高校生とホタル観察会

5月28日、市内の県立上溝南高校のホタル観察会のお手伝いに行ってきました。前日の大雨から一転、穏やかな初夏のお天気となったこの日、日没後には西の空に夕焼けが広がりました。

観察前の夕焼け空

あたりがだいぶ暗くなってきた頃、50名近い高校生たちが中央区のゲンジボタル生息地へ到着(ストロボが邪魔になるため、全体の写真は撮影していません)。生息地の環境や、この場所のゲンジボタルが100パーセント天然のものであることなどを説明した後、それぞれにカウンターを持ってもらい出発です。点滅するゲンジボタルの数を数えながら歩きます。サクラの満開から2か月後あたりがゲンジボタルのピークになります。ちょうど今年は今ごろがその季節。歩き始めてすぐにゲンジボタルを見つけられました

光るゲンジボタル

場所によってゲンジボタルの多いところと少ないところがあり、そんな環境の様子も見ながら歩いてもらいました。

ゲンジボタル

ゲンジボタルだけではなく、カエルも豊富なこの場所。カエルの大合唱の音量の大きさにみなさん驚いた様子。こんなふうに、アマガエルが鳴のう(のど袋)を膨らませて鳴いているのを初めて見た!と感激している生徒もいました。

アマガエル

それぞれのカウント結果は、後でしっかり集計していただくことにしていますが、だいたい往路で60~70、復路で80~100くらいを数えました。風もあったせいか少し少なめでした。ピークはまだもう少し先になるかもしれません。
この日の体験から、高校生たちがゲンジボタルをとおして身近な環境について考えるきっかけになればよいなと思いました。

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初夏の山に咲くトウゴクシソバタツナミ

5月28日、市内緑区の林道に入り、この時期に咲くちょっと珍しい花の開花状況を調査しました。少し薄暗い林内で、小さいながらもスッと立ち上がる花弁が美しいトウゴクシソバタツナミです。

トウゴクシソバタツナミ

県内ではこれまで、丹沢山地の限られた場所に確認されていただけでしたが、今回は丹沢から少し外れた場所の新産地ということになりました。

実は、この美しい花よりも茎の毛に特徴があります

それにしても、前日の大雨からお天気は回復したものの地面は湿っており、ヤマビル天国(私たちには地獄?)になっていました。

湿った地面で元気いっぱいのヤマビル

長靴にヤマビル忌避剤をこれでもかと噴霧してなんとかしのぎましたが、それでもズボンや首筋まで登ってくるものもいたりして、なかなかシビアな状況でした。
これからの梅雨の季節、山に入るときにはヤマビル忌避剤が手放せません。

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シリーズ「相模原ふるさといろはかるた」でみる名所紹介36 ㋐ばんばあ石

雨乞いの 願をかけた ばんばあ石

中央区・田名八幡宮境内の奥には天地大明神がまつられ、絵札に描かれたようにそのかたわらに「ばんばあ石」と「じんじい石」など三つの石が立っています。これらの石は、日照りが続いた際に相模川に沈めると、必ず雨が降るとする雨乞いの石で、その言われは『相模原市史民俗編』など多くの本に紹介されています。

 

市域は畑作を主とした農業を営んできた地域として、例えば夏場に雨が降らないと陸稲(おかぼ)に大きな影響が出るため雨乞いが行われました。そして、雨乞いの方法は田名のばんばあ石などのほかにも、例えば相州大山(そうしゅうおおやま)は、市内で広く雨乞いの山と考えられてきました。

大山は、標高約1250mと決して高い山でないものの、各地からそのきれいな山の姿を望むことができ、古くからいろいろな信仰を集めた霊山(れいざん)でした。次の写真は、博物館屋上の観測テラスから見た大山です。

大山への雨乞いは大山阿夫利(あふり)神社にお参りし、中腹にある二重滝から水を貰ってきて、その水を地元の神社に撒くなどしました。

 

また、市外の八王子市寺田町の榛名(はるな)神社や高尾山へ水を貰いに行くこともありましたが、地元では、緑区大島の諏訪明神にある雨乞い様の祠(ほこら)のほか、緑区川尻の金刀比羅宮(ことひらぐう)境内の池の水をかき回し、池ざらいをすれば雨が降ると言われました。

さらに、緑区・日連(ひづれ)神社にも雨乞い池があり、干ばつの時に清掃して雨を祈れば必ず降ると伝えられています。

 

このほかにも、石仏の地蔵やお寺の釣鐘を川に沈めるなど、雨乞いには各地にさまざまな方法があったことが報告されています。かるたに取り上げられている一つ一つの事柄はもちろん、そこから広げて、地域のさまざまな歴史や文化・自然に関心を持つきっかけにしていただければと願っています。

・このかるたは、当館のボランティア市民学芸員が2017年に制作したものです。
・貸出しの詳細やその他このかるたに関心のある方は、博物館までお問い合わせください。(042-750-8030)
*貸出し使用時には感染症予防のため、事前・事後の手洗い・消毒などを必ず行ってください。

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シリーズ「相模原ふるさといろはかるた」でみる名所紹介㉟でいらぼっち

でいらぼっちの足跡が 鹿沼の池になり (でいらぼっちのあしあとが かぬまのいけになり)

「デイラボッチ」は巨人の「ダイダラボッチ」のことです。
ダイダラボッチの伝説は、関東・中部地方を中心に、東北から四国まで広く分布します。
そのため、呼び方も地方ごとにたくさんあります。

ダイダラボッチで、もっとも有名なもののひとつは、ダイダラボッチが近江の国(現在の滋賀県)の土を運んで富士山を作り、土を運んだ跡が琵琶湖になった、という伝説です。
この巨人伝説は、山、池、沼など人々の生活の舞台となる土地の形成を説くものとされています。

相模原市内には、この巨人伝説に関連する場所がいくつもあります。
JR横浜線の淵野辺駅近くにある鹿沼公園の池に伝わる、デイラボッチの伝説はおおよそ次のようなものです。

鹿沼公園内にある説明看板

昔、デイラボッチという巨人が、富士山を背負って相模野にやってきた。あまりに重いので、大山に腰をおろして一休みしたところ、その間に富士山に根が生えてしまい、持ち上がらなくなってしまった。
仕方なく、デイラボッチは諦めて、そのまま立ち去った。
立ち上がろうとしたときに、力足を踏んでめり込んだ跡が「鹿沼」といわれ、また、口惜しがって地団駄(じだんだ)を踏んだので「じんだら沼」とも呼ばれた。

この「鹿沼」は、現在では鹿沼公園の「白鳥池」にその名残をみることができます。

鹿沼公園は鹿沼を埋め立てて設けられた公園です。
沼は埋め立てられてしまいましたが、鹿沼公園の中心部には池がつくられました。
この池は、今では「でいらぼっち伝説伝承地」として、市登録史跡となっています。

また「じんだら沼」は、近くの県道57号線に立てられた看板がその名残を伝えています。

このようにデイラボッチの足跡とされていた沼や窪地は、市内に何か所もあり、地名や標柱などがいくつか残っています。
ただ、多くは土地開発などによって、景観が大きく変わり、場所も特定できなくなっています。
そうした中で、鹿沼公園の白鳥池は、その名残を残す貴重な場所です。
博物館から徒歩15分ほどの場所ですので、博物館と一緒にぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

・このかるたは、当館のボランティア市民学芸員が2017年に制作したものです。
・貸出しの詳細やその他このかるたに関心のある方は、博物館までお問い合わせください。(042-750-8030)
*貸出し使用時には感染症予防のため、事前・事後の手洗い・手指の消毒などを必ず行ってください。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No59・復元された開拓農家)

前回に取り上げた、自然・歴史展示室の物置と並ぶように展示されているのが復元された開拓農家です。相模原地域では、江戸時代に各地で大規模な新田開発が行われ、この建物は中央区清新地区での「清兵衛新田(せいべえしんでん)」の開拓に伴い、農民の住宅として使われていました。

 

建物の大きさは三間(約5.4m)×二.五間(約4.5m)、内部は間仕切りもない一つの部屋で、さらに小さな明かり窓が一つだけの質素な作りです。開拓当時の人々の生活や苦労を伝えるものとして、博物館の展示内容が検討された一番最初の時から展示することが計画されていました。

次の写真はなかの様子で、囲炉裏(いろり)などが見えています。

 

また、建物の中だけでなく、是非、屋根も注目してください。屋根の上に花が咲いているのが見えます。これは自然に生えたのではなく、イチハツ(アヤメ科の植物。ほかに市内では、イワマツやカラショウギなどと呼ばれる植物を植えるとも言います)などを棟(むね)に植え、雨がしみ込まず、根を張らせて棟を崩れにくくするものです。

 

実はこの建物自体は、博物館の平成7年(1995)の開館時には大谷家の物置として現地に残っていました(現在はありません)。展示に際しては改造されていたため、調査をしていただいた専門家の指導のもとに開拓当時の姿に戻して復元しています。

次の写真は、昭和60年(1985)12月14日撮影で、上が正面、下が裏側です。また、三枚目の写真は、明かり窓付近を内側から写したもので、かつて使われていたいろいろな道具類が置かれているのが分かります。

さらに、この職員ブログNo.26「お月見」で、十五夜に供えたカヤ(ススキやオギ)を泥棒よけになるとして、翌日に家の入口や屋根に放り上げることを紹介したように、ここでもススキが置かれていて、物置ばかりでなく年中行事の場としても使われていました。

前回の物置とは違い、復元された開拓農家ですが、特に台地上に位置する相模原地域の開発の歴史を伝える重要な資料としてご覧いただければと思います。

なお、開拓農家の向かい側には、中央区上溝地区の清水家模型もありますので、お見逃しなく。

 

※現在、「大谷家旧主屋(清兵衛新田開拓農家)」(相模原市指定有形文化財[建造     物])は解体され、部材は教育委員会が保管しています。

建物や新田開発についての解説は、『相模原市立博物館常設展示解説書』をご覧ください。解説書は、博物館二階の市民研究室で閲覧できます。

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命のドラマを見つめる子どもたち

5月25日、博物館から一番近い保育園である大野村いつきの保育園の年長さんが、お散歩に来ていました。この保育園は昨年、「カイコ」や「はやぶさ2」をとおした交流を行っていて、今年もクワの木に興味深々の様子です。カイコの飼育は来月から始まるため、カイコの代わりに今日は一緒にクワコを観察することにしました。

クワコ見つけた!

大きくなったクワコが、クワの枝に擬態しているのを見た園児たちが、地面に腹ばいになって擬態の真似をしてくれています。

枝に擬態したクワコを真似する子どもたち

そんなことをして楽しんでいたのですが、ここでとんでもない事件が起きました。
どこからともなくアシナガバチが飛んできて、いきなりクワコを捕まえてしまったのです。あっという間に噛みちぎられ、肉団子にされていくクワコ。

今、観察していたクワコがアシナガバチに噛みちぎられています

子どもたちにはちょっと刺激が強いかなと心配したのですが、引率の先生がすかさず「アシナガバチも生きていかなくちゃいけないし、きっと子育てしてるから悪いことしてるわけじゃないんだよ」とおっしゃり、それならばと、じっくり観察することにしました。数分で肉団子を持って飛び去り、その後を追う園児たち。

アシナガバチを追いかけたものの・・

もちろん追い付かないのですが、森の奥へ飛んで行ったのを見届けました。
アシナガバチは、運ぶのにちょうどよい大きさに切って肉団子にするのですが、その時、残りが枝から落ちました。アシナガバチが飛び去った後にその落とし物を探す園児たち。見つけた後はにおいをかいでみたりして、しっかり自然観察しています。

アシナガバチの食べ残し?を探していると・・

そしてしばらく見ていると、再びアシナガバチがやってきました。少し離れて観察していると、なんと先ほどクワコを狩った枝を探しています。残りがあることをわかっているのです。そして、しばらくして無いことがわかると、アシナガバチは真下を探し始めました。落ちた可能性も頭に入っているようです。なんという知能でしょうか。
園児たちも命のドラマを真剣に見ていて、さらに昆虫の能力の高さにも強烈な印象を持ったようでした。身近な自然にはまだまだいろいろな不思議があるのだと改めて気づかされました。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No58・展示室の物置)

博物館には、自然・歴史展示室と天文展示室の二つの常設展示があります。その自然・歴史展示室の真ん中あたりに物置が展示されています。物置は、開口部から中の様子を見ることができます。

 

昭和11年(1936)に作られたこの物置は、博物館が開館する平成7年(1995)まで南区下溝の座間家にあったものです。

写真は移築前の平成7年の物置で、最初が表側、二枚目が裏側です。展示室には裏側もそのまま再現して展示していますので、物置の横から裏側に回ってみてください。裏側に片付けられている丸太は、水田から刈り取った稲を掛けて干すために使われたものです。

物置の移築に当たっては、物置の柱や壁はもちろん。屋根や内部に納められていた道具類のほとんどすべてを寄贈していただきました。そのため基礎のコンクリート部分を除き、基本的には移築直前の姿をとどめています。

最初の写真は、物置向かって右側の移築前、次の写真は博物館での現在の様子です。ゴミなどは片付けていますが、内部も移築前の様子を再現しています。

また、移築前の物置内部に道具類が置かれていた状況をパネルで示しています。実は、展示作業の中でも道具を元にあった場所に戻していくのはかなり大変で、展示室全体でももっとも時間がかかった作業の一つでした。

 

この物置は、かつての農業による生活ではさまざまな道具が必要だったことや、物置の中の道具が置かれている様子を見ることで、当家や地域の農業の移り変わりがどのようなものであったのかをうかがうことができます。

是非、実際に展示室でリアルな物置をご覧ください。

※現在、物置の内部に「堆肥(たいひ)づくりの道具」を展示していますが、これらは    移築前にあったものではありません。

物置についての詳しい解説は、『相模原市立博物館常設展示解説書』をご覧ください。

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キビタキとガビチョウ

5月も下旬に入りました。今年も博物館お隣の樹林地では、キビタキが毎日さえずっています。キビタキの英名はNarcissus Flycatcher(水仙の色のヒタキ)です。オスは喉からお腹にかけて、朱色から黄色への見事なグラデーションの色どりです。

キビタキ(オス)

さえずりも美しく、木管楽器を思わせるような軽やかさで、様々なフレーズを聴かせてくれます。
ただ、今年はどちらかというとさえずりの声が静かです。昨年あたりはライバル同士のオスが鳴き交わしたりして、聴きごたえがありました。
一方、こちらは元気なガビチョウです。

ガビチョウ

特定外来生物に指定されている外来鳥です。1年中鳴いていますが、今年は特に複数の個体が縄張り争いをしているのか、博物館の裏手あたりでよく鳴いています。
在来種のキビタキをどうしても贔屓目(ひいきめ)に見てしまうため、ガビチョウがさえずっているとうるさく感じてしまいます。

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5月星空情報「皆既月食」

5月26日、全国で観察できる「月食(げっしょく)」が起こります。
月食とは、月が地球の影の中に入ることによって起こる現象で、必ず満月の日に起こります。地球の影には「本影(ほんえい)」と呼ばれる濃い影と、その周囲に広がる「半影(はんえい)」と呼ばれる薄い影があります。今回は、月全体が地球の本影の中に入る「皆既月食(かいきげっしょく)」となり、国内では3年ぶりのことです。
(※月の一部が地球の本影に入ると「部分月食」)

今回の皆既月食は、月が本影の中心から離れたところを通過していくため、皆既食の時間が短いことが特徴です。下の図を参考に、月食が何時頃、どちらの方位で見えるのか、予め確かめておきましょう。図の中の月の出の時刻は、東京での時刻です。相模原での月の出は、午後6時40分頃です。その他の月食が進行していく時刻は、全国各地で同じです。
(※月の出の時刻は観測地の標高により多少の違いがあります)

図:皆既月食中の月の位置
(国立天文台 天文情報センター)
※図はクリックで拡大します

皆既月食になっても、月は見えなくなるわけではありません。
地球の大気の層を通過した太陽光の赤い成分の光が、この層を通過する際に屈折して、本影の中にまわり込み、月面を照らします。そのため、皆既月食中の月は、「赤銅色(しゃくどういろ)」と呼ばれる赤黒い色に染まります。この色は毎回同じというわけではなく、月が本影の中のどこを通過するのか、また、地球の大気の状態などによって、明るく見えたり暗く見えたりします。

図:皆既食中の月が赤く見える理由
(国立天文台 天文情報センター)
※図はクリックで拡大します

下の写真は、相模原市内で撮影した2018年の皆既月食の様子です。

2018年1月31日 皆既月食の合成画像
(撮影:相模原市立博物館天文クラブ)

今回はどんな色の変化が見られるのでしょうか。
5月はまだ黄砂が飛来しますので、黄砂の量も月の色に影響を与えるかもしれません。
さらに、もう一つ楽しみがあります。この日は今年一番地球に近い満月、いわゆる「スーパームーン」の皆既月食なのです。これは絶対見逃せませんね。
空のあまり高くないところで起こりますので、周囲に高い建物がない開けた場所でご覧ください。むしろ、月が低いことを利用して、風景と共に写真を撮るのもよいかもしれません。ぜひ、本当の空で皆既月食を楽しんでみてください。

現在(5月30日まで)、当館プラネタリウムで午後2時30分から投影している「星空さんぽ」で、皆既月食について紹介しています。また、天文展示室入口にも皆既月食についての掲示がありますので、ぜひご覧になってください。

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青山学院大学の博物館実習を実施

5月15日午後、当館学芸員が非常勤講師を務める青山学院大学の学芸員資格取得コース「博物館実習」の講義を実施しました。大会議室に、掛物(かけもの=掛け軸)やはく製などの実物資料、梱包資材、演示具などを持ち込み、「資料の取り扱い」、「資料の梱包」、「資料の列品」の実技講習を行いました。
まずは、学芸員から梱包の作業方針や基本技術のレクチャーを受けます。

梱包作業のレクチャー

続いて、二人一組になって梱包作業に挑戦。家庭の食器などの梱包と、中身を保護するという点では同じです。しかし、博物館資料は幾重にも配慮するポイントがあり、一つ一つ確認しながら進めます。

始めての作業に戸惑いながらもがんばっています

こちらの作業では、掛物を実際に設置し、その後巻き取って撤収します。巻くときに巻きがずれていき、いわゆる「タケノコ巻き」になってしまわないようにするのが苦労のしどころです。肉筆の作品を扱うのが初めての学生がほとんどだったので、これもかなり緊張したようです。

本物の掛物を扱い、背中にも緊張が見えています

こちらは資料の固定です。演示台に、虫ピンやテグス、被覆チューブなどを使っての固定にチャレンジしてもらいました。

はく製を演示台に固定する作業

通常の講義は大学の教室で行いますが、今回は博物館の実際の資料や演示具を使用して実習を行いました。どの作業も資料を“守りながら”、“見せる”、“移動する”ことになり、その上で必要な作業方針やスキルをしっかり学んでもらいました。実習後のアンケートにも、本物の資料や演示具を使って作業体験できたことが印象的だった様子が多く綴られていていました。
今回は、学外の実習で、しかも通常の授業日ではないイレギュラーな日程だったにも関わらず、受講生全員が出席してくれました。真剣に、そして前向きに実習に取り組む学生たちの様子を見て、たくさんの資料や道具を準備した苦労が報われたと感じました。

 

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