博物館お隣の樹林地内に、野鳥や哺乳類が水場をどのように利用するのか調べるために設置した水場があります。夜間はアナグマやタヌキ、アライグマ、ハクビシンなどがこの水場を利用していますが、猛暑が続くこのごろは、日中はキイロスズメバチがいつも集まってきています。

水場へ集まるキイロスズメバチ
キイロスズメバチの巣は、 内部の温度が上がり過ぎると卵や幼虫が死んでしまいます。巣内が33度を超えると、働きバチが巣の入り口などで翅(はね)をふるわせて空気を送り込んで冷やすと言われています。それでも温度が下がらないと、こうして水を口に含み、それを巣へ持ち込みます。さらに翅で風を送り、気化熱(水分が蒸発する際に吸熱し、冷える反応:汗が引くときに体表面が冷えるのと同じ作用)で巣内を冷やします。

口に水分を含むと、サッと飛んでいきます
この行動は、どちらかというとアシナガバチに多く見られ、キイロスズメバチは巣の構造上、あまり頻繁には見られないと言われています。しかし、あまりの猛暑のせいか、日中はひっきりなしにキイロスズメバチが水場を訪れています。そんな光景からも、今年の異常な猛暑が実感できますね。
同じ水場で、アオスジアゲハも給水していました。こちらは純粋に水分(とミネラル分)をとっているのでしょう。

吸水中のアオスジアゲハ
水場に設置したセンサーカメラを確認すると、カナヘビやトカゲも水を飲みにやってきています。猛暑の中で、生き物にとって水分の補給場所がいかに大切か、よくわかります。
(生物担当学芸員)