企画展撤収完了

9月19日から開催してきた2本の企画展「無量光寺文書・山崎弁栄遺墨展」と「神奈川の植物、相模原の植物 植物誌から考える生物多様性」は、11月15日に無事に終了しました。
植物誌展には実習生の展示も設置されていて、生物実習生の有志も撤収作業に来てくれました。

実習生展示の撤収作業を行う実習生

企画展示の撤収は、あっという間です。あっけないようですが、それでよいのです。設営、製作作業と同じくらい手がかかっていたら、作るのも片付けるのもいやになってしまいます。アッサリと片付くのがむしろ気持ちよいのです。

きれいさっぱり片付いた特別展示室内

借用していた資料の返却も完了し、すでに特別展示室のケース内もがらんどうです。
今日(11月20日)からは、もう次の企画展「色々な石展」と学習資料展「道具が変えるわたしのくらし」(12月5日~令和3年1月31日)の設営作業が始まります。ご期待ください!

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No34・山仕事)

 麦の種蒔きやサツマイモの収穫などが終わると農閑期を迎え、作業の中心は山仕事になりました。一般的に、平地であっても林があるところをヤマという地域は多く、市域でも山仕事として平地林から落ち葉を集めたり、燃料とする木を伐ったりしました。

 落ち葉は燃料用の松の葉をはじめ、特に大量に作るサツマイモの苗床やさまざまな作物に肥料として用いる堆肥(たいひ)の材料になり、落ち葉を掻くことを「クズハキ」といいます。写真はヤマでクズハキの作業をして、集めた落ち葉を堆肥とするために積み込んでいるところです(昭和63年[1988]1月16日・中央区田名)。

 次の写真は、木を伐採し、マキにして荷車で運搬している様子です。この写真は、昭和61年度文化財記録映画「相模原の炭焼き」撮影の際の再現ですが、ガスなどの燃料が普及する以前には、冬場の大事な仕事としてこうした作業が行われていました(昭和61年[1984]12月16日・南区東大沼)。

 次回も引き続き文化財記録映画「相模原の炭焼き」の写真を紹介します。

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それはあなたです!

11月17日、市内緑区の林道を歩いていると、カーブミラーの上にジョウビタキがちょこんととまっていました。

カーブミラーにとまるジョウビタキのオス

するとおもむろに飛び立ち、鏡の前に飛んで鏡像と向き合います。

鏡の自分を見つめて・・というわけではなさそうです

何度も何度も繰り返していました。これは、お出かけ前の身だしなみチェック・・というわけではなく、鏡に映った自分自身を、なわばりに侵入してきたライバルと思い込んで攻撃しているのです。目も真剣。

目が真剣です

端から見ているとちょっとほほえましくも感じるのですが、考えてみるとこの勝負、永遠に引き分けです。すっきりしない戦いを何度も続ける彼の今年の冬越しを考えると、ちょっとかわいそうな気持ちになりました。「それは、あなたですよ!」と教えてあげたいですね。

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11月の星空情報②

冬も近づく落葉の候、日に日に寒さも増してきましたね。
相模原では間もなく紅葉が見ごろを迎える頃でしょうか。
色づく景色が楽しみです。
みなさん、体調にはくれぐれも気をつけて、
これからの寒い季節を心も体も健康に乗り越えていきましょう。

そして、今時期の星空観察は寒さが少し厳しいですが、
凛と澄んだ空気の夜空で見上げる星々は、
いつもよりキラキラと輝き、
まるで美しいダイヤモンドのようです。

秋から冬の星空
(撮影地:相模原市緑区)

 

11月17日には「しし座流星群」が極大になります。
今年はたくさんの流れ星が見える!と、言う予測ではないのですが、
月明かりはなく、観測条件は良いとされています。
街明かりの少ない場所で夜空を見上げたら、
流れ星を見つけることが出来るかもしれません。

流星群は極大日の前後約一週間の間は見つけやすく、
見ごろは17日の真夜中から18日の夜明け前です。
星空観察をする際は安全な場所、そして暖かい格好で観察してくださいね。

図:しし座流星群の放射点 11月18日午前2時 東の空

 

また、夏頃から夜空で寄り添うように輝いている木星と土星は、
近頃では日の入りの1時間後には、南西の低い空で明るく輝いています。

さらに11月19日には、これら二つの惑星に細い月が近づいて見えます。
月が細いほど、惑星の明るさが際立つため、とても美しく見えることでしょう。
木星と土星はこれから12月下旬にかけてさらに近づいていきますので、
しばらくの間は二つの惑星が夜空で寄り添う姿を楽しめそうです。

図:11月19日 月が木星、土星に接近
(国立天文台 天文情報センター)

 

そして、10月6日に地球に最接近した火星も
まだまだ空の高い所で赤く輝いています。
惑星たちは明るいので街中でも見つけやすいです。
(11月の星図はこちらをご覧ください。)

もしかしたら、ご自宅の窓からでも眺めることが出来るかも知れません。
自分だけの星空観察ベストポジションをぜひ探してみてはいかがでしょうか?

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ヨツモンカメノコハムシ

今朝、こんな虫を見つけました。

ヨツモンカメノコハムシ。ちょっとカメムシのようにも見えます。


体長1cm弱、ハムシ(甲虫の一種)の仲間で、ヨツモンカメノコハムシといいます。
その特徴は、平たくて、大きな笠を背負っているように見える事です。

裏側からも光を当ててみると「甲」の部分が透けて見えます。


照明を当ててみると、カブトムシやテントウムシでいう「甲」の部分が大きくて、頭部や腹部などがその下にすっぽり覆われているのが透けて見えます。

背中側から見たところ


腹側から。目や足がはっきり見えます。

似たような形の昆虫ではジンガサハムシやイチモンジカメノコハムシなどがよく知られていますが、このヨツモンカメノコハムシは元々沖縄以南に分布していたものが、近年になって関東にも分布を広げてきたものです。今年はそういった生き物に出会うことが多いような気がします。身近な生き物の種類も、少しずつ変わっているのかもしれません。

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開館25周年記念イベントスタート!

11月14日、開館前の博物館はいつもとちょっと景色が違いました。

開館25周年記念ロゴをあしらったウインドウバナー

ウインドウバナーが設置され、開館25周年の雰囲気が高まります。
そして、「みんなで飾ろう!お誕生日ケーキ」とメッセージボードが設置されました。

開館前のまっさらなケーキとボード

開館半日後、来館者のみなさんのご協力で、こんなにデコレーションが進みました。

半日でだいぶ豪華になってきました!

メッセージボードにもこんなに!

メッセージボードへの書き込み

11月15日からは、スペシャルクイズラリーも始まります!挑戦して下さった方にはなんと、開館25周年記念ポストカード1枚を進呈!
新型コロナウイルスの関係で大きなイベントはできませんが、ご来館いただいた皆様と一緒に楽しめる25周年記念イベントを企画しています。お楽しみに!

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紅葉が見ごろになってきました

博物館周辺の木々がだいぶ色づいてきました。

博物館前庭のケヤキ

駐車場のタカオカエデ(イロハモミジ)はさすが、紅葉のシンボル的存在です。

タカオカエデ(イロハモミジ)

同じく駐車場のエノキは黄葉です。青空に映える色ですね。

エノキの黄葉

紅葉は地面にも広がっています。サクラの葉は一足先に落葉し、地面で美しく色づいています。

サクラの落葉の紅葉

お隣の樹林地の遊歩道も色とりどりの落葉で覆われ、思わず下を向いて歩いてしまいます。

遊歩道の落葉の紅葉

晩秋は足早に去りつつあり、あっという間に冬がやってきそうです。

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博物館25周年記念イベント、準備着々!

相模原市立博物館は今年で開館25周年を迎えます。すでにロゴマークがあちこちに表示されています。
今日(11月12日)は、週末から始まる企画展のポスター展示の準備を行いました。歴代の企画展ポスターから、年ごとに1枚ずつを選んでエントランスに展示します。

懐かしいポスターが並びます!

イベント全体のポスターやチラシの発送作業も並行して行っています。

市内の公民館や学校などに配布されます

奥の方に見える巨大なオブジェは・・バースデーケーキを模したもので、来館者のみなさんにデコレーションしていただこうと考えています。

バースデーケーキも間もなくお披露目です!

そして、記念のポストカードも作りました!近々ミュージアムショップで販売予定です。

まだチラッとだけですが、お見せします!

ちょっとマニアックな当館所蔵の資料や、博物館の周辺に生息する野鳥など、バラエティに富んだ7枚組です。
25周年イベントの詳細については近日中に博物館ホームページや、広報さがみはらでもお知らせいたします。お楽しみに!

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シリーズ「相模原ふるさといろはかるた」でみる名所紹介⑳ ㋧

根小屋地区 ムササビも待つ パークセンター

絵札に描かれている背景の山は、城山と呼ばれる緑区の津久井城跡で、現在、城山や津久井湖周辺などが県立津久井湖城山公園となっています。
また、絵札下部に描かれているのは、この公園の管理を行っている「パークセンター」です。
この津久井湖城山公園のキャラクターが「武者サビ君」といい、城の歴史と山に生息するムササビからイメージしたそうです。

神奈川県立津久井城山センターホームページ(クリックするとリンクが開きます)

ムササビは、ネズミ目リス科に属する日本固有の哺乳類です。前肢と後肢の間にある皮膜を広げて滑空する事で知られています。尾の先まで含めた大きさは70-80cmほどあり、皮膜を広げた姿はしばしば「空飛ぶ座布団」と例えられます。
樹木内の空洞などに営巣し、夜になるとそこから出てきて枝の上を移動しながら葉や実を食べたり、他の木に飛び移ったりします。
多摩丘陵や丹沢山地周辺ではかつて広範囲に生息していたものが、樹林地の減少や分断により生息範囲が狭まっていると言われています。

ムササビの幼獣。昼間ですが巣穴から顔を出しています。津久井城山パークセンターで撮影。

行動する時に、鳴き声によるコミュニケーションを行う事も知られています。夜「グルルル…」という鳴き声がするので「怪物では?」とテレビ番組で取り上げられる事もあるようです。
江戸時代には「野ぶすま」という妖怪と同一視されていたとか。
城山公園は、かつて津久井城があった場所です。その頃にもムササビが生息していたとすれば、当時の人は結構怖がっていたかも知れませんね。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No33・エビス講)

 今回紹介するエビス講は11月20日の年中行事です。このエビス講は1月20日にも行われ、エビスが1月20日に働きに出かけて、11月に帰ってくるという話は多くの地域で聞くことができます。市内でもエビス講は盛んで、各家で両日ともエビス・大黒を祀り、さまざまなお供え物をしました。

 最初のモノクロの写真は、平成元年度制作の文化財記録映画「相模原の年中行事」において緑区大島で撮影したもので、普段はエビス・大黒像を台所で祀っていますが、前日の19日の「宵(よい)エビス」に床の間に移します。そして、20日朝に小豆飯や煮物などをエビス(向かって左)と大黒(同右)に供えます。また、エビス講には尾頭付きの魚を供えることが多く、この家では、二匹の鯛を腹合わせにして藁で吊るしているのが特徴です(平成元年[1989]11月19・20日撮影)。

                           

                           

                           

 年に二回行われるエビス講の行事内容はほぼ同じで、次の写真はいずれも昭和63年(1988)1月20日の撮影です。最初は南区下溝で、木像の比較的大きなエビス大黒像を神棚の下に出し、やはり尾頭付きの魚や高盛りの飯・ケンチン汁などを供えています。次の写真は緑区大島の別の家で、魚は二匹ですが腹合わせではなく、木像のほかに掛け軸も飾っています。

                           

                           

                           

 先ほどエビス講では正月に働きに出かけ、11月に帰ってくるという伝承を紹介しました。そのためエビス講では金も供え、1月ではたくさん稼いでくれるようにお願いして、11月にはよく稼いでくれたということで1月より多くの金をお供えすることが見られました。
 最初の写真では桝(ます)に財布を入れて供えています(昭和59年[1984]11月20・南区当麻)。もう一枚は文化財記録映画「相模原の年中行事」での撮影で、左側に一升桝の桶が見えますが、この中に金や預金通帳を入れて、作物の収穫の感謝と預金増額のお礼をしました(平成元年[1989]11月20日・緑区橋本)

                           

                           

 ところで、この職員ブログで紹介している写真は博物館建設準備に伴うもので、合併以前でもあるため当時の津久井地域の写真はかなり少なくなります。それでも合併後やそれ以前に津久井地域で撮影された写真もあり、次の写真は緑区根小屋で、この家では他でもよく見られる尾頭付きのほかに、柿や大根・ニンジンなどの野菜の煮物の上に油揚げを載せたものを供えています。この油揚げを載せた野菜の煮物は、当家だけでなく比較的近所の家でも作っているものの、柿を供えるのはあまり見られないそうです(平成24年[2012]11月20日)。

                           

 11月下旬は忙しい農作業もようやく一息つく時期で、12月に入ると山仕事や藁細工などの冬場の作業があります。そして、新年を迎えるに当たっての準備も始まり、この職員ブログでも冬や正月がテーマとなっていくことになります。

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