津久井地域では、かつて村芝居(芝居を生業として行うのではなく、地域の住民が自ら演じるもの)がさかんでした。特に昭和40年に終了した旧藤野町牧野の篠原歌舞伎が有名です。
しかし、各地の村芝居は次第に消滅していき、現在ではほとんど見られなくなっています。
その中で現在でも残されているものに、緑区の三ケ木青年会による村芝居があります。
これは、毎年4月29日に、「津久井中央地区春祭り敬老会」の演目の一つとして行われているものです。
大正期からはじまったと伝えられ、当初は三ケ木神社祭礼での奉納芝居として行われていました。

会場の三ケ木クラブ入口。のぼりには役者名が書かれています。

こちらの看板には、役と役者名が書かれています。役者名は各自で決めますが、例えば、栓太郎さんは水道屋さんで長男、畳治郎さんは畳屋さんで次男、など地域の人なら誰だか分かるようになっています。
現在では、脚本、演出、振り付け、小道具、衣装、音響など、すべて自分たちで作っています。
演目は毎回書き下ろされ、今年は「道志川犯科帳」が上演されました。オレオレ詐欺をテーマにした内容です。

公演の様子
オレオレ詐欺の注意喚起をされつつ、招待された地域の高齢者の方々は大笑いしながら、村芝居を楽しまれていました。
(民俗担当学芸員)