5月9日、緑区の陣馬山(標高855メートル)へ、相模原植物調査会のみなさんと当館生物系の学芸員2名で生物調査に行ってきました。生物系学芸員とは、このブログで署名を「生物担当学芸員」と「動物担当学芸員」としている2名です。コロナ禍を挟み、調査会ではしばらく市内の山域の調査のブランクが空いてしまっているため、今年度から少しずつ登って調査する予定です。また、「動物担当学芸員」はまだ着任2年目で、市内の山へあまり登ったことがないため、現地視察の目的もありました。沢井の登山口から一ノ尾尾根を登り、栃谷へ下りるコースを歩きました。
当日のお天気は曇りで下り坂というものでしたが、かえって暑すぎず、とても歩きやすい天候でした。早春から初夏へと移り変わる端境(はざかい)期でしたが、たくさんの花を観察することができました。まずは、オカタツナミソウです。爽やかな青色が美しい花です。

オカタツナミソウ
ツクバネウツギは花盛りでした。

ツクバネウツギ
チゴユリは山頂に近づくにつれてきれいに咲く株が多く見られました。低い場所はすでに花期が終わろうとしているようです。

チゴユリ
ヤマツツジも林内でよく目立っていました。

ヤマツツジ
こちらはイカリソウです。登山道沿いのあちらこちらで咲いていました。特に下りのルートで多く見られました。写真の花は赤味が少なく、白っぽい花でした。

イカリソウ
今回の調査では、外来種の状況も確認しました。こちらは下りのスギ植林地内にはびこっていたオニマタタビです。

オニマタタビ
種名にピンとこないかもしれませんが、この植物の果実であるキーウィフルーツならご存知の方も多いでしょう。おそらく、山麓の栽培地でハクビシンなどの哺乳類が食べて、種子が周辺へ散布されているようです。
こちらは登山口周辺の石垣に茂っていたペラペラヨメナです。白い花ですが、時間が経つとピンク色に変化することから園芸種として持ち込まれ、野外で広がっています。

ペラペラヨメナ
じつは、山頂で興味深いタンポポの分布の様子を確認したのですが、それはまた次回、お伝えしたいと思います。
(生物担当学芸員)