仮はく製づくり

今日は朝からバックヤードの洗浄乾燥室という部屋で、なにやら怪しげな集団が頭をつきあわせて鳥や獣の遺体を切り刻んでいます・・。

というのは言い方がよくありませんね。じつはこれ、資料保存のための大切な仕事の一つです。博物館では事故などで拾われた鳥獣の遺体が、冷凍庫に収められています。あるものは展示に使用するため、業者さんへお願いして本はく製にするのですが、ほとんどは仮はく製という処理をして、収蔵庫へ収めます。今日はその作業を洗浄乾燥室で行っていたというわけです。

経験豊富な市民の方に作業していただいたのですが、せっかくの作業なので、試験休み中の近所の生きもの好き高校生が見学に来ました。

これは、アカネズミのフラットスキンという標本形態です。採集データや計測値がしっかりと残されていれば、こうした形は収蔵スペースもとらず、学術的価値も非常に高い標本となります。

午後からは、光明学園相模原高校理科研究部の顧問の先生も来られて、一緒に実習です。高校生たちも、先生とは学校が違いますが、同じ生きもの好き同士、消化管内容物などを出して興味深そうにあれやこれやと議論しながら観察しました。

はっきり言って、地味な汚れ仕事ですが、こうした作業の積み重ねが、地域の動物相を後生に残していくための重要なステップとなります。技術を若い人たちに継承しつつ、地道に作業を続けていきたいと思っています。

(生物担当学芸員 秋山)

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