チラッとお見せします!準備中の企画展

9月19日から始まる開館25周年記念企画展「神奈川の植物、相模原の植物 植物誌から考える生物多様性」は1週間後のオープンに向けて準備作業の真っ最中です。見どころをチラッとお見せいたします!
こちらは、植物標本(押し葉標本)をいろいろな解説が取り巻いています。

押し葉標本について紹介しています

押し葉標本のチェックポイントを解説しています!たとえばこんなことを・・

アノテーションの説明

こちらは、「神奈川県植物誌」あるいは「神奈川県植物目録」と銘打たれた書籍が新旧ずらりと。

歴代の神奈川県植物誌

一番古いものは1933年刊行!神奈川県は植物相調査の歴史が古く、充実した植物誌が年代ごとに刊行されていることを紹介しています。
そして、今回は博物館的に最も注目していただきたい標本がこちら。

ヒメハッカの標本

ヒメハッカという県内では絶滅したとされる植物の標本です。1956年に鹿沼で採集されたとラベルに書かれています。当時の鹿沼は、その名のとおり湿地のような場所でした。現在の鹿沼公園(淵野辺駅南口前)あたりと考えられます。古い標本というだけでも貴重なのですが、じつは、ヒメハッカの県内採集標本で県内に残るのはこの1点だけなのです(東京大学に古い標本が1点あるそうですが、合わせても県内採集品は2点!)。
植物標本という学術資料の重要性を強調した展示です。お楽しみに!

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博物館実習 民俗分野 ミニ展示開催中!!

みなさん、こんにちは!

民俗分野の博物館実習生(安東、丸山、渡辺)です。

本日(9月5日)9日間の実習が終わりました。

私たちは実習の中で「相模原とうどん」について研究をし、展示を作りました。

相模原とうどん

展示の中で、何を伝えるのか、どう見せるのか考えるのが大変でした。

また、解説パネルを張り付ける作業がとても大変で、パネルの切断面に苦労の跡が見受けられると思いますが、暖かい目で見ていただけたら幸いです。

苦労の痕跡

展示場所は、常設展示の自然・歴史展示室内にあります。

民俗分野実習生による展示

時間をかけて作ったので、ぜひ興味を持って見学してもらえたら嬉しいです。

 

 

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シマゴミグモ

博物館の前庭で見つけたクモ。シマゴミグモです。

シマゴミグモ

腹部が独特の形をしています。

体長4-8㎜程度、垂直円網を張ります。ゴミグモと言えば「網にゴミの飾りをつける」ことが特徴ですが、この種はあまり飾りをつけません。
過去に別種と混同されていた経緯があり、関東以北の分布はあまり正確に分かっていません。市内では2014年に確実な記録があります。
垂直円網を張るクモは、ほとんどが網の中心で頭を下にしてとまります。この写真の個体は上を向いていました。実は、シマゴミグモは「どちらを向くかあまり決まっていない」という特徴があります。
近縁のギンメッキゴミグモは大抵上向きですし、カラスゴミグモという種は横を向いているので、この仲間には何か特別な事情があるのかも知れません。
ところで、先日見つけたスズミグモもそうですが、博物館の前庭はさほど広い場所ではないのに、時々「そんなのいたっけ?」という生き物に出会います。周囲にまとまった樹林が残っているので、ここもその一部として生き物が利用しているのでしょう。おかげで毎日観察していても飽きません。 

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久しぶりの!企画展準備中

当館は3月2日から新型コロナウイルス感染拡大に伴い臨時休館期間に入り、6月9日から再開しました。しかし、休館期間中に開催予定だった考古分野の企画展は、一度も公開できないまま終了してしまいました。さらに春と夏に予定していた企画展もそれぞれ中止となり、相模原市立博物館開館以来初めて、半年にわたり特別展示室が閉鎖されたままになりました。
そして9月、いよいよ、秋から企画展を開催することになりました!今、仕切りや展示ケースを設置して、徐々に展示資料を列品しています。

展示ケースに入った『神奈川県植物誌2018』

なにやら分厚い本がケースに堂々と鎮座しています。
こちらにもちょっと古めかしい本がずらっと・・

他県、あるいは全国版の植物誌

さらに、展示ケースの中に花が咲いている!

シンテッポウユリのレプリカ

わけではなく、これは精巧につくられた模型(レプリカ)です。
ふだんは収蔵庫に配架されている植物標本も並びます。いろいろとタグのようなラベルが貼られていますが、その意味も展示でご紹介します!

押し葉標本

9月19日から始まる企画展は、なんと2本同時開催です。
「開館25周年記念企画展「神奈川の植物、相模原の植物 植物誌から考える生物多様性」」
博物館開館25周年・山崎弁栄上人没後100周年記念 「無量光寺文書・山崎弁栄遺墨展

詳しくは、上のリンクから当館ホームぺージをご覧ください。
担当者も久しぶりの企画展の準備をはりきっていますので、お楽しみに!

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シリーズ「相模原ふるさといろはかるた」でみる名所紹介⑰ ㋹

レールは箱根 江の島へ 南の玄関相模大野

かるたに描かれた小田急線の前身である小田原急行鉄道が新宿~小田原間で開通したのは1927(昭和2)年で、その後、分岐した江ノ島線が1929(昭和4)年に開通します。その当時、相模大野駅はまだなく、前身となる通信学校駅が設置されたのが、1938(昭和13)年のことでした。当時の駅周辺には畑や山林が広がっており、駅の利用者は主に近くに建設された陸軍通信学校(現相模女子大学等)や相模原陸軍病院(現グリーンホール相模大野・相模大野中央公園等)の通勤、通学、通院者でした。

1954(昭和29)年修正 1:25,000地形図「原町田」に加筆

当時の村名「大野村」にちなみ駅名が「相模大野」と改められたのは1941(昭和16)年で、周辺の地名も1981(昭和56)年の住居表示の実施によって駅名と同じ「相模大野」となりました。戦後における相模大野の商業地化は目覚ましく、1959(昭和34)年に建設された公団相模大野団地の建設をきっかけに急速に人口が急増し、駅周辺の区画整理事業に加え、1981(昭和56)年の米軍医療センター(旧相模原陸軍病院)の返還によって、商業ビルや高層住宅が立ち並ぶ街へと大きく変貌しました。

相模大野駅周辺1959(昭和34)年

相模大野駅周辺の開発状況1998(平成10)年

平成に入ると市内初の百貨店が進出し、駅には14階建ての駅ビルが建ちました。さらに2013(平成25)年にはショッピングモールや大規模な都市型住宅を含む大型複合施設が駅西側に完成するなどして、市の南の玄関として現在も発展を続けています。

駅西側の大型複合施設(ボーノ相模大野)

通信学校の駅の設置からおよそ80年を経過し、駅周辺の景観はすっかり変わってしまいましたが、今も残る相模女子大学の正門や両方向にのびる石垣などは、陸軍通信学校建設当初のものであり、通信学校駅時代の面影をひっそりと残しています。

旧陸軍通信学校(現相模女子大学)の石垣

*このかるたは当館のボランティア「市民学芸員」が2017年に制作したものです。
*このかるたは相模原市立博物館にて貸出し可能です(現在、貸出しは休止中です。)
*貸出しの詳細やその他このかるたに関心のある方は、博物館までお問い合わせください(042-750-8030)。
*貸出し使用時には感染症予防のため、事前・事後の手洗い・消毒などを必ず行ってください。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No.25・職人の技術と道具② )

前回は、昭和59年(1984)に撮影した職人の方々の写真を紹介しました。これ以外にも職人の写真を保管しており、その中でもたくさんの枚数があるのが下駄屋と鍛冶屋に関わるものです。

次の写真は、昭和62年(1987)9月に緑区橋本で撮影されたもので、当時、履物店を営んでいた下駄職人の山崎考治さんにお願いし、いくつかの下駄を実際に作っていただいてその様子を撮影しました。山崎さんは第二次世界大戦前から下駄作りをして、昭和31年(1956)に橋本で履物店を開業しました(現在、店舗はありません)。

下駄を作ると聞いて、私たちにはあまり思いつきませんが、まず材料の木を伐って木取りをするところから始まります。その後、下駄の形にノコギリやカンナで整えていき、二枚目の写真では駒下駄の歯の部分を切っています。

また、鼻緒を付けるのも大切な作業で、後には問屋から下駄を仕入れ、鼻緒をすげるのが主になりました。

下駄の道具には、ノコギリやカンナ、鼻緒を通す穴を掘るノミなど、木を伐ったり削るための多くの道具があります。

下駄の種類は、男物と女物、子ども用や大人用、あるいは用途などさまざまなものがあり、写真はその一部です。山崎さんには一連の撮影だけではなく、作った下駄などを博物館に寄贈していただき、これまでも何回か展示するなど、活用しています。

また、この時の調査を基にして、平成3年(1991)度の文化財記録映画第10作目の「相模原の職人~下駄作り~」を製作しており、映画では、下駄作りの細かい工程が記録されています。

次に取り上げるのは、平成元年(1989)2月に撮影した、東京都日野市三沢で現役の鍛冶屋だった露木隆さんの鍬(くわ)作りの写真です。当時、博物館にさまざまな鍬を展示することが計画されており、鍬を作る現役の鍛冶屋が少なくなっていた状況で、この方の作る鍬が、特に市内の北部地区で使用する鍬に類似することから鍬作りを依頼し、やはり一連の作業を撮影させていただきました。

鍬作りは、鉄を繰り返し叩いて伸ばし、形を整えていく作業を繰り返します。写真では刃が真っ赤に焼けているのが分かりますが、燃やしている炭の中に投じて、熱くした状態で叩いていきます。二枚目の写真では、前回紹介したフイゴの前に座り、フイゴが起こす風で火力を調整しています。

鍬は、最後に焼き入れといって水に入れて急激に冷やし、固く締める作業があり、焼きが固すぎるともろくなって壊れやすいなど、タイミングを見極めるのが難しく、職人の腕とも言えます。

これも前回に紹介したように、鍛冶屋は仕事場の一角に金山様を祀っており、毎年の正月2日の仕事始めに打った剣が打ち付けてありました。

博物館の常設展示室の「くらしの姿」のコーナーには、露木さんに作っていただいた15種の鍬の刃が展示されています。さらに、この時の調査成果は、『鍬と鍛冶屋』(1990年3月)として刊行されており、博物館等で見ることができます。

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おかいこさま飼育中 9/8 かわいい観察記録

9月8日、秋のカイコも掃き立て(給桑開始)から11日目、3齢に脱皮して2日目となりました。もうすっかりカイコらしい体つきです。

3齢になったカイコ(緑繭2号)

飼育展示も来館者のみなさまに好評で、週末などはずっと飼育箱の前に張り付くようにして見てくれている方もいます。
さて、その展示を少し模様替えしました。

カイコ飼育展示の様子

たくさんのカイコの絵(カラー縮小コピー)を掲示しました。これは、6月の飼育展示を、毎週のように観察に来てくれていたご近所の保育園、大野村いつきの保育園の子どもたちによる作品です。

たくさんのカイコの絵

お散歩コースに博物館を入れて下さり、カイコの観察をしては帰園してからお絵かきしてくれていたそうです。カイコがだんだん大きくなり
繭をつくっているところや、成虫もちゃんと描いてくれています。

カイコが大きくなる様子がしっかり描かれています

かわいい観察記録もカイコとあわせてご覧ください。

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地質分野実習 ~展示・資料保存編~

こんにちは!地質分野の実習生(神戸・徳永・志村)です。

実習の一大イベントである展示制作の様子を紹介します。

はじめに、展示のレイアウトについて話し合いました。

次に、採集した石を中心に、展示に使用する写真の撮影を行いました。

写真やキャプションを構成し、印刷したら・・・

いよいよ展示室に設置したボードに、作成したパネルを配置します。

微調整をしたら完成です!

皆で協力して無事にできあがりました!

とても達成感がありました!!!!!!

実習の終わりに、採集した石に一つ一つラベルを付けて、博物館資料として保存できる状態にしました。

採集した石が収蔵品になりました。

今日(9月6日)で実習は終わりですが、是非、私たちが作った展示を見に来てください!

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シリーズ「相模原ふるさといろはかるた」でみる名所紹介⑯ ㋟

「端午の空 相模の大凧 舞い揚がる」

相模の大凧は、毎年5月の4、5日に、相模川に面した南区新磯地区で、「相模の大凧文化保存会」によって揚げられます。

現在では「相模の大凧まつり」として相模原市を代表する観光行事の一つです。

2012年5月5日撮影

当日は、新磯地区の上磯部、下磯部、勝坂、新戸地区が作ったそれぞれの凧を、相模川の河川敷で揚げます。

中でも新戸地区の大凧は有名です。八間(約14,5m)四方の大きさで、この大凧を揚げるには、80~100人の人手が必要といわれています。

かるたの絵札に描かれているように、大凧には昔から二文字の漢字が赤と緑で書かれます。
右上の赤い文字は太陽を表し、左下の緑の文字は大地を表します。

題字は人々の思いや世相を反映したもので、現在は公募で選ばれた漢字が書かれます。

新戸の八間凧(2012年5月5日撮影)

このような大凧は、この地域でいつから揚げられているのかわかっていません。

もともと市域では男子の誕生を祝って、5月の初節供に各家で凧を揚げる習慣がありました。それが次第に大型化して地域全体でおこなうようになり、豊作祈願などの地域の願いを題字に込めて揚げるようになったと考えられています。

空を飛ぶ新戸の八間凧(2012年5月5日撮影)

現在でも5月の節供の時期に合わせて、「相模大凧まつり」は行われています。
実は、5月の端午の節供に凧揚げをするのは、関東から中部地方にかけてです。

多くの方が凧揚げは正月の風物詩であると思われているかもしれませんが、現在でもこのような地域性がみられます。

これからも相模の大凧は地域の願いを乗せて、端午の空を力強く舞い揚がっていくことでしょう。

相模の大凧については次のページでも紹介していますので、ぜひご覧ください。
祭り・行事を訪ねて(35)勇壮に舞った相模の大凧~南区新磯地区の「相模の大凧」~

*このかるたは当館のボランティア「市民学芸員」が2017年に制作したものです。
*このかるたは相模原市立博物館にて貸出し可能です(当面の間、貸出しを休止しております)
*貸出しの詳細やその他このかるたに関心のある方は、博物館までお問い合わせください(042-750-8030)
*貸出し使用時には感染症予防のため、事前・事後の手洗い・消毒などを必ず行ってください。

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キツネノマゴの蜜標

夏の終わりになると、博物館の駐車場にキツネノマゴという植物がたくさん咲きだします。
名前が特徴的で、小さいながら花もかわいらしいので、ついしゃがんで眺めてしまいます。

キツネノマゴ

こういう形の花の多くには蜜標(みつひょう)と呼ばれる模様があり、花粉を媒介してほしい虫などへ向け、蜜ののありかへ誘導する機能があるといわれています。

特徴的な蜜標

前からちょっと気になっていたのですが、キツネノマゴの蜜標は、あばら骨のような形で、立体的に見えます。見方によっては、あばら骨状の花弁がもう1枚のっかっているようにも見えるので、いつか解剖してみようと思っていました。
身近すぎる花なので、つい確かめないままでいたのですが、ふと思い立って先ほど解剖してみました。すると・・

下側の花弁を取り出して縦に裂いたところ

やはり下側の花弁があばら骨状に隆起して浮き出ているだけで、もう1枚のっかっているわけではありませんでした。
なんのオチも無い結果でしたが、自分の目で確かめてみたら、やはりスッキリしました。

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