引き出しをつくる植物観察

今日は午前中、神奈川県西部、大井町の農業体験施設「四季の里」で植物観察法の講習を行ってきました。事前に室内で、植物の生物学的特徴や分類、形態のお話をしました。

と書くとたいへん専門的なカタイ話をしたように聞こえますが、そうではありません。むしろ、名前から入るよりも、まずはよく観察をして、特徴を見つけて、その特徴の「引き出し」を作っていきましょう、という提案をしました。
外へ出て、さっそくじっくりと観察をしました。まずは花には大きく分けて左右対称のものと、放射状のものがあることを観察します。それぞれが花の特徴の引き出しです。

シロツメクサ、コメツブツメクサ、カラスノエンドウといったマメ科の植物を観察して、花が左右対称の引き出しに入ることを観察。オオイヌノフグリも、一見すると放射状ですが、じつは左右対称です。
さらに、ニワゼキショウの花を観察。こちらは放射状ですが、葉を見ると葉脈が平行です。これはユリやイネのなかまの単子葉類に共通の特徴です。これも平行脈という引き出しです。

クリの木の下でタンポポを分解して小花のつくりを観察。5枚の花弁が合わさってひとつの舌状花を作っていることを確認しました。これは複雑な構造でかなり難しいのですが、その難しさこそがキク科という巨大な引き出しの特色でもあります。
最後に、植物の分類の引き出しにキノコが入っていないことについてお話しました。植物でも動物でもない菌類、それがキノコの位置づけです。

短い時間でしたが、すばらしい好天に恵まれてみっちりと植物観察ができました。
(生物担当学芸員 秋山)

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