咲かなくても華がある

北八ヶ岳の写真、もう少しアップしますがおつきあいください。
今回は、花のない植物「のようなもの」の写真です。最初に宣言してしまいますが、今回アップするイキモノの名前は何一つわかりません!
おっと、まずは正真正銘の植物である蘚苔類から、苔類です。薄暗い針葉樹の森の、しかも濃霧の中で輝いていました。

北八ヶ岳は「苔むす森」に覆われた山域として知られています。蘚苔類の研究者にも注目されるコケ類観察のメッカです。蘚類だらけ、と言えるくらい、倒木や岩の上にびっしりと蘚類が張り付き、ふっかふかの林床を形成しています。この林床こそ、北八ヶ岳の典型です。

蘚類の胞子がつまっている「サク」がぴょこぴょことつきだしてとてもかわいい!

そして、生物を扱う者にとって分類上の難物、地衣類です。植物でも菌類でもなく、菌類と藻類の共生体です。アカミゴケのなかまでしょうか。カップのようなものがにょきにょき。

カップ状に突き出した部分はよく似ているけど、同じものなのか、違うものなのかすらわかりません。きっと違うものなのでしょう。

岩についた派手な地衣類。誰かが描いたような模様を作っています。

こちらは天狗岳山頂近く。モノクロの地衣類が、なんだかブタさんに見えました。見えないかな・・。

同じく動物でも植物でもない、菌類。つまり、キノコです。蘚類とのベストマッチ!

もう、名前なんてどうでもいいやっ!って思ってしまうくらい、おもしろすぎる姿です。

こんなふうに、北八ヶ岳の森は天候に関係なくいろいろ楽しめます。一昨日のブログで霧の中の山歩きを「苦行」なんて書きましたが、実を言うと雨(一日目はちょっと強く降りすぎてつらかったですが)だろうと霧だろうと、こうした林床を眺めながら歩くのは楽しくてしかたありませんでした。
(生物担当学芸員 秋山)

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