玄関から20歩の自然 その29 セミの旅立ち

梅雨が明けて、近所のセミの声がだいぶ騒がしくなってきました。
通常、関東地方南部の平地なら、7月初旬のニイニイゼミに始まり、梅雨明け前後にアブラゼミ、ヒグラシ、ミンミンゼミ、そして8月に入ってツクツクボウシ・・といった順番で鳴き始めるのですが・・近年、セミの羽化の時期が変化してきているように感じられます。今年はニイニイゼミが遅く、アブラゼミとあまり変わらず、ヒグラシやミンミンゼミも同時くらいになりました。なぜそうなっているのか、もっと時間をかけて見ていかないとわかりません。全国的に記録をしっかりとっておくことが重要ですね。
さて、8月2日の夕方、博物館の駐車場の地面を歩くアブラゼミの幼虫を見つけました。

地面を歩くアブラゼミの幼虫

ヨイショヨイショと歩いて、サクラの幹の根元にたどり着くと、迷わず登り始めました。

サクラの木の幹を羽化場所に選んだようです

おそらくあと数時間も経たずに羽化を始めることでしょう。
抜け殻はこれからの季節、あちらこちらにくっついていますが、動いている幼虫を見つけるのはなかなか難しいものです。蚊の襲来を覚悟しつつ、夕方6時から7時の間くらいに、抜け殻の多い場所を探し回ると見つけられるでしょう。土の地面がある公園や緑道などでも見つけられます。羽化前の幼虫はとてもデリケートなので、決して触らないようにして、追い掛けてみて下さい。夜8時過ぎまでがんばって観察を続けると、羽化を観察できます。下の写真は昨年撮影したもので、アブラゼミの羽化の様子です。

重力を使って羽化します

全身が抜ける直前に頭を上げて、今度は翅(はね)を重力で伸ばします

緑がかった乳白色が神秘的です

セミの羽化は、身近な場所で観察できる生命の神秘です。近くの公園へライトを持ってぜひ出かけてみて下さい。

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