類は友を呼ぶ

この週末は相模原近隣の大学の多くが大学祭でした。
JR橋本駅から最寄りの多摩美術大学も、「芸術祭」として大学祭を開催していました。芸術系の大学は、大学祭がガチンコの表現の場なので、隅々に至るまで真剣勝負です。私もそんな雰囲気が大好きで毎年訪れています。
そんな中でもちょっと静かな講義室棟の一室へと足を伸ばすと・・

骨骨展!
なんだか見覚えのある雰囲気です!
そう、ここは当館の相模原動物標本クラブにも参加してくれている美大生たちが主催するサークルの展示です。

芸術学を扱う中で、解剖学や骨格に関する素養は必須です。特にそうした分野に目覚めてしまった学生さんが活動するサークルなので、博物館と親和性が高いのは必然かもしれません。類は友を呼ぶのか、動物標本クラブもいつの間にかこうした学生さんたちともつながっていました。
さまざまな骨グッズも充実していて、小さいながらとても楽しい展示空間でした!
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 類は友を呼ぶ はコメントを受け付けていません

歴史講座②~旧市では唯一の確実な城 磯部城への探訪~

11月5日(土)に歴史講座の2回目として、室町時代の15世紀後半の「長尾景春の乱」に登場する磯部城への探訪を行いました。

下溝駅に全員集合!

磯部城は長尾景春の乱に際し、長尾方の城として史料に登場し、太田道灌の軍勢に攻められ落城したとあります。そして、城の本丸と伝えられる磯部の能徳寺や御嶽神社周辺には、ホリノウチ、キリドウシなど城郭関連地名が伝承として残っています。

ホリノウチ、キリドウシ、ハシバ・・・城っぽい地名がたくさん

本丸跡の伝承がある能徳寺

また、三段の滝広場近くにある上磯部の土塁は磯部城の土塁とされ、平成9年の発掘調査では箱堀も検出されています。このように、史料、伝承、そして発掘調査によって確認されている城は市内では津久井城しかなく、磯部城は旧市域では唯一の確実な城といえます。あまり知られていないのが残念です。(悲)

市登録史跡にもなってる上磯部の土塁の説明板

こちらも本丸伝承地 御嶽神社

午前9時に下溝駅出発し、相模川散策路沿いを歩き、上磯部の土塁、能徳寺、御嶽神社、常福寺、長松寺とめぐり、お昼前に無事に相武台下駅で解散しました。皆さんに、15世紀の中世城館跡を堪能していただけたなら幸いです。

長松寺で記念写真

次回は、歴史講座の最終日 愛川町の小沢城への探訪です。

(歴史担当学芸員 木村弘樹)

カテゴリー: 報告, 学芸員のひとりごと | 歴史講座②~旧市では唯一の確実な城 磯部城への探訪~ はコメントを受け付けていません

アマチュアの力

今日はこのお天気の良さではあるのですが・・昨日まで連日のバンディング調査の見返りとして、たまったデスクワークに追われています。
さて、二日前になりますが、毎年11月3日は日本野鳥の会神奈川支部の研究報告集「BINOS(バイノス)」の発表会が横浜で開かれています。BINOS第23号となる今年も一昨日開催され、最新号のお披露目の場となりました。

BINOSには私もボランティアとして編集に携わっていますので、バンディングの現場を離れてお休みをいただき、参加してきました。
トップバッターの方は、普段の調査スタイルをまずご披露してくださいました。

定年1周年を記念した発表、との言葉にセカンドライフの充実を感じさせてくれる人生の先輩です。この方は毎月、6カ所の定線センサス調査を続けておられるツワモノです。
相模原動物標本クラブのメンバーであるSさんも、アオダイショウに食べられたムササビについて発表しました。

アオダイショウもムササビも鳥ではありませんが、BINOSは生きものであれば、鳥が登場しなくてもOKなのです。
発表後の休憩時間は、Sさんが持参したムササビの骨格標本にみなさん興味津々です!

私も3本の論文に関わったので、ダイジェストしながらBINOSの存在意義についてお話ししました。トップバッターの方の労力もすごいものがありますが、たとえば今回の筆頭論文の著者の方は、一昨年から昨年にかけて75日間にわたり、出勤前の夜明け前後にマイフィールドで野鳥の声の録音記録を取り、そこからヒヨドリの体内時計についての考察を発表されました。なんという努力量でしょうか。査読誌ではないBINOSですが、こうした著者のみなさんの血と汗、エネルギーの投下量といったら、国際的な査読誌にも引けを取らないはずです。
地域博物館もアマチュアリズムが発揮されるべき場所だと考えているので、改めてBINOSのアマチュアパワーに大きな刺激を受けることができました。
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | アマチュアの力 はコメントを受け付けていません

天使来たりてフィナーレ

10月30日から実施してきた鳥類標識調査は本日(11月4日)をもって終了となりました。
今日はその締めくくりにふさわしい鳥が捕まりました。森の天使、エナガです。

この鳥のかわいらしさは、もう言葉に表せません。
さらに嬉しいことは、今日捕獲したエナガの中に、リターン個体(以前付けた足環付きの個体)がいたことです!写真のエナガの足にリングがついているのがわかるでしょうか。

この個体は今年の4月に実施したバンディングで足環を付けたものでした。繁殖して家族でひきつづきこの森で生活しているようです。
リターンが入るとなんだか本当に感動します。こんな小さな鳥が生きていることを実感できるからでしょうか。
ほかにもこんな鳥が

特定外来生物に指定されているソウシチョウです。
ありがたくない属性ですが、美しさは格別ですね。
今年のバンディングは秋が深まりきらない中での調査になりましたが、個体数も種類も上々の結果となりました。

できれば真冬にも実施したいなと去年と同じことを考えつつ、6日間の調査を無事に終了しました。
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 天使来たりてフィナーレ はコメントを受け付けていません

ひっつく現場

今日も早朝から鳥類標識調査を実施しました。
アオジという鳥が捕獲されて計測していたら、風切羽になにやらついています。

よーく見てみると、イノコヅチの果実でした。植物としてはこんなようすで実ります。

このあたりの林床に生育する代表的なひっつき虫です。そして、林床を動き回って活動するアオジがこの植物に触れるのは必然と言えるでしょう。

こうして鳥の羽にひっついて運ばれる動物散布ということがよくわかります。羽づくろいを頻繁に行う野鳥は、その日のうちにこの果実を嘴でこそぎ落とすはずです。落とされたその場所が生育適地なら万々歳です!
まさにひっつき虫のひっつく現場を目の当たりにしたようで、ちょっとトクした気分になりました!
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 未分類 | ひっつく現場 はコメントを受け付けていません

地質調査日誌11/3 相模原市緑区牧野

11月3日,木曜日.晴れ

秋晴れの中,2日連続の野外調査です.紅葉も始まっています.

相模原市緑区牧野の小さな沢で礫岩や砂岩の分布調査を行いました.

砂岩(上)と泥岩(下)の境目です.

砂岩と泥岩の互層です.縦に割れ目が入っていて厚い方が砂岩です.

こちらは礫岩(上)と砂岩(下)の境目です.

礫岩には下の地層の砂岩の破片が多く含まれている部分もありました.

日向は厚いくらいでしたが,沢の中は日陰で寒かったです.

(地質担当学芸員 河尻)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 地質調査日誌11/3 相模原市緑区牧野 はコメントを受け付けていません

地質調査日誌11/2 相模原市緑区名倉

11月2日、水曜日.曇り.

約2ヶ月ぶりの野外調査です.相模原市緑区名倉で富士相模川泥流の地層の剥ぎ取り標本を作製しました。
泥流というのは、泥や砂礫と水が混ざったものが谷や川を流れ下る現象のことです。
富士相模川泥流は、約2万2千年前に富士山麓から桂川・相模川を流れ下った泥流です。

まず,剥ぎ取る面を鎌などを使って削って平らにします.

地層に直接剥ぎ取り剤(水と反応すると硬くなる薬剤です)を塗ります.

剥ぎ取り剤を塗った上に寒冷紗を貼り,さらに寒冷紗の上から剥ぎ取り剤を塗ります.

剥ぎ取り剤が固まったら,鎌やタガネを使って地層を剥ぎ取ります.寒冷紗を破らないように慎重に作業します.地層がやわらかければ鎌だけで剥ぎ取ることができるのですが,今回の地層は固く締まっており,主にタガネとハンマーを使って剥ぎ取りました.

剥ぎ取った地層です.

剥ぎ取った標本は博物館に持って帰ってから,薬剤が染み込んでいない余分な部分を洗い流します.

今回剥ぎ取った地層は,5年前にも挑戦したのですが,うまく剥ぎ取ることができませんでした.その時は地層に寒冷紗をピンで止めて,その上から剥ぎ取り剤を塗る方法でやってみたのですが,剥ぎ取り剤が染み込まず,地層が剥ぎ取れませんでした.今回は薬剤を変え,また,地層に直接剥ぎ取り剤を塗る方法でうまく剥ぎ取ることができました.

(地質担当学芸員 河尻)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 地質調査日誌11/2 相模原市緑区名倉 はコメントを受け付けていません

去年と違う秋

鳥類標識調査は去年も同時期に実施していますが、当然ながら、捕獲される野鳥の種類も去年とは違ってきます。そして、その動向はさまざまな環境の要因によって左右されるのかな、と思うところもあります。
たとえば、周囲の木々の色です。昨年のブログを見ると、ミズキがかなり黄色みを帯びているのがわかります。今年の写真は・・今日が予報に反してずっと曇りだったのでうまく撮れませんでしたが、ぜんぜんまだ色づいていません。一方で、こんな鮮烈な色に実っているものも。

ガマズミの果実です。昨年はこんなによく実っていなかったか、調査の頃にはすでに鳥に食べられていたか・・。
さらに、昨年はミズキの果実がわんさか実っていて、調査中にいろいろな鳥から紫色のフンをずいぶんと浴びました。そして、ミズキの果実が食べ尽くされると、鳥の数もすっと減ってしまったのを思い出します。ところが今年はミズキがほとんど実っていません。春のキアシドクガの大発生が影響しているのか・・。
そんな中、今日の一番はこちらです。

キビタキのオスです。英名Narcissus Flycatcher、水仙の色をしたヒタキ、という意味でしょうか。まさしく喉の橙色から黄色へのグラデーションは見事です。
明日は朝だけ雨予報。少し遅めの開始になりそうです。
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 去年と違う秋 はコメントを受け付けていません

同じ種類なの?

今日も鳥類標識調査を実施しました。朝は雨模様だったので、お昼前から開始したのですが、同じ時間帯にたまたま、ウグイスが2羽捕獲されました。

あれ?なんだか大きさが違います。ちょっと顔つきも違うような・・。
これはなんと、雌雄の違いです。上の大きな方がオスで、下の小さな方がメスです。オスは気の強さが顔に出ています。小鳥の雌雄差としてはちょっと大きすぎる感じですね。でも、間違いなくどちらもウグイスです。
野鳥を見慣れていない方には上の写真、さらにちょっと納得いかないかもしれません。
「ぜんぜん鶯色じゃない!!」そうですね、こちらはどうでしょうか。

一般的にこちらのオリーブ味の強い色を鶯色と思われている傾向がありますが、それは誤解です。これはメジロであってウグイスではありません。正しい鶯色は、上のウグイスの色、灰色がかった茶褐色です。
今日はこんな美しい鳥も。ヤマガラです。

もう少しキリッと寒くなってくれると、冬鳥が南下してきてたくさんバンディングできるのですが・・。明日も実施します。
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 同じ種類なの? はコメントを受け付けていません

鳥類標識調査

毎年博物館の近くで実施している鳥類標識調査(バンディング調査)を、今年も行っています。

野鳥を捕獲して足環を付けて放鳥するのですが、環境省から委託されている(公財)山階鳥類研究所が主体となり、鳥類標識調査員(バンダー)の資格を持つ人がボランティアで調査に従事しています。博物館にはバンダーがいないので、いつも協力してくれているバンダーFさんに調査していただいています。
バンディングは、ふだん手元の距離で見ることのできない野鳥を観察できるチャンスです。そして、冬場は潜伏していてなかなか見ることのできない鳥の存在を明らかにしてくれます。例えばクロジという鳥です。

ふつうに野鳥を観察していても、なかなか存在に気付きません。しかも、なんともシックで美しい羽色です。
同じく冬鳥のジョウビタキは比較的目立つ鳥ですが、メスの尾羽にこんなにオレンジ色があるとは!

特定外来生物、ガビチョウも捕まりました。今となっては懐かしいガングロ系です!

通常、立ち入りの出来ないエリアで調査をしていますので、見学などはできませんが、このブログで引き続き調査のようすを報告していきます。
(生物担当学芸員 秋山)

カテゴリー: 学芸員のひとりごと | 鳥類標識調査 はコメントを受け付けていません