あるじはどなた?

先日、6月19日に行った野外調査の時、ちょっといい拾いものをしました。林道にごろんところがっていたのが、コレです。

明らかに鳥の巣なのですが、さてなんの巣でしょうか。一番外側はコケが巻き付けてあります。多くの鳥にとって、コケは非常に重要な巣材です。クッションにもなりますし、地上に営巣する場合は、素材どうし、あるいは基板の土と巣を接着する役割もあります。

内径が約8センチあるので、そこそこ大きな鳥のようです。産座はシュロ皮の繊維でかなり緻密に作られています。産座のようすや底部の形などから、木の根元の地上あたりに作られたものが、ヒナが巣立ってから崩れて落ちたように見えます。

環境や巣材、サイズ的にはガビチョウが候補に上がりますが、こればかりは確定できません。巣を見ながらアレコレ推察するのですが、これがまた楽しい時間なのです。

ところで、鳥の巣というと、「家」に相当するものととらえられがちなのですが、巣は家ではありません(この記事のタイトルからしてそんな雰囲気を漂わせていますが・・・)。ヒナを育てるためだけの場所ですから、たとえるなら、ベビーベッドといったところでしょうか。

(生物担当学芸員 秋山)

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