若いエナガのお食事

6月12日、博物館お隣の樹林地を歩いていると、エナガやシジュウカラの群に出会いました。つぶやくようなたくさんの鳴き声は、家族群です。巣立った若い個体がおぼつかない飛び方で木々の枝を飛び回っていました。そのうち、エナガの若鳥の1羽が頭上の枝にとまりました。

じっとこちらを見るエナガの若鳥

好奇心いっぱい、という眼差しでこちらを伺っています。直後、横の枝が気になる様子で、いろいろな角度から見ていると・・

矢印の先には・・

ひょいっと頭を近づけたかと思うと、枝の間に隠れていたシャクガの仲間の幼虫(いわゆる、しゃくとりむし)をつまみ出しました。

シャクガの仲間の幼虫を捕獲!

エナガにしてはちょっと大きめの食べ物なので、くわえる向きを何度か整えていましたが、そのうち上手に飲み込みました。

頭からもぐもぐと飲み込みました

飲み込んだ後、またこちらへ「たくさん食べたど~」と言わんばかりのドヤ顔を向けた後、さっと飛び去りました。

ドヤ顔を向けるエナガ

たくさん食べて、元気に育ってほしいですね。

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クマノミズキとミズキ

今、博物館駐車場で花盛りの木があります。

クマノミズキの花

クマノミズキです。クリーム色の小さな花が集まって咲きますが、今年は特に花つきが良く目立ちます。

花はクリーム色(ミズキは白色)

クマノミズキは、ミズキととてもよく似ています。クマノミズキの方が葉が若干細長いものが多いのですが、落ち葉だけを見ると見分けがつかないほどよく似ています。でも、このあたりで今の時期咲いているのは間違いなくクマノミズキです。なぜなら、ミズキは今、若い実がついてる状態だからです。

ミズキの若い果実

花期が、ミズキはゴールデンウィーク頃で、クマノミズキは梅雨の初め頃と大きくずれます。こうしたずれは生殖隔離と呼ばれ、ごく近縁の種類同士でも交雑が起きにくいことで、明確に種分化が進んでいるということになります。
枝の付き方や花の色など、他にもいくつかの区別点はありますが、遠目にはそっくりな両種です。でも、今が一番簡単に識別できる時期と言えるでしょう。

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おかいこさま飼育中 9日目 3齢に脱皮

給桑開始から9日目の6月10日、多くのカイコが脱皮をして、3齢になりました。こちらはまだ2齢の眠(みん)のカイコです。黒い2齢の頭が前の方へずれてきています。

脱皮前のカイコ

こちらは脱皮した3齢のカイコです。頭がベージュ色に変わりました。

脱皮後の3齢のカイコ

大方のカイコが脱皮するのを待って、夕方から給桑を再開しようと思います。

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アナグマの親子

博物館お隣の樹林地にしかけてある赤外線感知式センサーカメラ(無人撮影カメラ)に、6月7日、アナグマの親子が写りました。

アナグマ(2021.6.7)左端が親で、右側3頭が子ども

親のアナグマ(左端)に比べるとまだ小さめの3頭の子どもたちが、元気に動き回っていました。昨年も7月に子連れの親子が写りました(その時は子どもは2頭でした)。野生動物の生息環境としては決して広いとは言えないこの樹林地で、アナグマが繁殖を繰り返していることがちょっと驚きですね。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No61・文化財記録映画「祭礼行事」)

今回、取り上げる文化財記録映画は、昭和63年(1988)度制作の第七作「相模原の祭礼行事」で、相模原地域の神社などで行われてきた祭礼や、その際に行われる芸能などを撮影したものです。本ブログでは、うどんや酒まんじゅう作りの回でも、祭りに伴うご馳走作りとして写真を掲載しましたが、ここでは中心となる祭礼行事を紹介します。

最初の写真は、緑区下九沢・九沢地区のお天王様(おてんのうさま)の山車(だし)です。市内でお天王様の祭りというと、中央区上溝や緑区中野が有名ですが、この夏祭りは各地で行われており、山車をひいたり神輿(みこし)をかついだりします。映画では上溝地区とともに下九沢の様子が撮影されました(7月23日撮影)。

 

お天王様の祭りの際に、山車に乗って祭りを賑やかに彩るのがお囃子(はやし)です。笛や太鼓の音とともにヒョットコやオカメ、獅子などがユーモラスに踊る姿は、祭りに大切なものと言えます。祭り囃子は各地で行われていますが、次の写真は市内でも古くから行われてきた所の一つとされる、中央区上溝・丸崎地区で撮影されました。なお、ここでは映画用として特別に部屋の中で撮影しています(7月24日)

 

また、夏場の民俗芸能として忘れてはならないのが三匹獅子舞です。現在、相模原では、緑区鳥屋(とや)・大島・下九沢と中央区田名で行われており、この写真は大島地区のものです。三匹の獅子とともに鬼も一緒に踊っています(8月27日)。

 

祭りでは、鳥居の横などに幟(のぼり)を立てますが、現在では機械で作業が行われます。南区磯部の御嶽(みたけ)神社では、当時、地域の人々が集まって人力で幟を立てていました。映画ではその様子も撮影させていただきました(8月28日)。

 

中央区上矢部の御嶽神社で行われるのが湯花(ゆばな)神事です。湯立てとも言われ、境内にすえた大釜で湯を沸かし、その湯を神職が笹で四方に撒きます。全国的に見られるものですが市内では珍しいとして取り上げられました(9月10日)。

 

祭りは、餅や魚・野菜などさまざまなものを神前に供え、式典後には人々もいただきますが、南区当麻・芹沢の三島神社では、祭りに大根を削って酢漬け(すづけ)した大根なますを作って食べます。写真はなますを作っているところで、祭り自体の名称も「なますまち」と呼ばれ、ほかにも例えば神社の祭りにもかかわらず寺の住職も祭りに参列するなど、特徴的な内容となっています(11月6日)。

 

最後の写真は、中央区田名の的祭(まとまち)に関わるもので、的祭は1月6日に子どもが大きな的に矢を射る行事として有名です。映画では、もちろん祭礼当日とともに、的や弓矢作りの様子も撮影しています。この的作りは的踏み(まとふみ)と言い、作る家が決まっています(12月19日)。

 

以上、映画の内容にあわせて紹介してきましたが、このほかにも映画に撮影されている祭礼行事があり、また、撮影に至らなかったものもあります。地域の中に、こうしたさまざまな祭礼行事が見られるのを示すことを主な目的とした映画と言えましょう。

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おかいこさま飼育中 7日目 頭が黒いのは2齢まで

給桑開始から7日目の6月8日。昨日(7日)朝までにほぼ脱皮を終えました。大きさも1cmを越えています。1週間で4倍ほどの体長に!

体長1cmを越えた2齢のカイコ(6月8日朝)

こちらは脱皮殻(だっぴがら)です。葉の上に古い皮膚を固定し、前に進みながら靴下をずるずると脱ぐように脱皮をします。

脱皮殻

脱皮したカイコは2齢になり、またモリモリとクワの葉を食べています。

2齢のカイコ

2齢までのカイコの大きな特徴は、頭部が真っ黒なことです。

頭が黒い2齢のカイコ

3齢からはベージュ色の頭部になります。2齢の期間は短くて、3日弱です。ということは、明日には2回目の眠(みん)に入ります。黒い頭のカイコも、あと数日で見納めです。

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天使のらせん階段?

通勤途中の歩道に、ひょっこりとネジバナが咲いていました。

路傍に咲くネジバナ

芝生や街路樹の植込み、庭先などに普通に咲くので、“雑草”のカテゴリーに入ってしまいますが、ラン科に分類される、正真正銘の野生ランです。拡大すると、ゴージャスな花!ネジバナとは、らせん状に咲く花にちなんだ種名です。ちょっと味気ないというか、単純すぎるというか・・。

拡大すると、まぎれもなくランの花です

以前、植物好きのある方がこの咲き姿を見て「ネジバナなんて風情(ふぜい)の無い名前ではかわいそうだから“天使のらせん階段”と呼びたい」とロマンティックなことを言いました。

美しいらせん状の花序(かじょ:花の集まり)

しかし、まわりにいた現実主義的な人から「天使は翼を持って飛べるから、階段なんか使わないよ」と言われて、ロマンティストはがっくり肩を落としていました。
天使が登るかどうかは別としても、整然と並ぶこの花を見ていると、いろいろと創造力がかき立てられますね。

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おかいこさま飼育中 5日目 1回目の眠に入っています

給桑開始から5日目、カイコのほとんどが1回目の眠(みん)に入りました。眠とは、脱皮前に新しい皮膚を内側に作っている時期で、1日~1日半ほど、食べずにじっとして動かなくなる期間です。

眠に入っているカイコ(6月6日朝)

安定の良さそうなところに腹足(ふくそく:幼虫時代だけにある腹にある足)を固定し、胸と頭を少し持ち上げるようにして静止します。眠なのか、単にお腹がいっぱいで休んでいるのかは、頭が少し前にずれているのでわかります。

古い頭の殻が前へずれているのが眠のしるしです

新しい大きな頭が、古い頭の殻(から)を前に押し出したようになっています。
今日から明日にかけて脱皮し、2齢になります。脱皮するとすぐにまたモリモリとクワの葉を食べるのですが、脱皮した順にクワをあげていくと、成長の差が広がって不揃いになってしまうため、大方のカイコが脱皮をするまで、給桑はおあずけとなります。

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おかいこさま飼育中 3日目 飼育展示も開始しました!

6月2日から給桑を始めたカイコを、3日から飼育展示も実施しています。

カイコの飼育展示の様子

まだルーペ越しでないと見にくいくらい小さいです。

ルーペで拡大して見られるようになっています

それでも、4日の朝にはずいぶんとカイコらしい色と体つきになってきました。

6月4日朝のカイコ(1齢2日目)

大きさも5mmを超えるくらいになり、ふ化した時の3mm弱から、たったの2日で倍の大きさになりました。
1齢の期間はだいたい3.5日程度なので、明日(5日)には最初の眠(みん:脱皮前の休眠期間)に入るはずです。

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カイコの飼育が始まりました!

6月2日、毎年恒例となった、カイコの飼育が博物館で始まりました。
取り寄せた蚕種(さんしゅ=カイコの卵)がほぼふ化して出そろったため、2日のお昼に給桑を始めました。タネ紙(卵の付いた紙)の上にいる、ふ化したばかりのカイコです。

タネ紙の上のカイコ(ふ化直後)

ここに、クワの葉を刻んでそっと載せます。

最初は、食いつきやすいようにクワの葉を刻んで与えます

すると、クワのにおいを感知して、すぐにカイコがクワの方へ寄っていき、食べ始めます。初めての給桑の瞬間、生命の不思議にまず驚かされます。10分後の様子です。

すでにたくさんのカイコが葉の上で食べています

誰に教わることもなく、必死にクワに食いつくカイコ。立派な食べ痕がすでにできています。

食べ始めたばかりのカイコ

そして、小学校への出張授業も始まっています。この日は午後から、清新小学校(中央区)の4年生へお話をしに行きました。

清新小での出張授業

カイコを飼うということが、繭の生産を目的とした農作業であることや、成虫まで育てるとしたらどのようなことを考えておかなくてはいけないのかなど、いろいろな問いかけを含めて話しました。カイコの命について、農業について、真剣なまなざしで聴いてくれました。
エントランスでの飼育展示も間もなく開始となります。ご来館の際には、めざましく成長していくカイコをぜひご覧ください。

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