鳥の正面顔

最近の野外調査で見かけた鳥たちの写真を見ていたら、いくつか真正面の顔のものがありました。鳥の顔は、真横から見ると丸いのですが、正面から見ると意外と縦長です。こちらはヤマガラの真横からの写真です。

ヤマガラ(横から)

正面から見るとこんな感じです。

ヤマガラ(正面)

こちらは、横から見るとモフモフ丸顔のエナガです。

エナガ(横から)

正面から見てもあまり変わらないですね。嘴(くちばし)も目も小さいからでしょうか。

エナガ(正面)

トモエガモは顔に複雑な模様があります。

トモエガモ(横から)

正面から見ると印象がまったく異なります。

トモエガモ(正面)

鳥の体は、空を飛ぶことを考えて全体的に流線形を基本としています。目が頭の側面についていることもあり、正面と横からでは印象が大きく異なります。動きが素早くて正面顔をじっくり見ることが少ないのですが、写真だとよくわかりますね。

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12月星空情報②

そろそろ今年も終わりですね。
新型コロナウイルスにより、あらゆることで変化を強いられた今年。

博物館では展示室やプラネタリウムの観覧が再開したものの、
星空観望会の中止によって、皆さんと一緒に
本物の星空を見上げる機会がなくなってしまい、寂しいです。

そんな中でも、火星の準大接近や
小惑星探査機「はやぶさ2」帰還カプセルの帰郷など、
天文・宇宙に関するニュースはいろいろありました。

「はやぶさ2」のカプセルがJAXA相模原キャンパスに帰郷
(撮影:当館プラネタリウム解説員)

 

皆さんはどんなことが印象に残っていますか?
私は、何といっても「はやぶさ2」の帰還です!
つい先週のことで、記憶に新しいせいもあると思いますが・・・。

 

そして、今年最後の注目の天文現象は、12月21日の日の入り直後。
西の低空で、木星と土星が非常に近づきます。

これは宇宙の中で実際に接近しているのではなく、
太陽系を真上から見ると地球と木星と土星がほぼ一直線上に並ぶため、
地球からは見かけ上、二つの惑星が近づいて見えるのです。
もしかしたら、肉眼では見分けられないほど近づいて見えるこの現象、
今回を見逃すと、次に同じくらいの接近が起こるのは約60年後となりますので、
ぜひ観察にチャレンジしてみてください。

また、この頃が今期の木星と土星の見納めです。
先日撮影した木星と土星がこちら。

富士山の稜線に沈む木星と土星
(撮影:2020/12/07 山中湖)

来年(2021年)の木星と土星は、8月から11月末にかけて
夜空(やぎ座の方向)で見頃です。

 

さて、あと2週間ほどで新しい年になります。
来年も、多くの天文現象がありますので、少しご紹介します。

中でもオススメの一つが、5月26日の皆既月食。
月の出とほぼ同時に始まるので、時間的に観察しやすいです。
風景と月を一緒に撮影することができるかもしれません。

こちらはかつて撮影した、「満月on the 富士山」

満月と富士山
(撮影:2020/11/30 朝霧高原付近)

こんな風な、いい感じのアングル、狙ってみませんか?

それから、8月12日から13日頃には
ペルセウス座流星群のピークがやってきます。
この時期は夜早い時間に月が沈むため、月明かりの影響も少なく、
多くの流れ星に期待大!です。

今年、そして来年も星空観望を楽しんでくださいね。
その際には、暖かくして、安全な場所で観察しましょう。

 

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今年もスタートしました!十二支ミニ展示「丑(うし)」

毎年ご好評いただいている十二支にちなんだミニ展示を、12月15日からスタートしました。場所は正面入り口入ってすぐです。

十二支ミニ展示「丑」

令和3年の干支「辛丑(かのと うし)」にちなみ、十二支の丑(牛)にまつわる市内のトピックをご紹介しています。
なんといっても主役はこちら、カモシカ(はく製)です。

カモシカのはく製

え?牛と関係あるの?と思われる方も多いと思います。じつは、カモシカはウシ科の哺乳類なのです。外見にも牛の仲間の特徴があるのですが、詳しくはぜひ展示をご覧ください。
また、夜空に浮かぶ冬の星座「おうし座」や、市内緑区にある牛鞍(うしくら)神社、牛頭(ぎゅうとう)観音も写真付きで紹介しています。

おうし座、牛鞍神社、牛頭観音の解説パネル

年賀状や新年のSNSのネタ写真としてもぜひ、お使いください!

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シリーズ「相模原ふるさといろはかるた」で見る名所案内 22 ㋶

ラブレター 藤野の山に 置き忘れ

JR中央線で、電車が藤野駅に近づくと、対岸の山の中腹に巨大なラブレターが現れます。

写真1 緑のラブレター

これは、造形作家の高橋政行さんが、平成元年(1989)に、「ふるさと芸術村構想」のもと、当時の藤野町の依頼で制作したものです。自然から人に向けた愛のメッセージという意味で、「緑のラブレター」と名付けられています。

縦17m、横26mの鉄のフレームにシートが張られている「封筒」ですが、たびたび修復を重ねています。

写真2 緑のラブレター

「ふるさと芸術村構想」は、昭和61年(1986)に神奈川県と藤野町が「いきいき未来相模川プラン」の一つとして立ち上げた事業です。これは、戦時中、藤野地域に疎開した画家藤田嗣治や、猪熊弦一郎、中西利雄など新制作派といわれる画家たちが多く集まり、相模湖を望む一大芸術都市を夢見ていたことを踏まえて、提唱されたものです。

写真3 芸術の道 射影子午線

芸術の道:写真のように、のどかな道沿いに点々と芸術作品が設置されています。

自然に抱かれた野外美術館としての「芸術の道」、芸術体験ができる滞在型施設として「藤野芸術の家」が整備されました。

写真4 藤野芸術の家

「ふるさと芸術村構想」を実現する手段として「ふるさと芸術村メッセージ事業」が、昭和63年(1988)から行われています。藤野村歌舞伎、写真展、陶器市、お散歩展、キッズシアターなどの各種事業が、藤野アートスフィアの通称で、現在も引き続き行われてきています。提唱から34年、藤野の芸術のまちづくりは、転入してきた多くの芸術家と地元の住民に支えられて、着実に進化しています。

写真5 アートスフィアの事業の一つ「藤野村歌舞伎」

コロナ禍の収束の見えない中ですが、天気の良い日に「芸術の道」を歩いてみるのも、良い気分転換になると思いますので、皆様も訪れてみてはいかがでしょうか。

写真6 芸術の道看板 案内看板もアートしています

藤野の観光に関する問い合わせ先:

一般社団法人 藤野観光協会 042-684-9503(平日のみ)

藤野観光案内所ふじのね 042-687-5581

*このかるたは当館のボランティア「市民学芸員」が2017年に制作したものです。
*このかるたは相模原市立博物館にて貸出し可能です(現在は当面の間、貸出しを休止しております)。
*貸出しの詳細やその他このかるたに関心のある方は、博物館までお問い合わせください(042-750-8030)
*貸出し使用時には感染症予防のため、事前・事後の手洗い・消毒などを必ず行ってください。

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市民学芸員かわら版「魅力あふれる津久井湖」を掲示中!

博物館の中に、市民学芸員によるかわら版が掲示されている場所があるのをご存じでしょうか。
場所は1階の自販機のあるコーナーです。
かわら版の内容は大体二ヶ月ごとに更新されています。

今回のテーマは「潤水都市さがみはらPart1 魅力あふれる津久井湖」です!
津久井湖や城山ダムだけではなく、周辺のおすすめスポットも紹介しています。

博物館へお越しの際は、ぜひこちらもご覧ください!

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No37・一つ目小僧がやってくる)

12月8日と年明けの2月8日はヨウカゾウといわれる日で、両日とも一つ目小僧が来る日とされていました。「悪いことをすると一つ目小僧に連れて行かれる」として、子ども心にも怖いものでした。
そのため一つ目小僧が来ないように、目が多い笊(ざる)や籠(かご)を玄関に吊るしたり、竿の先に掛けて立てたりしました。籠類を吊るすのは、目が多いため目が一つしかない一つ目小僧が驚いて逃げかえるためです。

写真は第9作目の文化財記録映画「続・相模原の年中行事」製作時に撮影したもので、芋を洗う時などに使うイモフリメカイを竹竿の先に掛けて立てています(平成元年[1989]12月・南区上鶴間本町)。

次の写真は緑区相原で、この家では玄関の脇に吊るしています。また、一つ目小僧が家の中に入らないように、いやな匂いのするグミの木を燃やすことがあり、写真はストーブで燃やしているところです。さらに、この日の夕飯にはケンチン汁を食べました(いずれも昭和63年[1988]2月)。

近年でもこうした行事を行う家があり、写真は平成24年(2012)12月・緑区根小屋での撮影です。イモフリメカイとフルイが吊るされており、フルイは近年のものですが目が多ければよいとして、この家では二つ吊るすそうです。

また、この日に下駄などの履物を外に出しっぱなしにしておくと、一つ目小僧に判を押されてしまい、それを履くと病気になるので必ず履物を家の中にしまいました。
師走に入り、ヨウカゾウも終わると正月は目の前です。次回からは正月の準備や正月行事の写真を紹介します。

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紅葉のラストスパート

小惑星探査機はやぶさ2が、地球への帰還のラストスパートにカプセルを切り離し、再突入を成功させました。回収も成功したとJAXAから発表があった12月6日午前、博物館前の通りは木々も紅葉のラストスパートを迎えています。

JAXAと博物館に挟まれた通りの紅葉

コナラ、クヌギ、ケヤキなどが黄色や赤茶色に染まっています。

クヌギとコナラはまぶしいほどの色合いです

見上げるばかりでなく、目線の高さにもこんなものがあります。枯れたつる植物が無造作に巻き付いているように見えますが・・

ただの枯草ではありません

よく目を凝らすと見えてくるのは、黄金色に光るヘクソカズラの果実です。

ヘクソカズラの果実

さらに、マユミも真っ赤な果実をつけています。

マユミの果実

はやぶさ2本体は次なる目的地へ向けて加速を始めているようですが、帰還カプセルは、間もなく相模原へやってきます。どんな試料を持ち帰ってきてくれているのか、今からワクワクしますね!

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企画展準備着々!

特別展示室は現在入口のシャッターが閉まっていますが・・・
中では次の企画展の準備が着々と進んでいて、活気があります。
準備しているのは今回も二本立ての企画展示で、12月5日(土)から始まる開館25周年記念企画「色々な石展」と、学習資料展「道具が変えるわたしのくらし~過去から未来へ向かう記憶~」です。展示室を二つに区切って開催します。こちらは、色々な石展。

国内外の色々な石がずらり

大小様々な色の岩石や鉱物が並べられています。石ってこんなにカラフルなんだ!と驚かされます。
若手の職員総出で運び込み、列品した大きな石も。

大きな石はやはり見ごたえがあります!

そして学習資料展は毎年恒例で、今回も市民学芸員のみなさんが企画から資料選定、列品まで準備してこられました。

懐かしい家電製品を列品する市民学芸員のみなさん

マネキンの扱いも手慣れたもの。

マネキンに割ぽう着を着せています

ジオラマはなんと市民学芸員のみなさんによる手作り!

台所のジオラマ

小中学校の学習に役立てていただくために、ちょっと昔のくらしの道具をたくさん並べています。
オープンの12月5日(土)までもう少しです。どうぞお楽しみに!

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12月星空情報①

12月に入り、コートやマフラーが手放せない時期になってきました。
今年の冬は例年と違い、マスクも常備する毎日になりそうです。
そして、その格好は冬の星空観察をする時の対策としても効果的ですので、
ぜひ風邪をひかないような暖かい服装でお楽しみください。
観察準備ができたら、いざ!星空観察です。

これからの時期は、冬の代表的な星座や天体を楽しむ絶好のチャンス。
まずはオリオン座を探してみましょう。
夜9時頃なら、東よりの低い空で輝いています。
赤い星ベテルギウスと青白い星リゲルを見つけて、その周りの星々を線で結ぶと
砂時計のような形ができます。それがオリオン座です。

オリオン座
(撮影:当館プラネタリウム解説員)

ベテルギウスとリゲルの間には三つの星が規則正しく並んでいますが、
それは「三ツ星」と呼ばれます★★★

オリオン座の三ツ星
(撮影:当館プラネタリウム解説員)

また地域によっては、この三ツ星のことを
お団子に見立てて「団子星」と呼ぶこともあります。

その三ツ星の南側には「オリオン大星雲」という、美しい天体があります。

オリオン大星雲
(撮影:相模原市立博物館天文クラブ)

ここは別名「星のゆりかご」と呼ばれ、中では今この瞬間にも
新しい星が次々と生まれている天体です。
街明かりの少ないところで肉眼や双眼鏡で眺めると
もやっとした雲のように見えます。満天の星の下へ行きましたら、
ぜひ、ご覧になってみてください。

また、望遠鏡でオリオン大星雲の中心部分を覗くと
「トラペジウム」と呼ばれる赤ちゃん星たちを見ることができます。

オリオン大星雲内のトラペジウム
(©NASA)

 

 

そして毎年12月の中旬は、「ふたご座流星群」が見頃を迎えます。
今年は12月14日の未明から夜明け前がピークです。

ふたご座流星群
(2015年撮影)

この日は月明かりがないため、沢山の流れ星が見られると期待されています。
流れ星は「ふたご座」の方向から四方八方に飛ぶため、空全体を眺めると
より沢山の流れ星が見える可能性があります。

図:ふたご座流星群の放射点
(12月14日午前0時 南東の空)

 

防寒マットなどを敷いて寝転んで観察するのも良いかもしれません。
車などに気を付けて、安全な場所で星空観察を楽しんでくださいね。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No36・炭焼き)

 前回に引き続き、昭和61年度文化財記録映画「相模原の炭焼き」制作の際の炭焼きの写真を紹介します(いずれも昭和61年[1986]12月~62年1月・南区東大沼撮影)。

 炭焼きには、カマヅメといって窯の中に槙(マキ)をつんできます。前回見たように、窯は地面より下にありますので、窯の中にもぐるように入って作業をします。写真では、少しわかりにくいのですが窯の中にいる人の足が見えています。

                                  

 槙は二段にぎっしり積み、上には木の枝の部分を伐ったナグリを差し込みます。

                                  

 そして、窯に火を付けますが、勢いよく煙が噴き出します。

                                  

 しばらくして煙が透き通ってくると、煙が出る穴に土を掛けてふさいで中の火を消してしまいます。早すぎると生焼けの炭になり、遅れると灰になる部分が多くなるためタイミングが難しく、勘によるところが大きいと言います。この時には夜になりました。

                                  

 そのまま2日ほどおいて炭を取り出します。やはり作業をする人は、もぐるように窯に入って炭出し籠に入れ、それを外で受け取っていきます。窯の中はまだ非常に熱く、薄着ではやけどをするので古い着物や被り物を充分着て備えます。

                                  

                                  

 取り出した炭は並べておき、俵に詰めて完成です。炭俵は四貫目(約15kg)ほどの重さでした。

                                  

                                  

 こうして文化財記録映画「相模原の炭焼き」では、地域の多くの皆様の協力をいただきながら、できるだけ昔の形で炭窯作りから炭焼きまで再現することができ、大変貴重な記録となっています。

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