バードウイーク

5月10日から、愛鳥週間(バードウイーク)が始まりました。
バードウイークは、1947年に米国の鳥類学者、オリバーL・オースチンの提唱により4月10日をバードデイと定めたのが始まりです。しかし、4月初旬ではまだ積雪の残る地方があることから、その後ひと月遅らせて5月10日に、さらに1950年からは5月10日~16日をバードウイークとし、様々な普及啓発活動が行われてきました。
さて、そんな5月初旬、中央区のある公園近くで、小型のタカの仲間であるツミの鳴き声が聞こえてきました。車の通りも激しい市街地なのに、タカがいる・・。そう、ツミは2000年代に入るころから都市の緑地などへ繁殖分布を広げた、いわゆる「都市鳥」なのです。

ツミ(メス) 国内では一番小さなタカ

近年のツミの営巣場所を見ていると、あえて人通りのある通路の真上や、建物に近い樹木の中などに巣を作っています。これは、ツバメと同様に、人の存在によってカラスなどの天敵から巣を守る効果を狙っているようです。さらに、ツミの存在をあてにして営巣する鳥もいます。オナガです。

ツミのそばに“お約束どおり”にいたオナガ

ツミの巣の周りでオナガが営巣するのも、今や定番です。オナガはツミの狩りの対象となりうる体のサイズですが、それ以上に、巣の卵やヒナを狙うカラスの方が脅威のようです。ツミは巣の近くに来たカラスを追い払うので、その防衛力に期待しているのでしょう。「虎の威を借る狐」ならぬ「ツミの威を借るオナガ」です。
そして、博物館お隣の樹林ではキビタキがさえずりを聞かせてくれています。

キビタキ

キビタキも、2000年代に入ってから、都市の緑地の樹木が高木化、古木化したことに伴って繁殖分布を広げてきました。野鳥たちの暮らしぶりも、刻々と変化を続けています。バードウイークは、そんな野鳥たちを改めて見つめ直すきっかけになるとよいですね。
(生物担当学芸員)

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