カワラノギクの結実

博物館で栽培しているカワラノギクが結実しました。

キク科らしい綿帽子。保全圃場のある相模川の河原でも、大量の種子が実っています。タンポポのように風でバッと飛ぶことはほとんどなくて、いつまでも立ち枯れた株に残っています。もっとも、突風などで飛んだとしても、ほとんんど空中を舞うことはありません。スッと落ちていきます。

確かにタンポポの綿毛に比べると、あまりにも貧弱です。どうやらこの綿毛、飛ぶことよりも、河原の石の間にうまく転がってはさまるためにあるようです。遠くへ飛んだところで、河原から出てしまっても、きっとうまく育ちませんし…。

ところで昨年末、相模川のカワラノギクを守るために晩年のすべてを捧げた方が亡くなられました。ご高齢にもかかわらず、炎熱地獄の真夏の河原でも水やりや草抜きを率先され、保全活動への協力を求めて行政や学校を奔走し、文字通り、相模川のカワラノギクの守り神でした。

相模川中流では今、左右岸の各地で保全圃場ができ、保護増殖も順調に進んでいます。今年も新たに市内の1カ所で、保全圃場ができる予定です。その基礎を築かれた功績に敬意を表しつつ、ご冥福をお祈りしたいと思います。

(生物担当学芸員 秋山)

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