログでも何回かに分けて企画展の見どころ解説を行います。
展示解説に参加できなかった方も、今一度じっくりご覧になりたい方も、ぜひ楽しんでいただけると幸いです。

この大きな看板と横断幕が会場の目印です。
初回となる今回は、「博物館のこれまでを紹介!」と題した、会場に入って一番初めに皆さまをお出迎えするコーナーを解説します。

オレンジ色のコーナーカラー!
ここではコーナータイトルのとおり、当館のこれまでの歩みについて紹介しています。まずは、当館の歴史から…。
当館は平成7(1995)年11月20日に開館しましたが、準備にあたってはその15年前から動き出します。この頃の市域では博物館建設の機運が高まり、現在の当館があるこの地に建設の検討が盛り込まれたのが、昭和55(1980)年4月のことでした。翌年には当時の市社会教育課に「博物館準備係」が設けられ、本格的に博物館設置が進められることとなります。

当館ができる前の建設予定地上空写真。中央向かって左側の白い建物がJAXA相模原キャンパス、そのはす向かいの建物が国立映画アーカイブ相模原分館です。
準備段階において特に難航したのが、建設用地の確保でした。当館ができる前、現在の市立博物館周辺は「キャンプ淵野辺」という米軍施設でしたが、昭和49(1974)年11月に全面返還された後、博物館用地としての跡地処分が決定するまでには実に6年の歳月を要しました。当時の担当者たちの苦心の末、「博物館をつくる懇話会」が提唱した「自然環境に恵まれた」用地を確保することができ、憩いと学びの“森の中の博物館”が実現したのです。
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建設中の様子
用地処分が認められた平成2(1990)年から約2年半後、平成5(1993)年6月に博物館の工事が始まり、さらに2年後の平成7(1995)年7月に竣工しました。やや次のコーナーのネタバレになってしまいますが、地質分野の資料紹介では、博物館建設時にボーリング調査(=地盤の強度や地質を調べるために地面に穴を掘って行う調査)した際のボーリングコアを展示しています。ぜひ、ここで紹介したことを思い浮かべながらご覧いただきたいと思います。

博物館建設時のボーリングコア(地質資料)

完成当初の当館
そして、同年11月20日の開館を迎えてから、本当にたくさんの方々にお越しいただきました。入館者数は、開館から半年で10万人を突破し、10年以内に100万人を超えました(平成16(2004)年1月に達成)。

入館者数の推移
これは、30年間の入館者数の推移を表したグラフです。青い棒グラフは各年度の入館者数(目盛りはグラフ左側)、オレンジ色の折れ線グラフが累計数(目盛りはグラフ右側)を示しています。
突出して多いのが平成22年度ですが、これは小惑星探査機「はやぶさ」の帰還カプセルを当館で世界初公開した年です。年間で182,880人にご来館いただき、以降はJAXA連携企画展の開催も恒例となりました。
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「はやぶさ」帰還カプセル世界初公開時の様子(平成22(2010)年7月30日)
平均すると1年間で約12万人にご来館いただいている当館ですが、令和2・3年度は新型コロナウイルス感染症拡大による影響を大きく受けました。この頃は全国どこの館園も苦しい時期だったと思いますが、当館も例外ではなく、令和2(2020)年4月1日~6月8日と令和3(2021)年1月13日~3月21日は緊急事態宣言下での臨時休館を余儀なくされました。入館者数が最も少ない年で、平時の約4割まで激減していることがグラフから読み取れます。
令和5(2023)年5月からは新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、徐々に日常を取り戻しつつある令和6(2024)11月に入館者360万人を達成しました。
こうした困難を乗り越え、開館30周年を迎えられることに感謝の気持ちでいっぱいになります。

開館30周年記念ののぼりがはためきます。
会場では、より詳細な年表を大きく貼り出して展示していますので、ぜひご覧ください!
また、今週末の8月2日(土)は、本企画展最後の関連事業「博物館バックヤードツアー」を実施します。各回20名の先着制ですので、ご興味のある方はお時間に余裕をもってお越しください。詳細は以下のとおりで、当館ホームページからもご確認いただけます。
《博物館バックヤードツアー》
日時:8月2日(土) ①午前11時30分~正午(受付:午前11時~)②午後2時30分~午後3時(受付:午後2時~)
定員:各回20名(先着順)。エントランスで各回開始30分前から整理券を配布します。
みなさまのご参加、心よりお待ちしています。
(歴史担当学芸員)