関東圏のカザグルマは、いま

相模原にゆかりのある園芸植物クレマチスには、いくつかの原種が知られています。その中でも大輪の形質のもとになっていると言われるのが、日本在来種のカザグルマ(学名Clematis patens C.Morren et Decne.)です。そのカザグルマの数少ない自生地が相模原市内にあることは、意外と知られていません。写真は、緑区の自生地で咲いた見事な剣弁(花弁状の萼の先が鋭く尖って咲くタイプ)の花です。

神奈川県内では横浜の1カ所と、相模原の数カ所でしか自生地がありません。カザグルマは個体変異や地域変異の幅が大きく、花弁の形状や色がさまざまです。そのため、地域ごとの遺伝系統を守ることが非常に重要になってきます。
そこでこの週末、博物館で関東圏のカザグルマ自生地を守る地域の団体が一堂に会して公開報告会を行います。題して公開報告会「カザグルマを守る~関東圏のカザグルマはいま・・」です。じつは2年前にも同様の趣旨によるミニシンポジウムを行いました。

写真は2年前のようすです。今回はその後の自生地のようすやカザグルマ研究の最前線を、研究者、保全活動団体、そして人口増殖の研究に取り組む県立中央農業高校草花部から報告していただきます。
野生の花とは思えないほどの大輪の華やかさがあり、園芸種とは違った野性味に裏付けられた清らかさを湛えた名花、それがカザグルマです。里山の限られた環境に生育する性質のために、開発や盗掘の圧力にさらされ減少していったこの花を野生に咲かせ続けるにはどうしたらよいか。市民と研究者が知恵と労力を出し合っていく場として、報告会を盛り上げたいと思います。どなたでもご参加いただけます。お天気も今ひとつの予報ですので、ぜひ博物館へお越し下さい。

【公開報告会】カザグルマを守る~関東圏のカザグルマはいま・・
1月30日(土)午後1時半~4時半
博物館大会議室 定員200名(当日先着順)
参加費無料

(生物担当学芸員 秋山)

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