キンセイランの標本を急遽展示しました!

現在、1階エントランスで開催中のミニ展示「日本の植物学の父、牧野富太郎」は、NHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルである牧野博士を紹介しています。
ドラマでは、今週のタイトルが「キンセイラン」でした。そこで急遽、相模原市にも分布するキンセイランの標本を展示しました。

キンセイランの押し葉標本

キンセイランは全国に分布する野生ランですが、数がとても少なく、環境省のレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類、神奈川県のレッドリストでは野生状態で絶滅危険性が最も高い絶滅危惧ⅠA類に区分されています。じつは、神奈川県内では相模原市内の2カ所にしか生育しておらず、株数もほんのわずかです。それも、発見されたのは2011年で、相模原植物調査会の会員が見つけたものです。
ラン科の多くは、標本化するために乾燥すると真っ黒になってしまい、生育時の美しさが消えてしまうため、写真も掲示しています。

キンセイラン(相模原市内で撮影)

当館でも1点しかない貴重な標本でもあるため、展示は来週いっぱいまでとなります。お見逃しなく!
そしてこちらの顔出しパネルもご好評いただいています。

顔出しパネル

牧野博士はたくさんの写真を残していますが、その多くがサービス精神旺盛であることを示す楽しいものです。その中でも「お化け」と題された写真はインパクトが大きいので、ご提供いただいた高知県立牧野植物園の許可をいただき、顔出しパネルにしてみました。ご来場の際はぜひ記念写真を撮ってみてください。
(生物担当学芸員)

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フデリンドウが見ごろです

博物館の駐車場やお隣の樹林地では、フデリンドウが見ごろになりました!

フデリンドウ

毎年この時期に咲くこの小さな花は、本格的な春の訪れを告げるこの樹林のスターです。博物館の駐車場の隅には、ピンク色のフデリンドウも咲いていました。

フデリンドウ(ピンク色の花)

フデリンドウは晴れていないと花を開きません。お天気の良い日に博物館に来られたら、ぜひフデリンドウを探して見てください。
先日4月1日、樹林地の遊歩道沿いで人に踏まれてしまいそうな場所のフデリンドウを守るため、ボランティアのみなさんと小枝を立てて目印にしました。

踏まれないように印を立てました!

もしもフデリンドウが見つからなくても、たくさんの花が咲いています。こちらはニガイチゴです。

ニガイチゴ

いわゆる“キイチゴ”の一種ですが、このあたりの代表的なキイチゴであるモミジイチゴは、花は下向きに咲きます。しかし、ニガイチゴは上向きに咲くのが特徴です。
こちらはシロバナタンポポです。

シロバナタンポポ

西日本(九州や四国)のタンポポですが、なぜか、博物館周辺では毎年数株が咲きます。
ほかにもいろいろな花が咲いているので、少しずつこのブログで紹介していきたいと思います。
(生物担当学芸員)

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カンムリカイツブリとオカヨシガモ

4月3日、市内南区下溝の横浜市水道局相模原沈殿池へ行きました。ここは水鳥が多く越冬する場所として知られているので、春になってどんな様子になっているか確認するためです。この季節の見どころの一つ、夏羽に換羽(かんう)したカンムリカイツブリです。

カンムリカイツブリ(夏羽)

カイツブリの仲間がカモの仲間と大きく異なることの一つは、基本的にオスとメスの繁殖期の羽色が同じということです。カンムリカイツブリも、雌雄ともにこのような美しい羽色で繁殖期を迎えます。
こちらはオカヨシガモです。

オカヨシガモのオス(左)とメス(右)

一見地味に見えるのですが、オスの翼の羽は渋い装飾が施されていて、よく見るととても美しいのです。

オカヨシガモのオス

一方メスは、近い仲間のマガモのメスとそっくりです。

マガモのメス 羽づくろい中

でも、ちゃんと識別ポイントがあります。上の写真はマガモのメスが羽づくろいをしているところなのですが、翼の中央あたりに美しい青色が見えます。これは翼鏡(よくきょう)と言って、この仲間の大きな特徴の一つです。飛ぶとわかりやすいのですが、下の写真で赤丸の中、翼の下側中央付近に生える地列風切(じれつかざきり)という部分に色が付いています。

マガモのオス 赤丸の中の青い部分が翼鏡で、地列風切と呼ばれる部分

マガモはこのように青色(光線の加減によって紫色にも見えます)ですが、オカヨシガモはオスもメスも翼鏡は白色です。

オカヨシガモのメス 翼鏡は白色

日本の淡水で見られるカモで翼鏡が白く、オカヨシガモとメス同士が似ている種類はいないので、よい識別ポイントになります。
カモ類の多くは、繁殖期の前の、ペアを作る時期である冬にオスが装飾的な羽色になります。北方へ渡って繁殖が始まる頃(初夏)には、オスもメスと同じような地味な色合いに換羽します。他の鳥の多くが繁殖期に美しい羽色になることから、それと区別してカモ類の地味な羽色をエクリプス(原意は日蝕:にっしょく)と呼びます。越冬期に羽色が美しくなるのは、夏が短い北方で繁殖するため、越冬地でペアを作って繁殖地へ渡ったらすぐに繁殖を始められるためと考えられます。相模原沈殿池のカモも、オスとメスが2羽で行動していることが多いので、旅立ちの日も近いということかもしれません。(生物担当学芸員)

 

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ミニ展示「日本の植物学の父、牧野富太郎」が始まりました!

4月1日、令和5年度が今日からスタートです。
そして、エントランスでミニ展示「日本の植物学の父、牧野富太郎」が始まりました!牧野富太郎は、この4月から始まるNHKのテレビドラマの主人公のモデルとして注目が集まっています。

ミニ展示の様子

植物採集のために全国を歩き回り、日本の植物を調べ、記録することに生涯を捧げた植物学者の牧野博士は、1862年生まれです。

出典:国立国会図書館「近代日本人の肖像」

牧野博士は多くの写真を残しています。今回も、高知県立牧野植物園のご提供による写真をいくつか展示しています。牧野博士の時代は、現在のように写真に撮られることが日常的でなかった時代のはずですが、上の肖像写真は別としても、牧野博士の写真には大笑いしていたり、おどけたポーズで写っていたりするものが少なくありません。サービス精神旺盛だったことが伺えます。

『牧野日本植物図鑑』初版本も登場!

県内に生育する、牧野博士にゆかりのある植物の標本も展示しています。ぜひご覧ください。(生物担当学芸員)

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桜吹雪とともに令和5年度の幕開けです!(大切な予告付き)

4月1日、新しい年度が始まりました。

市役所前の桜並木の素晴らしいこと!
昨日通りかかったら、まさに桜吹雪でした。
まだご覧になっていない方はぜひお立ち寄りください。

先日、出張先で、桜はなぜきれいに見えるのかのお話を伺いました。
曰く、青空と桜の花のコントラストが良いから、そして桜は下を向いて咲くから、とのことでした。言われてみると、確かに桜って上向きではなくて、私たちの方を向いて咲いてくれていますね。

さて、新年度が始まり、振り返ってみると、令和4年度は行きつ戻りつつしながらも、日常を取り戻しかけた一年でした。

博物館では、予定した企画展やミニ展示、講演会などを全て実施することができました。
市内の全小学4年生の校外学習も再開されました。
プラネタリウムでのコンサートも復活させることができました。

市民会館との連携によるプラネタリウムコンサート

また、かつてない規模で連携事業を実施することができた一年でもありました。
6月の「はやぶさウィーク」ではプログラミング教室、夏にはスマホゲームアプリ「アイドルマスターSideM」とのコラボ、秋にはアリオ橋本を会場に実施した「縄文デイズ」、初冬には麻布大学いのちの博物館への出張展示を行ったほか、2月から3月にかけては再びアイドルマスターとのコラボ企画の会場となりました。

宇宙落語を開催したのも記憶に新しいですね!

館内では、エントランスのレイアウトや、触れる展示なども、コロナ禍前に概ね戻すことができました。あわせて年度末までにはWi-Fi環境を整備し、常設展示の一部ではスマホやタブレットで展示解説をお楽しみいただけるようにもなりました。
思い起こすと盛りだくさんな一年だったと感じます。

そして新しい気持ちで迎えた令和5年度。
博物館では現在開催中の考古企画展のほか、4本の企画展を予定しています。
また、プラネタリウムでも新しいプログラムの上映が始まりました。
そのほかにも多くの企画が進んでいます。画像

どうぞ、今年度もぜひ博物館にお越しください。
スタッフ一同、みなさまのご来館、ご観覧をお待ちしています。
ここで「大切な予告」その一。ご存じの方も多くいらっしゃるかと思いますが、10月からは、未就学児と市内在住在学の中学生以下のみなさんのプラネタリウム観覧料が無料になります!ぜひこの機会にプラネタリウムをお楽しみください。

ただし、ここで「大切な予告」その二。実は今年度は、設備の改修のため、12月から2月まで休館を予定しています。より快適に、より安全・安心にお過ごしいただくためのリニューアルになりますので、ご理解とご協力をお願いします。

最後にもう一言。
桜がきれいに見える理由、もう一つあるかな?と思っています。
それは、満開の桜を見ると、今まで桜の季節にあったいろいろな出会いやスタートの記憶を呼び起こすからではないかな、と。
みなさんの思い出の一ページに博物館を記録していただけるよう、様々な活動を続けていきます。どうぞご期待ください。

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かんじる学校 こどものための影絵ワークショップを開催しました!

3月21日、かんじる学校 こどものための影絵ワークショップを開催しました!

「かんじる学校」とは、相模原市民文化財団が、子どもたちが自主的に「芸術」を好きになる場の提供を目的に実施している事業です。

3年ぶりの開催となる今回の「かんじる学校」のテーマは、相模原市の沼地やくぼ地に由来する伝承「でいらぼっち伝説」です。講師に川村亘平斎さん(影絵師)、小林武文さん(音楽家)を迎え、参加者のこどもたちは、「でいらぼっち」を題材に影絵を制作して発表を行いました。

まず子どもたちに、「でいらぼっち」にまつわるお話を説明しました。

山本学芸員(民俗担当)が「でいらぼっち」について解説

その後展示室に移動して、影絵の題材を探しました。

河尻学芸員(地質担当)が「でいらぼっち伝説」にまつわる地形の特徴について解説

子どもたちは気になる展示品をスケッチして、思い描くままに「でいらぼっち」を制作しました。

子どもたちが制作した「でいらぼっち」は、小林武文さんの音楽に合わせて一人ひとり自己紹介をしました。

子どもたちが制作した「でいらぼっち」が自己紹介をしている様子

天井や壁に移して遊んでいる様子

最後に、みんなが制作した「でいらぼっち」で集合写真を撮り、かんじる学校は終了となりました。

集合写真

講師の川村亘平斎さん、小林武文さん、参加されたみなさん、相模原市民文化財団のみなさん、ありがとうございました。

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春真っ盛りのフィールド

3月29日、緑区の山麓部に春の植物の調査へ出かけました。毎年、絶滅危惧種の開花状況の確認に行っているのですが、今年は春の花が全体的に早めのため、慌てて3月中に実施しました。
まずはこちら、カタクリ(県レッドリスト・絶滅危惧Ⅱ類)の自生地へ行きました。

カタクリ

しかし、すでに咲き終わった花が多く、さらに、シカに食べられたのか、花芽の数がだいぶ少なめでした。今後の生育状況がちょっと心配です。
こちらはオキナグサ(県レッドリスト・絶滅危惧ⅠB類)です。

オキナグサ

地元の方が斜面地の草刈りをして下さっているおかげで維持されている自生地です。まだ咲きはじめでしたが、多数の株が現存していたので少し安心しました。
同じ場所にはオカオグルマ(県レッドリスト・絶滅危惧ⅠB類)もあります。

オカオグルマ

こちらも咲きはじめで、まだ少し背丈が低い株が多かったです。
畑の法面では、アマナ(県レッドリスト・準絶滅危惧)が咲いていました。久しぶりの青空に向かって気持ちよさそうでした。

アマナ

絶滅危惧種ではありませんが、沢筋などでは、ミツバツツジが満開でした。ミツバツツジは旧津久井町の花だったこともあり、津久井地域では庭先などにもよく植えられていて、道すがらもたくさんの花を見ることができました。

ミツバツツジ

ところで、汗ばむような陽気だったこともあり、彼らも元気よく動いていました。ヤマビルです。

ヤマビル

からりとしたお天気だったためか、被害はありませんでした。これからはフィールドにヤマビルの忌避剤が必携の季節になりました。

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相模女子大学連携パンフレットが完成!

相模女子大学の英語文化コミュニケーション学科・生活デザイン学科と連携して制作した、博物館英語版パンフレットと日本語版パンフレットが完成しました!

>>英語版はこちら

>>日本語版はこちら

学生さんたちが画像の撮影からパンフレットデザイン、英訳まで手掛け、博物館の魅力が伝わるステキなパンフレットとなっています♪

また、3月23日にはパンフレット完成の報告とお礼状の贈呈のため、教授・学生らによる教育長面会を行いました。

教育長から生活デザイン学科の学生へのお礼状贈呈の様子

左から教育長、生活デザイン学科学生2名、堀内教授(生活デザイン学科)、宮本教授(英語文化コミュニケーション学科)、生涯学習部長

歓談もあり、充実した時間となりました!

当日はFMHOT839(エフエムさがみ)の取材もあり、学生へのインタビューなどが3回放送される予定です。

≪FMHOT839放送予定≫
・3/31(金)8:35頃「竹中通義 モーニングワイド」
・3/31(金)16:15頃「HOTPRESS」
・4/3(月)12:15頃「とれたてランチボックス」

パンフレットは、ホームページのほか博物館などで配架していますので、ぜひお手に取ってご覧ください♪

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ミミガタテンナンショウ

3月27日、博物館の中庭で、ミミガタテンナンショウが咲きました。

ミミガタテンナンショウ 中庭に3株ほど咲いています

ミミガタテンナンショウは、マムシグサの仲間で、神奈川県内では西側の山地、つまり相模川の右岸側に分布する植物です。しかし、相模原市内では、相模川の左岸側となる博物館周辺や木もれびの森、相模川沿いの段丘崖などにも分布しています。博物館の中庭も、植えたわけではなく、鳥が種子を運んだのか、いつの間にか咲くようになりました。そして、株数も少しずつ増えています。
同じく中庭では、ヤブレガサが芽吹いています。

ヤブレガサの芽生え

お化けっぽいこの芽生えが、開く様子を左から順に示すように3本、並んで出ていました。
出始めは高さ5センチメートルくらいのかわいらしいお化けですが、梅雨のころには1メートル近くまで伸びて花を咲かせます。

成長したヤブレガサ(6月に撮影)

これからぐんぐん伸びて、白毛に覆われた芽生えからは想像つかないほど瑞々しく大きな葉を広げていきます。

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生きものミニサロン「葉っぱであそぼう!」を実施しました

3月25日、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。今回は、お天気が良ければフデリンドウのつぼみ探しをする予定でしたが、天気予報どおりの本降りの雨模様だったため、急遽、雨プログラムに・・こんな時の定番、葉っぱの工作を行いました。
屋根のある正面入り口前のコリドーで、博物館の施設管理上、あまり増えて欲しくない植物について説明しました。アオキやシュロは、放っておくとどんどん伸びて藪を作ってしまうため、定期的に剪定(せんてい)します。そんな植物の葉を使って、工作を開始します。

ちょっと寒いけど、工作開始!

まずは、アオキの葉でサンダルを作りました。

アオキの葉のサンダル

一番簡単な葉っぱ工作で、みなさんかわいいサンダルを作ってくれました。
続いて、シュロの葉のカタツムリに挑戦です。こちらは葉が細いため、最初の3ステップくらいがちょっと難しい工作になります。みなさんそれでも器用に作ってくれました。

カタツムリの殻の部分

なかなかリアル!

シュロの葉のカタツムリ

残りの時間で、シャガの葉で違うタイプのカタツムリに挑戦です。

お父さんの力作の仕上げをしています

こちらも葉を折り曲げていく角度や向きが難しく、ちょっと難航しましたが、完成です。

ちょっと肌寒い中でしたが、みなさん葉っぱ工作を楽しんでいました。
今年度の生きものミニサロンは今回で終了となります。ただ、せっかくフデリンドウも咲き始めているので、来週の週末あたりにお天気が良ければ、臨時の生きものミニサロンを実施するかもしれません。こちらのブログでもお知らせしますので、よろしければフデリンドウのお花見をしましょう。

また、これまで生きものミニサロンは原則として第四土曜日に実施してきましたが、来年度は第三土曜日に実施する予定です。年間の日程などは近日中にホームページでもお知らせします。来年度もよろしくお願いします。

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