美しい冬鳥

冬、北から日本へ渡ってくる冬鳥は、その年の食物事情などによって渡来数が大きく変動します。中でも、渡来の時期や数が大きく変わり、年によっては関東地方までやってこないこともあるのが、レンジャク類です。昨年は相模原市内で見たという声を聞きませんでした。
しかし今年は2月末くらいから、近場でもちらほらと確認情報が入り、そして3月5日、ついに市内中央区の緑地にも姿を見せてくれました。

レンジャクの群れ

木の上の方の枝でしばらく休んでいるかと思うと、急に「チリーリー」とかわいい鳴き声を発しながら、地面近くへ下りてきます。

狙っているのは・・

目的は、上の写真でヒレンジャクの目の前にある、ヤブランの果実です。地上近くをバタバタと右往左往しながら、ヤブランを食べています。

ヤブランの果実をくわえたヒレンジャク

ただし、やはり地上付近は危険が多いことを意識しているのか、数分くらいでまた樹上の高い枝へと戻ります。レンジャク類は、ケヤキやサクラの枝などに着生するヤドリギの果実を好むことが知られていますが、この樹林のヤドリギの果実はすでに食べつくされていました。そこで、ヤブランにシフトしたのでしょう。
この群れは約30羽のヒレンジャクの群れでしたが、注意して見ていると、キレンジャクも1羽だけ混じっていました。

キレンジャク そっくりですが、尾の先の黄色が目印です

この場所のヤブランも食べつくすと、また食料を求めてどこかへ飛び去って行くのでしょう。ヒレンジャクもキレンジャクも、どうしてこんな造形ができあがったのかと不思議になるくらい、美しい鳥です。年によっては見られないこともあるため、出会うととても嬉しい気持ちになります。数日か、1週間程度かわかりませんが、今年はもう少しの間楽しませてくれそうです。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , , | 美しい冬鳥 はコメントを受け付けていません

陽光に誘われて

3月4日、博物館の駐車場をヒラヒラと舞うものがいました。そのうち地面にとまったので、近づいて見ると・・

テングチョウ

テングチョウでした。成虫で冬を越し、春先、晴れて気温が上がると飛び回ります。頭の先がとがっているため、天狗の鼻にちなんで名づけられました。

テングチョウの頭部 先がとがっています

近くではオオイヌノフグリが空へ向かって咲いていました。

オオイヌノフグリ

こちらは、博物館で系統保存のために栽培しているオキナグサ(相模原市緑区産)です。もうつぼみが立ち上がろうとしています。

オキナグサのつぼみ

春が歩みを加速させています。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | 陽光に誘われて はコメントを受け付けていません

はやぶさ2#寄席~宇宙落語とスペシャルトーク~を開催しました!

2月18日、はやぶさ2#寄席~宇宙落語とスペシャルトーク~を開催しました。今回のイベントは2部構成で、第1部では、落語家の桂福丸さんによる宇宙落語やJAXAの津田雄一さん、吉川真さんとのスペシャルトーク、第2部では全天映画「HAYABUSA2~REBORN 帰還バージョン」の監督である上坂浩光さんと同作品を一緒に観覧するなど、とても盛りだくさんなイベントでした。

落語家さんとのコラボ、市民文化財団(相模女子大グリーンホール)さんも交えた3者でのコラボ、LOGOフォームを活用した参加申込受付と、博物館としては初めてづくしであった標記の事業は、第1部は申込開始6分で満席、第2部は申込開始3時間程度で満席となり、大盛況のイベントとなりました!

第1部は、桂福丸さんの落語からスタートしました。テーマは「ブラックホール特命担当大臣」です。内容は、ブラックホールに地球上のゴミを捨てに行こうとするお話です。冒頭から会場が笑い声に包まれて、大盛上がりでした。

落語を披露する桂福丸さん

落語終了後は、JAXAはやぶさ2の元ミッションマネージャである吉川真さんにブラックホールと一般相対性理論についてのプレゼンテーションをしていただきました。一般相対性理論は難しい用語がたくさん出てくるため内容を理解するのが難しいと思いますが、吉川さんにわかりやすく説明していただきました。

第1部の最後には、JAXAはやぶさ2の元プロジェクトマネージャの津田雄一さんを交えて、出演者の皆さんでスペシャルトークをしていただきました。はやぶさ2ミッション成功の裏側などについてお話いただきました。

第1部スペシャルトークの様子

第2部では、2010年にイトカワからサンプルを持ち帰った「はやぶさ」のまとめビデオの観覧からスタートしました。

その後に、全天周映画「HAYABUSA2~REBORN 帰還バージョン」の監督である上坂浩光さんと同作品を鑑賞しました。

第2部の様子

全天周映画の鑑賞後は、桂福丸さん、上坂浩光さん、津田雄一さん、吉川真さんとスペシャルトークをしていただきました。スペシャルトークでは、上坂監督が作品に込めた思いや全天周映画の新作情報、JAXAが進める今後の惑星探査計画などについてお話いただき今回のイベントは終了となりました。

今回のブログを読まれた方で、残念ながらはやぶさ2#寄席に参加できなかった方もいると思います。そんな方に朗報です!第1部と第2部のスペシャルトーク部分は星空公団さんのYouTubeチャンネルで公開しています!

星空公団YouTubeチャンネルはこちら

※第2部のトーク部分については、準備が出来次第、同チャンネルで公開予定ですので、もうしばらくお待ちください。

カテゴリー: 未分類 | タグ: , | はやぶさ2#寄席~宇宙落語とスペシャルトーク~を開催しました! はコメントを受け付けていません

博物館の展示室に尾崎咢堂コーナーを新設しました。

3月1日(水)から、相模原市立博物館の自然・歴史展示室内に郷土の偉人・尾崎行雄(咢堂)のコーナーを新設しました。
場所は、現在市史ミニ展示「津久井郷土資料室と雑誌『日本少年』」を開催している旧清水家模型のすぐ近くです。

展示全体の様子

尾崎行雄は本市緑区又野出身の政治家で、その功績を讃え「議会政治の父」、「憲政の神様」とも呼ばれています。「咢堂(がくどう)」は尾崎が長年称していた雅号(ペンネーム)です。
当館では、これまでも尾崎の活躍をミニ企画展や巡回展、講演会など様々な形で発信してきましたが、一年を通して郷土の偉人に親しんでいただけるよう、このたび博物館内の常設コーナー化が実現しました。

尾崎の肉筆資料です。

新設した尾崎咢堂コーナーでは、尾崎の生涯や業績について解説パネルや写真で紹介し、ゆかりの実物資料を展示しています。
尾崎が幼少期に使用していたとされる手習帳や、成人後に津久井地域に帰郷した際に詠んだ短歌の草稿など、大変貴重かつ郷土との繋がりを感じられる品々をご覧いただけます。

常設展示ではありますが、当館所蔵の尾崎に関するたくさんの資料をまだまだご紹介したいため、今後展示内容を入れ替えることも予定しています。そのたびに、新たな資料との出会いや楽しみを発見していただける展示を目指しておりますので、ぜひご来館ください。

今年度にリニューアルした尾崎咢堂記念館パンフレットはご自由にお持ち帰りいただけます。

また、この常設コーナーをご覧になって、もっと尾崎について知りたい!と思われた方は、緑区又野にある尾崎咢堂記念館にもお越しいただければと思います。

カテゴリー: おしらせ, 尾崎咢堂記念館, 考古・歴史・民俗 | タグ: , , | 博物館の展示室に尾崎咢堂コーナーを新設しました。 はコメントを受け付けていません

「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」展示品紹介その5

現在、開催中の「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」で展示している資料を紹介するシリーズの5回目です。

今回は秦野市の「東開戸(ひがしかいと)遺跡」と「稲荷木(いなりぎ)遺跡」の出土品を紹介します。

はじめに東開戸遺跡出土のヒスイ製と琥珀(こはく)製の大珠(たいしゅ)です。いずれも、はだの歴史博物館所蔵です。

ヒスイ製の大珠(左)と琥珀製の大珠(右)

これらは縄文人のペンダントと考えられ、よく見ると穴が開けられています。
この3点はお墓から出土しており、リーダー格の人物が所有していたのかもしれません。

オレンジ:琥珀 緑:ヒスイ(栗島義明2014「貴石利用から見た縄文社会」『季刊考古学』別冊21 雄山閣より作成)

ヒスイ、琥珀は採れる産地が限定され、縄文人の交易を知る上で重要な資料です。特に琥珀を利用したものは県内の他の遺跡からは出土していません。その希少性から秦野市指定重要文化財に指定されています。

続いて稲荷木遺跡です。(写真提供:かながわ考古学財団)
稲荷木遺跡は縄文時代中期~後期の住居が300軒以上みつかっており、長い期間営まれた巨大な集落であったことが明らかになりました。

展示では住居内からみつかった炭化材を展示しています。

出土した炭化材。住居の中から見つかりました。

各部を拡大してみます。

横方向にタケ・ササ類が炭化したものがあります。

 

そして中央部には空白があります。これは、木柱の痕跡と推定され、列状に立てた木柱の間にササやタケを交互に組み込んだものと考えられます。

推定復元(かながわ考古学財団提供)

この構造物は縄文人が住居の壁をどのように作っていたのか考える上で重要な発見です。

また稲荷木遺跡でみつかった住居について、その実物大のレプリカがはだの歴史博物館で展示中です。

はだの歴史博物館:〒259-1304 神奈川県秦野市堀山下380-3  TEL:0463-87-5542
https://www.city.hadano.kanagawa.jp/www/contents/1001000004542/index.html

今回紹介した資料は、県内でも出土例が少なく重要な資料ですので、この機会にじっくりご覧ください。

本展示は3月5日(日)まで開催しています。また、3月4日(土)には展示解説がありますので、ぜひご参加ください。

カテゴリー: 考古・歴史・民俗 | 「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」展示品紹介その5 はコメントを受け付けていません

博物館収蔵資料紹介~庶民の娯楽 義太夫~

「義太夫(ぎだゆう)」は、三味線(しゃみせん)の音に合わせて太夫(たゆう)と言われる語り手が、物語の人物のセリフやしぐさ、情景などを語っていく民俗芸能です。娯楽が少なかった明治から大正頃にかけて各地の農村に流行し、市内でも特に若者が習って演じた話が伝えられています。

今回取り上げるのは、緑区橋本で義太夫をしていた神田信次郎さん(明治29年[1896]生まれ)が若い頃に使用したもので、神田さんは20歳くらいから義太夫を始めました。そして、地元の郷土史家だった加藤重夫さんが執筆した『橋本の昔話』(昭和60年[1985]刊)に、当時の義太夫の様子について記されており、神田さんも登場しています。

最初の写真は、太夫が語る文句が記された義太夫本で、表に演目が書かれています。また、手前左側は中を開いた状態で撮影しましたが、独特な書体で記されているのが分かります。ちなみに開いたものは「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」で、江戸時代の仙台伊達家の御家騒動を題材とし、歌舞伎(かぶき)や人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)での有名な演題の一つです。                   

 

次の写真は義太夫本をのせる見台(けんだい)で、太夫は見台に置いた本を見ながら語っていきます。二枚目の写真は見台の写真見本で、大阪の義太夫本等の販売所の発行です。こうしたものから気に入った見台を選んだのでしょうか。                  

 

太夫は次の写真のような肩衣(かたぎぬ)を着ており、さらに、袴(はかま)や紋付(もんつき)など他の衣装もあわせて寄贈していただきました。                 

 

先ほどの加藤さんの本によると、義太夫は個人の家を宿(やど)としたり、小屋を組み立てて行うこともあり、次の写真は語っている演目を記した「めくり」で、何かの上演会の際に使ったものではないかとされます。                 

今回は『橋本の昔話』に記事がある橋本地区の義太夫の資料を紹介しましたが、このほかにも、中央区宮下本町・相模原・田名や南区東大沼・新戸地区の義太夫関係資料を保管しています。

なお、博物館では平成22~28年度にかけて、各分野の活動などを紹介した「博物館の窓」を掲載しており、そのNo.61「南区新戸地区の義太夫関係資料」(平成25年度)https://sagamiharacitymuseum.jp/blog/2014/06/07/minzoku_madoh25/#minzoku61として、地元のみならず義太夫の演者として広く有名だった方を紹介していますのでご覧いただければ幸いです。

カテゴリー: 考古・歴史・民俗 | タグ: | 博物館収蔵資料紹介~庶民の娯楽 義太夫~ はコメントを受け付けていません

「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」展示品紹介その4

現在、開催中の「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」で展示中の資料を紹介します。

今回は川崎市「下原遺跡」の出土品を紹介します。この遺跡は「しもっぱら」と読み、縄文時代中期~晩期、弥生時代後期、古墳時代前期と複数の時代が発掘調査で明らかになっています。晩期の様相を示す県内でも有数の遺跡であり、今回の展示では土器を中心に展示しています。いずれも川崎市教育委員会所蔵です。

晩期の土器(川崎市重要歴史記念物) 高さ:42㎝

縄文時代によく使用された深鉢形です。

台付鉢(川崎市重要歴史記念物) 高さ:17㎝

こちらは台がついた土器で、Y字状の切りこみがあり、そのまわりに沈線をつけています。

左:鉢形、右:香炉形(どちらも川崎市重要歴史記念物)
左の高さ:14㎝ 右の高さ:11㎝

中にはこんな小ぶりの土器も。左は深鉢をそのまま縮小したような形ですが、しっかりと縄文が施文されています。右は香炉形と呼ばれ、立体的な装飾がみられます。どちらも祭祀で使われた可能性があります。

 

土版(複製) 長さ:16㎝

こちらは「土版(どばん )」(複製品)です。こちらも祭祀の道具と考えられています。
肉厚で歪んでおり、沈線で文様を表現しています。縄文人がなにを表現したかったのか、気になります。

土製耳飾(川崎市重要歴史記念物)

後期の終わりから晩期にかけて使用された耳飾りも展示しています。

下原遺跡では正方形の竪穴住居が3軒みつかっており、いずれも重複しています。おそらくは住居の建て替えが行われたと考えられています。住居数3軒はかなり少なく、当時の人口の少なさがよくわかります。

今回紹介した資料は、県内の縄文時代の晩期を物語る貴重な資料ですので、この機会にじっくりご覧ください。

本展示は3月5日(日)まで開催しています。また、3月4日(土)には展示解説がありますので、ぜひご参加ください。

カテゴリー: 考古・歴史・民俗 | 「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」展示品紹介その4 はコメントを受け付けていません

3月2日の夕方の空をお見逃しなく!~令和4年度研究機関等公開講座JAXAコース開催しました~

2月25日、生涯学習センターと博物館の共催で「研究機関等公開講座」JAXAコースを開催しました。昨年度から試行的に、プラネタリウムでの全天周映画観覧後に講演、という趣向にしています。今年度は、「はじめての宇宙科学」と銘打ち、小さなお子様から大人まで、みなさんが楽しめるような内容で企画しました。おかげさまでたくさんの方にご参加いただきました。参加者のみなさん、講師の大川先生、ありがとうございました。

はじめての宇宙科学 ポスター

当日の講演は、講師の大川先生も一緒に観覧した全天周映画「ノーマン・ザ・スノーマン~流れ星のふる夜に~」にちなみ、まずは流星群のお話から始まりました。大川先生が撮影した数々の流星の写真を披露いただきました。とっても素敵でしたね☆

そのあとは地球の話から、太陽系、銀河系、そしてブラックホールの話などなど。楽しい質疑応答もたっぷり。そして、最近の夜空のお話・・・それがタイトルの「3月2日の夕方の空をお見逃しなく!」です。

当日のお話から、この天体ショーのお話をみなさまにおすそ分けしますね!

みなさん、最近の夕方の空、お気づきでしたか?日によっては、月と木星と金星が一緒に輝いているのを見ることができました。あの明るい星は何だろう?と気になっていた人もいるのでは?

これは2月21日に、とある職員の自宅から撮影したもの。

神奈川県内で撮影

(解説入り)

そしてこちらが2月26日に、博物館の駐車場から撮影したもの。(だいぶ拡大しないと見えないかも・・・)

博物館駐車場で撮影

(解説入り)

3月2日にはこの金星と木星が大接近するそうです。どうぞお見逃しなく!

この二つの惑星がどのくらい近づいて見えるのか、国立天文台のこちらのページに詳しい解説があるのでご覧ください。

 

カテゴリー: おしらせ, 報告, 天文 | タグ: , , , , | 3月2日の夕方の空をお見逃しなく!~令和4年度研究機関等公開講座JAXAコース開催しました~ はコメントを受け付けていません

「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」番外編 視線を下げると・・・

現在開催中の「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」。県内を中心とした優品が多く、時々展示品を眺めています。

今回は、考古担当学芸員から考古資料を面白く見るコツを紹介します。
キーワードは「視線を下げると・・・」

勝坂式の土偶 吊り目がユーモラスです。

こちらは土偶のコーナーの一角です。

 

穴が見えます。

写真ではやや見えにくいですが、中央の土偶には穴があります。これは土偶を作る時におそらく木製の芯棒があり、土偶を焼いたときに燃え尽きて穴として残ったものです。

続いては、こちら。

台形土器と粘土塊

中期の土器の近くにあり、注目は右端の「粘土塊」。土器の材料である粘土を縄文人が握ったものです。

指の跡!

指のあとが3か所ほど確認できます。握るとなると親指かもしれません。どんな気持ちでニギニギしたのでしょうか??

最後はこちら。綾瀬市上土棚南遺跡から出土した土器と磨製石斧です。(綾瀬市教育委員会所蔵)
縄文時代後期のもので、この資料は、磨製石斧を納めた土器が地面に埋められていたものです。展示では発掘調査現場の写真も掲示されています。

土器の中に磨製石斧7本が納められていました。

磨製石斧を横から眺めます。

横から見ると凹凸がなく、滑らかであることがわかります。

刃先をみると・・・

次は刃先をみてみます。刃先が横一直線になっており、かつ光沢があります。
これは縄文人が丁寧に研磨して先鋭な刃先に仕上げた結果です。

土器も視線を下げてみてみましょう。

縄文が施文されています。

土器の上部が失われており、人為的に土器を打ち欠いてサイズを調整したものと推測でき、磨製石斧を埋めるための縄文人の工夫がみられます。

いかがでしょうか。いろいろな視線からモノをみることは意外と発見があり、大変面白く感じます。ちなみに展示室で視線を下して見学されている方をみると、こちらも「おおっ」と思っています。

今回の展示は3月5日(日)までです。まだご来館いただいていない方はぜひお越しください。3月4日(土)には展示解説があり、担当学芸員が見どころを紹介します。

カテゴリー: 考古・歴史・民俗 | 「令和4年度かながわの遺跡展 縄文人の環境適応」番外編 視線を下げると・・・ はコメントを受け付けていません

生きものミニサロン「スギ花粉の正体を見てやろう!」を実施しました

2月25日、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。今回のテーマは、2月恒例のスギ花粉の観察です。
花粉症の代表的な原因物質であるスギ花粉ですが、煙のように舞っているのを見たことはあっても、実際どんな形なのか見たことの無い人も多いようです。そこで、博物館の公用車の上に降り積もった花粉を自分で採集し、それを顕微鏡で観察してもらいます。
スギの花粉は小さくて見るのが難しいため、練習がわりに前庭で咲いているウグイスカグラの花粉も観察することにしました。

ウグイスカグラの花

顕微鏡観察も野外で行います。プレパラート(顕微鏡観察できる状態にした試料)の作り方と、顕微鏡の使いかたを説明します。

顕微鏡の使い方を説明

ウグイスカグラの花粉を落としたスライドグラスへ、慎重に水滴を落とします。

水滴は1滴で!

ウグイスカグラの花粉は大きくて、すぐに見つかりました!角度によって五角形にも見える、不思議な形です。

ウグイスカグラの花粉の写真(60倍で撮影したものを切り抜き)

そしていよいよ、スギ花粉の採集です。絵筆を使って掃き集めます。

公用車のフロントガラスから採集します

ピント合わせなどに苦労しながら花粉を探します。

ウグイスカグラよりも花粉がだいぶ小さいので、探すのに苦労します

それでもみなさん、次々に見つけてくれました。そして、倍率を上げると、スギ花粉の特徴的な形も見ることができました。

見えるかな?

スギの花粉は、まん丸くて突起が一つあるのが特徴です。

スギ花粉(博物館の室内で撮影したもの:600倍)

昨年は、スギ花粉の飛散量が少なくて採集できなかったため、標本から採った花粉を見ていただくことになってしまいました。しかし今年はたくさん飛んでいるためか(それはそれで困ったことですが)、全員が採集、観察できました。
参加された方にうかがってみると、大人のほぼ全員が花粉アレルギーをお持ちでした。“敵”を知るのも必要と、みなさんしっかり観察していました。
次回は3月25日(土)12時からです。

 

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , | 生きものミニサロン「スギ花粉の正体を見てやろう!」を実施しました はコメントを受け付けていません