ハシブトガラスがくわえているのは・・

ハシブトガラスの若鳥が、博物館周辺でうろちょろしています。
「うろちょろ」とはちょっとばかにしたような言い方ですが、まだあまり食物探しが上手ではないため、兄弟たちとああでもない、こうでもないと、食べ物を探し回っている様子はまさに、「うろちょろ」なのです。そんな若いカラスが、何かをくわえていました。

ハシブトガラスの若鳥

何をくわえているのかと、撮影した写真を拡大してみると・・

クチバシの先に光り輝くものが・・

タマムシでした。
タマムシはそれほど珍しい昆虫ではありませんが、全身虹色メタリックな姿は何度見てもほれぼれします。ちょうど今ごろの季節が発生時期なので、羽化したとたん、若いカラスに見つかってしまったのでしょう。今年の初タマムシがこんな姿でちょっと残念だったので、以前撮影したタマムシの写真をあげておきます。

タマムシ 以前撮影したもの

次は元気な姿で見たいものです。
(生物担当学芸員)

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カイコ日記(7/2)繭の乾燥を進めています

7月2日、先週までにすべてのカイコが繭を作りました。飼育展示も、できあがった繭の展示に移行しています。

蔟ごと展示しています

繭は順次、熱乾燥機にかけて乾燥しています。今、展示している繭も乾燥済、つまり、中の蛹は死んでしまっています。しかし、完全に乾燥させると、繭はこの状態でずっと保存しておくことができます。
この蔟(まぶし)では、一つだけ玉繭ができていました。

右上の繭が玉繭 ほかより少し大きくて、形がいびつなので見分けられます

玉繭とは、2頭のカイコが一つの繭を作ったもので、たくさん育てていると、けっこうな頻度で生じます。玉繭は形が不定形なだけでなく、中で繊維が絡み合っているため、糸取りで他の繭と一緒に扱えません。そこで、お湯の中でゆっくりと手でほぐして平らに延ばします。それを乾燥し、重ねたものが真綿(まわた)です。

通常の繭(左)と玉繭(右2つ)

真綿は言わずと知れた、高級寝具(今は高級座布団?)の中身です。こんなに手がかかるなら、高級品になるわけですね。
さて、飼育展示と銘打ちながら、生きたものを展示できていないので、クワコを透明のケースに入れて展示しています。

クワコ 野外で見つけて撮影したもの

今年は給桑中にクワコやクワエダシャクが目につきました。特にクワコはカイコと祖先を同じくする野生の蛾なので、カイコと同じところ、違うところを見出していただければと思います。
来週末くらいには、一部、乾燥させずに残してある繭から羽化した成虫が出てきます。そちらも展示しようと考えています。
(生物担当学芸員)

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ビーバースカウトの皆さんと自然観察

6月29日、ビーバースカウト(ボーイスカウトの最年少組)の皆さんと生きものの観察を行いました。
博物館と周辺の樹林地を舞台に、1時間半にわたり、昆虫を中心としたいろいろな生き物を観察しました。

観察瓶に虫を入れてじっくり…

30度を超える暑さの中でしたが、様々な昆虫を見ることができ、充実した時間となったと思います。
まずは、博物館の駐車場のクワにいたクワコの幼虫。

クワコの幼虫

お次は、オオヒラタシデムシという昆虫です。

オオヒラタシデムシ。背中の赤いものがダニ。

ルーペで観察すると…「小さな虫がいる!」と声が上がりました。
よく見ると、背中に赤いダニがついていました!このダニは人に危害を与えるものであはありません。ビーバースカウトの皆さんの観察眼に脱帽です。

観察会のプログラムを終えてひとりで博物館へ戻る道すがら、ふとアケビをみると、アケビコノハという蛾の幼虫がいました。

アケビコノハの幼虫

アケビコノハの幼虫については、過去のブログでも紹介しています。
かっこいいイモムシなので嬉しい出会いでしたが、観察会本番で皆さんと観察できればもっとよかったのに…と、少し残念な気持ちにもなりました。
(動物担当学芸員)

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イモムシの季節

夏本番の到来を前に、博物館のまわりではたくさんのチョウやガの幼虫が見られるようになってきました。
今年のブログでまだ紹介していないイモムシたちをここで紹介します。

まずは、ダイミョウセセリというチョウの幼虫です。
このチョウの幼虫はヤマノイモなどの植物にいて、葉を折りたたんで巣をつくることで有名です。

ダイミョウセセリの幼虫の巣

ちょっとかわいそうですが、巣をめくると…

巣の中の幼虫

白い幼虫が現れました。

続いて、エノキの樹には、毒を持つガであるイラガのなかまの幼虫がいました。

クロシタアオイラガ?の幼虫

全身がトゲトゲしていて、いかにも刺されたら痛そうです。
同じ樹には、かわいらしい幼虫もいました。

アカボシゴマダラ

アカボシゴマダラの幼虫です。

アカボシゴマダラの顔

中国大陸原産の特定外来生物なので困った存在なのですが、ぷっくりとした緑の幼虫で、2本のツノと黒い目がかわいい顔をしています。
(動物担当学芸員)

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開館30周年のウィンドウフラッグができました!

今年は当館が開館してから30周年ということで、いろいろな記念企画が進行中です。
以前、ロゴマークのぼり、スタンプについて紹介をしましたが、このたび、新たに「ウィンドウフラッグ」が完成しました!

ウィンドウフラッグお披露目!

30周年のロゴに、キャッチコピー「30年の歩みを未来へ」が入ったデザインです。

中庭のガラスに設置しました

エントランス周辺で20本のフラッグが来館者の皆様をお迎えします。
来月に迫ったプラネタリウムリニューアルオープンに向けて装いもさらに華やかに、皆様のご来館をお待ちしています。
(動物担当学芸員)

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アステロイドデースペシャルトーク2025 開催しました!

6月28日、「地球衝突が指摘された小惑星、2024 YR4とアポフィスにフォーカス!」をテーマにアステロイドデースペシャルトーク2025を開催しました。昨年、小惑星2024 YR4が発見され、観測が進むにつれて地球衝突確率が徐々に上がっていったことから世界的に大きな話題になってきました。
結果的に現在は衝突の可能性はほぼなくなりましたが、改めてプラネタリーディフェンスが注目されている中開催された今回のスペシャルトーク、たくさんの方が来場されました。

多くの方が会場に集まりました

来場者へ配布された、JAXAプラネタリーディフェンスチームのロゴが印刷されたポストカード

JAXAのプラネタリーディフェンスチームをまとめる吉川真さんを筆頭に、最前線で活躍される8名の研究者が登壇されました。

登壇者のみなさん(一部)

はやぶさ2の拡張ミッションを統括する津田雄一さんからは、現在宇宙空間を飛行中のはやぶさ2の軌道を変更し、2024 YR4へ向かわせる計画が検討されたという驚きの事実が語られました。

講演する津田雄一さん

研究者間のメールのやりとりが生々しく、さらには、はやぶさ2を2024 YR4へ衝突させるとどの程度軌道を変えられるかといった検討も進んでいたことに、会場のみなさんが息をのむ様子が伝わってきました。
今回は宮城県と兵庫県にサテライト会場が設けられ、さらにオンライン中継もありました。それぞれの会場からの質問も含めて活発な質疑応答が行われ、注目の高さがうかがえました。当日の様子はYouTubeにアーカイブされていますので、こちらからご覧ください。

会場での質疑応答

サテライト会場からも質問

小惑星衝突の可能性は今後も観測が進むにつれて繰り返されていきます。登壇されたみなさんが口をそろえておっしゃっていたのは、早期の発見が地球防衛の上で一番重要であることでした。そして、今回のようなイベントを通じて、プラネタリーディフェンスへの理解を進めることも大切です。6月30日はアステロイドデーです。世界のみなさんと、改めてプラネタリーディフェンスについて考えたいですね。

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小惑星の地球衝突、気になりませんか? アステロイドデースペシャルトーク2025、本日開催!!

いよいよ本日(6月28日)、午後1寺30分からアステロイドデースペシャルトーク2025を開催します!
会場の大会議室入口では、あのカッコイイ、プロモーション画像がお出迎えします。

本日の会場入口(開場は午後1時を予定しています)

今回のテーマは、「地球衝突が指摘された小惑星、2024 YR4とアポフィスにフォーカス!」。6月30日のアステロイドデーに向けて、地球を守るための様々な取り組みや観測の様子などについて、最新情報を、最前線の研究者のみなさんから直接聴くことができます。本日はYouTubeによるライブ中継もあります。すでに、星空公団さんが仕込み中です。

中継の仕込中の星空公団さん

でも、やっぱりこの豪華な登壇者のみなさんのお話を、会場で聴くのがイチバンです。今日は猛暑予報となり、すでに気温がぐんぐん上昇しています。涼しい相模原市立博物館の会場でプラネタリーディフェンシブな午後を過ごしませんか?
お待ちしております!

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カイコ日記(6/26)繭の展示を始めました!

昨日に引き続き、今日も続々とカイコを蔟(まぶし)へ移しています。
今日は開館日なので、その一部をエントランスで展示しています。
蔟の一部屋一部屋にそれぞれ1匹づつのカイコが入り、繭を作っていく様子を観察できます。

繭の展示の様子

今展示しているのは、昨日の夕方に蔟に移したカイコたちです。
蔟に移してから繭をつくりはじめるまでの時間はまちまちなので、まだ繭を作り始めたばかりでカイコの姿がよく見えるものから、外側がほとんど完成し、ほとんど真っ白なものまで、いろいろな状態の繭を見ることができます。

繭づくりの進捗はまちまちです

カイコは2日かけて繭を作るので、今展示しているカイコは、明日には繭を完成させる見込みです。
展示するカイコを入れ替えつつ、今週末くらいまでは繭づくりの様子をご覧いただけると思います。
(動物担当学芸員)

 

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カイコ日記(6/25)繭を作ってます!

【メンテナンス休館のお知らせ】
6月25日は、展示室の清掃及び設備メンテナンスのための休館となります。ご不便をおかけいたします。

給桑開始から26日目、前日から続々と蔟(まぶし)へ移しているカイコは、順調に繭を作っています。

蔟の中に移したカイコと、すでに繭を作っている最中のカイコ

蔟内でまず足場となる糸を四方に(正確には六方?)張り、その後繭本体を作り始めると、半日でうっすら形が見えてきます。上の写真の右上が昨晩から作り始めた繭の、朝の様子です。上左を拡大したのが下の写真です。こちらはおそらく、真夜中か今朝早朝から作り始めたものでしょう。

おそらく真夜中か早朝から作り始めた繭

作り始めから丸1日で真っ白な繭ができますが、まだあと1日かけて、内部を固めていきます。
飼育容器ではまだ食べているカイコもいますが、クワの葉の間で作り始めようとする熟蚕のカイコも・・

葉の間に足場を作り始めたカイコ

見つけたら即座に蔟へ移します。
今日はそんなことを数十分おきに繰り返すことになりそうです。
(生物担当学芸員)

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カイコ日記(6/24)熟蚕になりました!

【メンテナンス休館のお知らせ】
6月24 日、25日は、展示室の清掃及び設備メンテナンスのための休館となります。ご不便をおかけいたします。

この時期に育てるカイコの平均的な幼虫期間の日数は25日です。給桑開始から25日目。まさしくその日に早いカイコが熟蚕(じゅくさん:繭を作り始めるカイコ)になりました。熟蚕のしるしは、飼育容器の端へ行って反り返った姿勢で静止しているか、頭を振っている状態です。

容器の端で頭を持ち上げて反り返る熟蚕のカイコ

熟蚕は、上へ上へと登ろうとします。そのため、熟蚕になると容器の縁を歩いていることもよくあります。クワの葉を食べている最中にはそうした行動はしません。容器の角などにうまく収まってしまうと、まわりに糸を付けて、繭の足場を作ります。

すでに糸を吐いて足場を作っています

こんなところで繭を作られては困るので、こうしたカイコを見つけ次第、蔟(まぶし)へ移します。熟蚕の特徴はもう一つ、それまでプリプリに大きくなっていた白いカイコが、少し黄色っぽくなってやや縮みます。触り心地もプヨプヨになります。

熟蚕のカイコ(下)と、熟蚕前で最大になったカイコ(上)

それでもまだモリモリ食べ続けているカイコもいます。その様子と、熟蚕のカイコの様子を6月24日、動画に撮影したのでご覧ください。

今食べ続けているカイコの多くも、明日までにはほとんどが熟蚕になって繭を作り出します。その見極めを見逃すわけにはいかないため目が離せず、なかなか忙しいタイミングです。
26日から通常開館になるので、その時には繭を作る様子をお見せできると思います。ご来館の際にはエントランスの飼育展示コーナーへぜひお立ち寄りください。
(生物担当学芸員)

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