陣馬山山頂のタンポポ

前回お伝えした5月9日実施の陣馬山の調査では、外来種の状況も確認しました。陣馬山山頂では、タンポポがちらほら咲いていました。今、低地ではセイヨウタンポポとカントウタンポポの雑種が優勢であることをこのブログにも書きましたが、山頂のタンポポの多くが外見上、典型的なセイヨウタンポポでした。

セイヨウタンポポと思われる花 花を支える総苞の外側がはっきりしたへ反り返っているのがセイヨウタンポポの外見的特徴

陣馬山山頂付近は、現在は眺望確保のため伐採と草刈りを行っていて、タンポポの生育に適した草地になっていますが、もともとはカシなどが優占する樹林でした。つまり、陣馬山山頂付近にもともとタンポポは生えていなかったことが推測されます。

現在の陣馬山山頂 シンボルとなっている、白い馬のモニュメント(中央)が登山者を迎えます

山頂の白い馬のモニュメント 調査当日の写真

陣馬山山頂の整備は半世紀以上前にさかのぼるので、その頃、セイヨウタンポポが山頂へ分布を広げ、その後、カントウタンポポと出会うことなく、現在までセイヨウタンポポが生育してきたのかもしれません。

晴れた日の陣馬山山頂 伐採により360度開けていて眺望が良く、東側は高尾山や生藤山、西側は富士山を望む

そうは言っても、陣馬山は年間をとおして多くの登山者を迎え入れ、山頂はいつも賑わっています。雑種の種子が山麓から飛んできたり、登山者などに付着して運ばれることも当然考えられます。探してみると、やはり一部の区域では雑種の特徴を示すタンポポが咲いていました。
セイヨウタンポポも外来種なので保護する必要はありませんが、久しぶりに、典型的なセイヨウタンポポの形態を見たので、思わずたくさん写真を撮ってしまいました。

セイヨウタンポポ 陣馬山山頂

人の手が強く入っている山頂ですが、夏に向けて希少な植物もたくさん開花します。引き続き、調査を続けたいと思います。
(生物担当学芸員)

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