コヒルガオ

今日もしつこくヒルガオ科植物のご紹介です。雑草中の雑草?とも言えるコヒルガオです。もう時期はだいぶ過ぎてしまいましたが、まだ少し路傍で咲き残っています。

ヒルガオ科のなかで、ヒルガオのなかまとアサガオのなかまはちょっと違うグループに属します。花はそっくりですが、苞葉(ほうよう)と呼ばれる花に付属する葉の形や付き方が大きく異なります。アサガオ(下の写真)はほとんど痕跡くらいしかなくて萼片が露出しています(写真の萼の下に2枚ぴろっと出ている小さな葉)。

ヒルガオのなかまは、大きな2枚の苞葉が萼を包んでいます。

さて、上の写真で苞葉のすぐ下の茎に縮れたひだがあります。これはコヒルガオの特徴で、とてもよく似たヒルガオにはこのひだが無いので、これがほぼ唯一の識別点となります。図鑑を見るとほかにも葉の形や苞葉の大きさなどいくつか識別点が挙げられていますが、私が観察してきた限り、ほとんど役に立ちません。ちなみに現在路傍で見られるのはほとんどがコヒルガオで、典型的なヒルガオはあまり目にすることがありません。
さて、コヒルガオはなかなか個性豊かで、こんな色の濃い花も見かけることがあります。色の濃い花には五角形の角が立ついわゆる「桔梗咲き」がよく見られます。

ところで、コヒルガオはめったに種子を実らせません。もし、こんなふうに実っているところを見つけたらかなりラッキーです。ぜひ探してみてください!

種子をつけないのになぜ雑草としてこんなにあちこちで見られるのかフシギですね。それは、根っこの断片があればそこからどんどん成長していくからです。街路樹の植栽時の土に根のカケラでも混じっていたりしたら、そこから成長します。さらに地下茎が伸びてまわりに広がっていくので、見渡す範囲のコヒルガオがすべて地面の中でつながっていた、なんていうこともあります。強勢雑草なので、畑ではとても嫌われています。
(生物担当学芸員 秋山)

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